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配線完了、ERC/DRC/未配線オール0 — それでもCM4ボードを『製造可能』と言わない理由

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Raspberry Pi CM4 用 Mini-ITX IO Board を、AIエージェント(Codex が KiCad CLI 経由で設計)が作る開発ログの第2回です。

第1回(Qiita/dev.to 英語版)では「ERC 0件・DRCエラー244件・未配線1,464区間」という状態でした。今回は配線修正とエラー解消が進み、結果を正式な design/ の設計ファイルへ採用しました。ただし結論から言うと、設計全体を「完成・問題なし・製造可能」とは判定していません。理由は後半で説明します。

正式版の全体再検査(2026年10月25日11:42 JST 完了)

採用した基板は 170×170mm・8層、963フットプリント、回路図978シンボル/12シート、配線・ビア合計18,500要素です。

検査項目 第1回(10/24) 今回(10/25)
ERCエラー 0件 0件
DRCエラー 244件 0件
未接続・未配線 1,464区間 0件
回路図とPCBの不一致 0件 0件
残存警告 188件 124件(銅箔細片94・ビア21・配線端9)
検査中の入力ファイル変更 — なし・52ファイル照合

警告が124件残っているため、厳密な静的全検査合格フラグは false、全体検証スクリプトの終了値は 1 です。「エラー0」と「全検査合格」は別物として記録しています。

配線済み基板の表面
表面。シルクにはまだ「ROUTED ENGINEERING PROTOTYPE / DO NOT FABRICATE」と入っています。

配線済み基板の裏面
裏面。電源段とATXコネクタの裏側が見えます。

今回の主な修正

  • 高速差動配線の区間修正:AC結合コンデンサの前後を分けて確認し、長さ誤差の相殺、層構成、ビアの使用深さの差を修正しました。D5では両側のコンデンサをB面へ揃え、クロック終端抵抗も配置し直しました。既存信号の参照GND面に新しい欠損が生じないことも確認しています。
  • 電源監視窓の修正:R119を150Ω→200Ω、R272を9.31kΩ→9.42kΩへ変更し、回路図・PCB・BOM・部品情報を同期しました。U300.A8のピン型も実際の出力に訂正しました。
  • 検証スクリプトの修正:古い電源集計への依存と、絶対パス/相対パスの照合不具合を修正しました。現在の基板・部品情報・実行済み解析結果が一致することを検査します。

シミュレーション再実行:静的条件では成立、起動解析も完走

採用した同じ基板で再計算しました。

  • 6基本電源の384条件の受動SPICE
  • 357点の共有GNDを含む電圧降下
  • 68本の制御・検出経路、16電源区間、48コンデンサ経路
  • 32,768条件のPG/UV解析(4分岐の最小PG再投入余裕は約5.345mV)

いずれも宣言した静的条件内では成立しています。

さらに、原版ADI/Nexperiaモデルによる4分岐×「起動・出力短絡・通常入力喪失」の12ケースもすべて300msまで数値計算を完了し、保存波形に対する限定的な端子電圧・MOSFET電圧のチェックを通過しました。第1回ではメーカー電源モデルによる起動解析が2回とも実行時間上限で中断し未判定だったので、ここは明確な前進です。

それでも「製造可能」と言わない理由:未解決の負電圧

一方、上流BUCK側へ1mΩの短絡を加える別の内部故障診断では、最新基板でも次の結果が残りました。

LTC4229端子 保存波形の最小値
IN 約−1.338V
DSRC 約−1.353V

これは−0.3Vを下限とするチェックを満たしません。追加コンデンサ・スナバ案でも解消できなかったため、その案は基板へ採用していません。

公平のために書いておくと、この解析は仮定した寄生インダクタンス・容量・電源応答を使う部分モデルなので、実機が破損することの証明にはなりません。ただし「モデルが間違っているかもしれない」は合格の理由にもなりません。解消できないまま残っている以上、判定は保留です。

このため、製造用Gerber・ドリル・実装データの発行は保留しています。変更前の設計と説明資料は採用前バックアップに保存済みです。

残っている課題は、故障耐性、完全な電源制御ループ、高速SI、熱・EMI、実機の同時I/O、ケース・実装・製造工程の確認です。

おわりに

「AIエージェントが基板を設計した」という話は、エラーが0になった時点で完成として語ると簡単です。ただ今回のループが一貫してやっているのは、合格と言えないものは合格と言わない、という線引きでした。警告124件と負電圧の問題が残る限り、シルクの「DO NOT FABRICATE」はまだ外せません。

部分モデルのSPICEで絶対最大定格を超える端子電圧が出たとき、皆さんならモデルの仮定と回路側のどちらから疑いますか。よければコメントで教えてください。


第1回:Qiita版/dev.to英語版。英語版の第2回は dev.to に公開しました:From 1,464 Unrouted Nets to Zero

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