こんにちは。
menu事業部で、PM組織の統括をしている三宅です。
今回は、「1年目からPMを採用できる組織の仕組み」について、私たちの組織の具体的な事例を交えながらお話しします。
「経験者じゃないとPMは任せられない」
「PMは育成に時間がかかるから中途採用しかない」
こう考えているマネージャーは多いのではないでしょうか?
でも、本当にそうでしょうか?
私たちの組織では、入社1年目の若手社員でもPMとして活躍できる仕組みを作っています。
今回は、PM育成で悩むマネージャーの方に向けて、どうすれば経験の浅いメンバーでもPMとして成長できる環境を作れるのか、具体的なステップとマインドセットについて解説していきます。
なぜ「1年目からPM」は難しいのか?
まず、なぜ多くの企業が若手PMの育成に苦労するのか、その原因を考えてみましょう。
よくあるのは、以下の3つの問題です。
1. PMの仕事が属人化している
特定のベテランPMにしかできない仕事が多いと、新人に仕事を任せることができません。PMの仕事内容が言語化されておらず、暗黙知として扱われているケースがこれにあたります。
2. 組織が求めるPM像を統一できない
シニアPMの今までのキャリアによって培われたPM像は、みんなバラバラです。
ある人はコミュニケーション力、調整・交渉力に強く、ある人はエンジニア出身で技術的な深い知見を持つなど、それぞれの得意分野が異なります。
そのため、みんなが自分が理想とするPM像を目指し、組織として「これが私たちのPMだ」という共通のゴールを持てず、PM育成の方向性がブレてしまうのです。
3. 失敗を許容しない文化
PMの仕事には失敗がつきものです。しかし、失敗を強く非難する文化だと、新人はリスクを取ることを恐れ、新しい挑戦ができなくなります。ベテランPMでも怖くなるのに、1年目のPMではなおさらです。
これらの問題を放置したままでは、いつまで経ってもPMの採用は経験者に頼るしかなく、組織の成長は停滞してしまいます。
では、どうすればこの状況を変えられるのでしょうか?
1年目からPMを育てるための3つのステップ
ここからは、経験の浅いメンバーをPMとして育て、組織に定着させるための具体的なステップを3つに分けて説明します。
ステップ1:PMの思考の「型」を共有する
まずは、ベテランPMが持つ、無意識の「思考の型」を言語化し、組織全体で共有できるようにしましょう。
PMの仕事は、課題の発見から解決策の実行まで、様々な意思決定の連続です。この意思決定を支える思考プロセスを「型」として共有することで、新人PMも論理的にプロジェクトを進めることができるようになります。
PMの思考の型(例)
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なぜ、この問題を解決するのか?
目的の明確化: 顧客のどんな課題を解決するのか、それが会社のどんな事業目標に繋がるのか、常に問いかけます。 -
誰にとっての課題なのか?
ユーザー視点: チーム内の理想や憶測ではなく、実際にヒアリングしたユーザーの声から課題を定義する習慣をつけます。 -
解決策は本当にこれしかないのか?
複数の選択肢の検討: 最初に思いついた解決策に飛びつかず、複数の選択肢を出し、それぞれのメリット・デメリットを比較検討する思考プロセスを身につけます。 -
何が成功の定義か?
ゴールの言語化: 「良い感じ」ではなく、定量的な指標(KGI/KPI)で成功を定義し、チーム全員が同じゴールを目指せるようにします。
このように、ベテランPMが当たり前のように行っている思考プロセスを「型」として共有することで、新人PMは迷うことなく、自律的に意思決定できるようになります。
ステップ2:PMの仕事を、体系を理解したメンターがレクチャーする
PMの仕事をいきなり全て任せるのは無謀です。難易度を下げて任せることで、新人が小さな成功体験を積み重ねられるようにしましょう。
そして、その成功体験を体系的に理解しているメンタリングが非常に重要です。
OJTは、忙しい先輩が自分の仕事をこなしながら教えるため、どうしても場当たり的になりがちです。そうではなく、PMの仕事の全体像や思考の型を理解し、「なぜそのタスクをやるのか」「今回の失敗から何を学ぶべきか」を言語化して教えられる専任のメンターをつけましょう。
例えば、以下のようにPMの仕事を分解して、徐々に任せる範囲を広げていきます。
フェーズ1:部分的な担当からスタート
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誰かのサポート役:まずは既存PMのタスクの一部(議事録作成、ユーザーインタビューの準備、データ収集など)を任せ、仕事の流れを理解してもらいます。
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小さい機能の担当: 既存プロダクトの小さな機能改善のPMを任せ、企画からリリースまでの流れを一人で経験させます。
フェーズ2:責任範囲を拡大
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特定領域の担当: 決済機能、通知機能など、プロダクトの特定領域を任せます。その領域については、企画から運用まで一貫して担当してもらいます。
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小規模プロジェクトのPM: 社内向けツール開発など、ステークホルダーが少ない小規模なプロジェクトのPMを任せます。
このように、段階的に責任範囲を広げながら、メンターがPMとしての思考や行動を指導していくことで、新人は自信をつけ、スキルを体系的に身につけることができます。
ステップ3:成功と失敗から学ぶ「サイクル」を組織に組み込み、積極的に外部に発信する
個人の成長は、組織の成長と密接に関係しています。若手PMを育てるには、個人の経験をチームや組織全体の「学び」に変え、常に成長し続けられる仕組みが必要です。
単に「失敗の共有会」で終わるのではなく、成功と失敗から学び、次に活かすためのサイクルを組織に根付かせることが重要です。
さらに、その学びを可能なら積極的に外部に発信していきましょう。アウトプットを前提とすることで、思考がより深く整理され、学びが定着します。
やるべきこと
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学びの共有会を開催する:
成功・失敗を問わず、プロジェクトの「学び」をオープンに共有する場を定期的に設けましょう。「あのプロジェクト、どこがうまくいったのか?」「逆に、どこでつまずいたのか?」をチーム全員で議論し、次のプロジェクトに活かす習慣を作ります。 -
ナレッジベースを構築する:
プロジェクトの振り返り、議事録、意思決定の経緯などをドキュメントとして蓄積します。「なぜその判断をしたのか?」という思考プロセスを言語化して残すことで、後から入ったメンバーも組織の知見を効率的に学ぶことができます。 -
発信・共有を習慣化する:
メンバーが社内メンバーへの共有や、ブログ記事や登壇資料を作成する機会を設けましょう。発信することで、社内の知見を整理するだけでなく、社外のフィードバックを得ることができ、より深い学びにつながります。
PMは、決断の連続です。
正解がない中でより良い選択肢を選び続けるためには、たくさんの「失敗」とそこからの「学び」が必要不可欠です。組織全体で学びを促進することで、個人の成長を加速させることができます。
まとめ
今回は、1年目の若手社員をPMとして採用・育成するための仕組みについて、私たちの事例を交えながらお話ししました。
重要なのは、PMの仕事を「見える化」し、「メンター」をつけ、「学びのサイクル」を組織に根付かせることです。
これらのステップを組織に落とし込むことで、「経験者じゃないとPMは無理」という固定観念を打ち破り、若く才能ある人材を早期に育成できる強いPM組織を築くことができます。
あなたの組織でも、ぜひ今日から実践してみてください。
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