はじめに
情報を即座に共有するため、情報をTeamsの1つのチャネルで管理しています。閲覧者にとってTeams投稿内容を確認するときの悩みとして人それぞれの書き方で見にくい、投稿した内容が新たな投稿によって埋没して見つけられないという意見を解決したいと思い、作成しました。
解決したい課題
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Formsで案件申請を受け付け、Teamsで関係者に通知したい。
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Teamsで交わされた案件に関するやり取り(返信)を、SharePointリストの案件データに紐づけて一元管理したい。
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手動での転記作業をなくし、情報の抜け漏れを防ぎたい。
フローの構築: Forms -> Teams -> SharePoint
このフローでは、Formsからの新しい回答があった際に、Teamsチャネルにメッセージを投稿し、同時にSharePointリストに新しいアイテムを作成します。
1. SharePointリストの準備
まず、情報の格納先となるSharePointリスト「災害・事故報告リスト」に以下の列を追加します。
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TeamsメッセージID (重要!)
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種類: 一行テキスト
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目的: Teamsに投稿された元のメッセージのIDを保存します。このIDが、将来的にTeamsへの返信を元の案件に紐づけるための「鍵」となります。
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その他の必要な列 :
Formsの質問項目に対応する列(例: 報告案件、詳細、発生場所など)を適切に設定してください。
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2. Power Automateフローの作成
Formsからの回答をTeamsに投稿し、SharePointにアイテムを作成するフローを構築します。
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Power Automateで「+ 作成」>「自動化したクラウドフロー」を選択。
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フロー名: 「Forms回答をTeams投稿 & SharePointに記録」 など、分かりやすい名前を付けます。
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トリガー: 「新しい応答が送信されたとき (When a new response is submitted)」を選択。
3. トリガーとアクションの設定
フローは以下のステップで構成されます。
1. 新しい応答が送信されたとき (Forms)
2.応答の詳細を取得する (Forms)
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Formsから送信された回答内容の詳細を取得します。
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Form ID: トリガーと同じFormsフォームを選択します。
3.チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)
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Formsの回答内容をTeamsチャネルに投稿します。
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Post as: ユーザー または Power Automateボット を選択。
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Post in: チャネル を選択。
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チーム: 投稿先のTeamsチームを選択(例: 「総務部」チーム)。
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チャネル: 投稿先のTeamsチャネルを選択(例: 「テスト」チャネル)。
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メッセージ: Formsの質問に対する回答を動的コンテンツからマッピングし、メッセージを作成します。
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【重要】出力の確認: このアクションの出力として、「メッセージID」と「メッセージリンク」が生成されます。これらを次のステップで利用します。
4.項目の作成 (SharePoint)
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SharePointリストに新しいアイテムを作成し、Formsの回答内容とTeamsのメッセージ情報を保存します。
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サイトのアドレス: 対象のSharePointサイト。
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リスト名: 「災害・事故報告リスト」。
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各列へのマッピング:
4. フローの保存とテスト
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フローを保存します。
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テスト手順:
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Formsから新しいテスト回答を送信します。
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Power Automateの実行履歴で、フローが正常に「成功」したことを確認します。
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Teamsチャネルにメッセージが投稿されていることを確認します。
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SharePointリストの「災害・事故報告リスト」に新しいアイテムが作成されていることを必ず確認してください。
(スクリーンショット: SharePointリストのデータビューで、「TeamsメッセージID」列にIDが記録されていることを強調した画像)
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試しに上司、同僚に実際に使ってもらったところ
プロトタイプによる検証とフィードバック
実際にこのフローのプロトタイプを作成し、部署内の上司(システム化したい思いもあるが、知識は薄い)、同僚(システム操作は苦手意識あり)に使ってもらい、率直なフィードバックをもらいました。
● 上司のフィードバックコメント
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「Formsを使ってフォーマットを統一するのはいいけど、書き方を統一するのとわざわざFormsを使って書くことを周知するのは大して手間が変わらない気もする。」
- 所感: 確かに初期の周知は必要ですが、長期的に見れば入力のミスや漏れが減り、手作業での集計が不要になる点で、手間は大きく削減できると考えています。この点は導入後の運用で改めて理解を促す必要があると感じました。
- 所感: 確かに初期の周知は必要ですが、長期的に見れば入力のミスや漏れが減り、手作業での集計が不要になる点で、手間は大きく削減できると考えています。この点は導入後の運用で改めて理解を促す必要があると感じました。
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「自動的にリスト化されて投稿内容もフィルタ処理で探しやすくなった。」
- 所感: こちらは肯定的で、目的としていた情報集約と検索性の向上が評価されました。特に「フィルタ処理で探しやすくなった」という点は、Excelでの手動管理では難しいメリットなので、大きな成果です。
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「投稿先へリンクで飛べるのはいい。」
- 所感: SharePointリストからTeamsの元の投稿に直接アクセスできるのは、情報の関連性を保つ上で非常に重要であり、これも評価されたポイントです。
●同僚のフィードバックコメント
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「エクセルで人の手でまとめても大して時間変わらない(これまでそうしてて困っていない)。」
- 所感: これもシステムに苦手意識を持つ方からの正直な意見だと思います。個々のタスクで見ればそう感じられるかもしれませんが、複数人が関わる情報集約や、情報が散在することによる見落としリスク、長期的なデータ活用といった全体像でメリットを伝える必要性を再認識しました。「困っていない」という現状維持バイアスに対して、小さな成功体験を積み重ねていくことの重要性を感じます。
- 所感: これもシステムに苦手意識を持つ方からの正直な意見だと思います。個々のタスクで見ればそう感じられるかもしれませんが、複数人が関わる情報集約や、情報が散在することによる見落としリスク、長期的なデータ活用といった全体像でメリットを伝える必要性を再認識しました。「困っていない」という現状維持バイアスに対して、小さな成功体験を積み重ねていくことの重要性を感じます。
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「個人の考えでやり方を変えることはおかしい。」
- 所感: これは一番重要なフィードバックです。勝手に進めているという印象を与えてしまった可能性があります。今後は、改善提案として部署内でしっかり合意形成を図り、トップダウンで推進してもらうか、共通の課題解決としてメンバー全員で検討する場を設けるなど、周囲を巻き込むプロセスをより丁寧に行う必要があると痛感しました。
これらのフィードバックから、技術的な機能だけでなく、導入の意義やメリットをいかに分かりやすく伝え、運用面での抵抗感をなくしていくかが、今後の取り組みにおいて非常に重要であると再認識しました。
次のステップ (発展的な内容)
この基盤が完成したら、次のステップとして以下の自動化を検討できます。
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Teamsの返信内容をSharePointリストに自動追記するフローの作成:
- Teamsチャネルへの返信をトリガーとして、今回保存した「TeamsメッセージID」をキーにSharePointアイテムを特定し、返信内容を「返信履歴」列(複数行テキストの拡張リッチテキスト形式で設定)に追記します。
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Power AppsでSharePointリストを表示し、Teamsの投稿内容や将来の返信履歴をアプリ内で確認できるようにする。