なぜ心理学を学ぶのか
チームの一員として働くプログラマとして、よりチームに貢献するために必要だと考えているため。
有名どころでは、下記の書籍が、人間について学ぶことの重要さに言及している。
トラブルのかなりの部分は、人はそれぞれであるのに彼らの組織形態がその個人差を考慮に入れた設計になっていない、というところからきている。
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同著者ワインバーグ氏のプログラミングの心理学は未読だが、きっと人間について学ぶ重要さを言及しているはずである。
ソフトウェア開発上の問題の多くは、技術的というより社会学的なものである。
上記の本は、主にリーダーやマネージャ向けに書かれた本である。しかし、チームでプログラマとして働く上で、より多くの価値を産み出すためには、人間についての理解が不可欠である、と考えるようになった(もちろん技術も大事)。
ただ、人間について学ぶ、いうてもどうすれば?というときに、私は、運よくMBTIに出会うことができた。
プログラマの皆様が人間をより理解し、よりハッピーなチーム開発の助けになれば、と思い、本エントリを執筆することにしました。
(注意)私自身はMBTIの専門家ではありません。MBTIを学ぶ際には認定を受けているトレーナーから指導を受けて下さい。Web上に診断サイトが多数ありますが、本来、専門家からのフィードバックが必要です。
MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)とは
私は説明する資格を持たないので、簡単な紹介のみ。
日本MBTI協会
ユング派の心理学に基づく性格理論。MBTIによると、人は生まれつき、4つの領域において、違った好みを持っている。
- エネルギーを得る方法(E:外向、I:内向)
- E型の人々は、人との交流や周囲に起きていることでエネルギーを得る、I型の人々は、自分の気持ちや思考に集中することでエネルギーを得る。
- 情報の取り入れ方(S:感覚、N:直観)
- S型の人々は情報を具体的なデータや事実として得ることを好み、N型の人々は情報を直観的(全体像やパターンなど)に得ることを好む。
- 意思決定の仕方(T:思考、F:感情)
- T型の人々は、論理的、客観的に判断を行うことを好み、F型の人々は、共感や気持ちに基づいて判断を行うことを好む。
- 行動のあり方(J:判断的態度、P:知覚的態度)
- J型の人々は、計画や秩序に基づいて行動することを好み、P型の人々は、柔軟で臨機応変に行動することを好む。
例えば、情報の取り入れ方では、
各領域は、二律背反の関係になっており、どちらが良い悪いではない。
また、生まれつきの好みはあるが、あくまでも、利き手であり、利き手でない方も意識して使うことにより発達させることができる、としている。(以降、私の利き手は右手なので、利き手でない方を左手、と書く)
ベーシック、アドバンス、STEP2、といくつかのレベルがあり、私は現在、STEP2を学んでいる。
MBTIを学んでの気づき
自己理解の深まりと自己肯定感の高まり
私は、ESTJというタイプをベストフィットタイプとして選択している。これは、アメリカ人に多いタイプとのことだ。日本人に多いのは、ESFJらしく、このタイプの人々は、他者との調和や連携を重要視する、とのことなので、感覚的にはあっている。
私のおおざっぱな理解では、私のタイプであるESTJタイプは問題解決型の効率厨、である。
問題の解決に向けて、計画し、現実的/実戦的な手法で、効率的に遂行する。
こう書くとプログラマに向いているように見えるが、半面、人を一人の人間として扱うことが苦手である(左手で箸を持ってご飯を食べるくらい難しい)。大抵の場合、他人に対して、自分と同じ効率的な方法で物事を進めることを求め、物事の決定においては、個人の気持ちを考慮しない傾向にある。
また、発想や計画遂行に対する柔軟性にも欠ける傾向にある。
MBTIを知る前は、独善的になったり、他人からネガティブな情緒的/感情的反応をもらうたびに、落ち込むこともあった。独創的なアイデアが次々浮かぶ人を後目に、自分はなぜ同じような発想ができないのだろう、と己の能力の限界に絶望することもあった。結局、どうすれば良いのか理解できなかったからだ。
MBTIを知ってからは、現象を観察/分析する手法を得た。左手をうまく使えていなかったのではないだろうか?という具合だ。
自分は、自然に行動すると効率を追い求める人間なんだ、という理解が深まり、これはこれで有用な個性なんだ、と思えるようになった。
他者を受容/許容できるようになった
物事がうまく行かないときに、左手の存在を意識できるようになった。
コンサルタントの秘密の法則に、次の法則がある。
悪いコンサルティングの第1法則(悪い管理の第1法則)
うまくいかないことがあったら、もっとやれ。
コンサルティングだけに限らず、有効な法則である。
つまり、自分の気持ちを大切にされていない、と感じている人がいるときに、私の得意な効率的/現実的な方法を押し付けても逆効果だ。
MBTIを学ぶことで、自己/他者の気持ちを重要視する人々がいること、計画をきっちり立てるより柔軟に対応することが好きな人、がいることを認識できた。違いがあることが当然なのだと思えるようになった。
(ESTJは体系化されていることが好きなので、世の中の人々は、これこれこのようにタイプ分類できます、という分析手法を得たことが嬉しいのかもしれない)
この人は何タイプだろうか?この人が最も自然に力を発揮できるのはどういうときだろうか?どうすれば、それがわかるだろうか?ということを考えるようになった。これは、チームの一員として働く上で重要なことではないだろうか?
最後に
MBTIのセッションでは、様々な、異なるタイプの人々とグループワークを行います。
回を重ねるごとに、タイプごとの違いが当然のことに思え、人間の多様性を楽しめるようになってきました。
MBTIの学習には、お金も時間もかかります。
しかし、一人でも多くのプログラマが、より人間を尊重し、チームに貢献できるようになれる(そしてハッピーになれる!)といいな、と思います。