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データガバナンス・データライフサイクル管理に関する標準と活用指針

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✅ データガバナンス・データライフサイクル管理に関する標準と活用指針


🔷 1. データガバナンス関連標準

規格 概要 実務での活用ヒント
ISO/IEC 38505-1:2017 データガバナンスの国際標準。組織におけるデータの責任、戦略、ガバナンスの枠組み(EDMモデル)を提示。 「評価(E)・指示(D)・監視(M)」の観点で、組織内データ利用の意思決定フローを整備する際に有効。情報資産を持つすべての部署で確認を。
JIS Q 38500:2015 ISO/IEC 38500準拠の国内ITガバナンス規格。6原則(責任・戦略・取得・パフォーマンス・準拠・人的行動)とEDMを含む。 経営層によるIT活用戦略決定のガイドラインとして活用可能。データ活用を「経営判断に影響するもの」として捉える第一歩。
ISO 8000-51:2023 データ品質とガバナンスの結合に特化した規格。 データ品質確保が求められる部署(DWH、業務部門)で、「ガバナンスの手段としての品質管理」を意識付ける。

📘 補足資料


🔷 2. データライフサイクル管理規格

規格 対象 実務的な使い所
ISO/IEC 24760-1:2019 IDおよび属性情報のライフサイクル(作成・変更・終了)管理 人事・顧客情報などID管理システムでの権限設計や「データ削除フロー」の明文化に活用可能。個人情報保護法対応にも◎
ISO/IEC/IEEE 15288 / JIS X 0170 システムライフサイクル(要求→設計→開発→運用→廃止)全体 ソフトウェア開発・システム運用におけるデータ生成・蓄積・削除・保全のフロー設計。ログや設定データの管理含む。
ISO/IEC 25024:2015 データ品質のライフサイクル評価(測定・改善) システム運用部門での「使えるデータとは何か」を明確化。整合性・一貫性などの評価基準を内部監査で活用可能。

📘 関連読み物


🔷 3. 有効性評価や適合性評価との関連(試験要綱とは別)

ここでいう「有効性評価指針 Ver5.4」は、ソフトウェアや医薬、装置開発などの「バリデーション・検証・変更管理」観点に関連。

  • Verification(適合性検証):仕様通りのデータ・処理になっているか?
  • Validation(妥当性確認):実際の使用状況において正しく機能しているか?
  • Traceability(追跡性):変更管理・監査ログ・バージョン管理の整備があるか?
  • Lifecycle Thinking(ライフサイクル思考):設計→運用→廃棄までを見通すプロセス管理の視点

📘 参考資料

📌 ISO 15288といった「システムエンジニアリング規格」にも通じ、QMS(品質マネジメント)やGxP分野にも応用できる。


🔷 4. 業界別のガイドライン(医療以外)

業界 規格・ガイドライン 活用観点
金融(FISC安全対策基準) 一般社団法人金融情報システムセンター(FISC)が発行。ITガバナンス、データ管理、可用性・完全性・機密性の維持について記述。 銀行・証券・保険などの金融機関での情報資産管理とリスク評価に有用。内部統制・監査プロセスと連動。
エネルギー・インフラ(NIST SP 800シリーズ) 米国NISTによるサイバーセキュリティ・データ保全ガイド。特にSP800-53が制御管理とガバナンス統合に優れる。 OT(運用技術)を含む情報管理におけるセキュリティ・ガバナンス統合に活用。電力・ガス等の分野向け。
製造業(IEC 62264, ISO 22400) スマート工場向け情報モデリング規格。MES(製造実行システム)やKPIとデータの統合管理。 工場内データの整合・標準化・トレーサビリティ確保の観点で重要。データ連携設計やIoT導入にも対応。
官公庁(総務省ガイドライン) 自治体情報セキュリティ対策ガイドラインやデジタル庁のガバナンス文書。 行政情報の適正管理と、ガバメントクラウド時代のデータ連携基盤設計。公文書管理や公開手続きにも関連。

📘 主な資料


🛠️ 実践チェックリスト

チェック項目 活用する規格
データ利用方針は組織的に定義されているか ISO/IEC 38505-1, JIS Q 38500
データの生成~削除までのライフサイクル管理が文書化されているか ISO/IEC 24760-1, ISO/IEC 15288
データ品質のモニタリング基準があるか ISO/IEC 25024, ISO 8000-51
変更・監査ログを維持しているか ISO/IEC 15288, バリデーション指針
外部規格との整合(法令含む)を確認しているか IPA/ISO全般、内部監査指針

🧩 おすすめの進め方(企業/組織向け)

  1. ガバナンスポリシー策定:IPA読本やJIPDEC資料をベースに、社内規程を作成
  2. ライフサイクルフロー図の明文化:ISO 15288や24760を参考に、部門別データフローを可視化
  3. 内部監査と整合性評価:試験要綱やQMS文書での監査項目として整備
  4. 継続的改善とレビュー:ISO 25024を使って、データ品質のKPIを可視化

✅ まとめ

  • データガバナンスとライフサイクル管理は、単なるルールではなく「組織の運用そのもの」に直結する要素。

  • 国際標準(ISO/IEC)や国内標準(JIS)、業界ごとのガイドラインを活用することで、

    • 経営と連携した情報活用、
    • システム開発・運用時のデータ整合性の担保、
    • 内部統制・監査対応まで
      を一貫した視点で進めることができます。

実務でのガイドライン設計に悩む方は、まずは ISO/IEC 38505-1 から読み始めるのがおすすめです。

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