はじめに
AIX の NIM インストールを初めて設定する際、SMIT 画面のパラメータの多さに戸惑った経験はないでしょうか。
AIX のネットワークインストール機能である NIM(Network Installation Management)を使ってクライアントにインストールを行う際、SMIT の設定画面には多くのパラメータが並んでいます。
それぞれの項目が何を意味するのか、公式ドキュメントを参照しながら一つひとつ確認するには相応の時間が必要です。
今回は、IBM Bob を使って SMIT のインストール設定画面の内容を公式ドキュメントと照らし合わせながら整理してもらい、設定項目の詳細をまとめてもらいました。
さらに、生成した内容が本当に正しいかをサブタスクで検証させ、誤りを修正するところまで実施しています。
この記事では、その流れと確認した設定項目の内容を紹介します。
環境・前提情報
- IBM Bob(AIエージェント)を使用
- 参照ドキュメント: AIX Version 7.3 Installing(
install_pdf.pdf)- IBM ドキュメント AIX 7.3 PDFs から取得し、Bob のプロジェクトフォルダ内に保存して参照に使用しています
- SMIT 画面キャプチャ:
aix-install-setup-smit-menu.txt(下記の画面をテキストとして保存したもの)
Install the Base Operating System on Standalone Clients
Type or select values in entry fields.
Press Enter AFTER making all desired changes.
[TOP] [Entry Fields]
* Installation Target nim-client01
* Installation Type rte
* SPOT spot7300-04-00
LPP_SOURCE [7300-04-00_2546]
MKSYSB
BOSINST_DATA to use during installation []
IMAGE_DATA to use during installation []
RESOLV_CONF to use for network configuration []
Customization SCRIPT to run after installation []
Customization FB Script to run at first reboot []
ACCEPT new license agreements? [no]
Remain NIM client after install? [yes]
Preserve NIM definitions for resources on [yes]
this target?
FORCE PUSH the installation? [no]
Initiate reboot and installation now? [yes]
-OR-
Set bootlist for installation at the [no]
next reboot?
Additional BUNDLES to install []
-OR-
Additional FILESETS to install []
(bundles will be ignored)
installp Flags
COMMIT software updates? [yes]
SAVE replaced files? [no]
AUTOMATICALLY install requisite software? [yes]
EXTEND filesystems if space needed? [yes]
OVERWRITE same or newer versions? [no]
VERIFY install and check file sizes? [no]
ACCEPT new license agreements? [no]
Preview new LICENSE agreements? [no]
Group controls (only valid for group targets):
Number of concurrent operations []
Time limit (hours) []
Schedule a Job [no]
Open a console window? [no]
Set the DISPLAY environment variable []
[BOTTOM]
Bob に設定項目を整理してもらう
SMIT の画面テキストと公式ドキュメントの PDF を渡して、各設定項目の詳細をまとめるよう依頼しました。
プロンプトのように入れています。
ファイル "aix-install-setup-smit-menu.txt" にAIXをインストールする際のNIM設定画面の表示内容を保存しています。この設定項目について詳細をまとめてください。
参照情報として "install_pdf.pdf" を利用してください。
Bob はドキュメントの NIM bos_inst オペレーションのセクションや各リソースの説明箇所を参照しながら、設定項目を以下のカテゴリに整理してくれました。
必須設定項目(* マーク)
上記の SMIT 画面で行頭に * マークがついている以下3項目は必ず指定が必要です。
| パラメータ | 設定例 | 説明 |
|---|---|---|
| Installation Target | nim-client01 |
NIM クライアント名。F4 キーで登録済みクライアント一覧から選択できます |
| Installation Type | rte |
インストール方式。rte(標準)/ mksysb(クローン)/ spot の3種類が主な選択肢です |
| SPOT | spot7300-04-00 |
ネットワーク・ブートと起動環境をサポートする SPOT リソース名 |
Installation Type について、公式ドキュメントには以下の記載があります。
If a SPOT copy is not complete, the installation succeeds, but the target machine might not be bootable. A SPOT copy must have the proper device support to boot the target system. While installing from a SPOT copy is the fastest installation method, by using rte or mksysb is more reliable and functional.
spot 方式は最速ですが、SPOT コピーが不完全な場合にターゲットが起動不能になる可能性があるため、通常は rte か mksysb の使用が推奨されます。
実運用では 新規インストールは rte、クローン展開は mksysb、検証環境の高速展開は spot という使い分けが一般的です。なお、BOS マイグレーション(バージョンアップ)には必ず rte を使用する必要があります。
インストールソース・リソース
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
| LPP_SOURCE | インストールイメージを格納するリソース。rte インストール時は必須で、simages 属性が設定されている必要があります |
| MKSYSB |
mksysb インストール時に使用するバックアップイメージのリソース名。SPOT と同じ AIX バージョン・レベルである必要があります |
カスタマイズ・リソース
インストール前後の動作を細かくカスタマイズするためのオプションリソースです。
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
| BOSINST_DATA | 無人インストール用の設定ファイルリソース。ライセンス同意やインストール先ディスクなどを事前定義できます |
| IMAGE_DATA | rootvg の LV・FS 構成を記述するファイルリソース。デフォルト構成をカスタマイズしたい場合に使用します |
| RESOLV_CONF | インストール後の DNS 設定ファイルリソース。mksysb クローン時などに元システムと異なる DNS 設定にしたい場合に便利です |
| Customization SCRIPT | インストール完了後にターゲット上で実行されるスクリプトリソース。シングルユーザー環境での実行のため、デーモンの起動には制限があります |
| Customization FB Script | 初回ブート時(/etc/firstboot)に実行されるスクリプトリソース。マルチユーザー環境で動作するため、デーモンの設定などに使用できます |
インストール動作の制御
| パラメータ | デフォルト | 説明 |
|---|---|---|
| ACCEPT new license agreements? | no |
yes にしないとインストールが完了しません。bosinst_data の ACCEPT_LICENSES フィールドでも設定可能です |
| Remain NIM client after install? | yes |
yes の場合、bos.sysmgt.nim.client が自動インストールされ、NIM マスターからの管理が継続できます |
| Preserve NIM definitions for resources on this target? | yes |
インストール後もリソース割り当て情報を保持するかどうか |
| FORCE PUSH the installation? | no |
NIM クライアント未設定の稼働中システムへ強制インストールする場合に yes を指定します。稼働中のシステムに対して即時リブートが発生するため、誤操作に注意が必要です。
|
| Initiate reboot and installation now? | yes |
yes の場合、即時にクライアントをリブートしてネットワーク・ブート経由でインストールを開始します |
| Set bootlist for installation at the next reboot? | no |
即時リブートせずに次回リブート時のみネットワーク・ブートするよう bootlist を設定します |
Initiate reboot and installation now? と Set bootlist for installation at the next reboot? は排他です。両方を yes にしてはいけません。
追加ソフトウェアと installp フラグ
BOS インストール後に追加でソフトウェアをインストールする場合に使用します。
- Additional BUNDLES と Additional FILESETS を両方指定した場合、FILESETS が優先されバンドルは無視されます(画面の「bundles will be ignored」の注記のとおり)
installp フラグの主な項目は以下のとおりです。
| パラメータ | デフォルト | 対応フラグ | 説明 |
|---|---|---|---|
| COMMIT software updates? | yes |
-c |
更新をコミット(確定)します。TL 更新は必ずコミットが必要です |
| SAVE replaced files? | no |
-N |
no の場合 -N フラグが渡され保存をスキップします。yes にすると reject(取り消し)が可能になりますが、ディスクスペースを消費します |
| AUTOMATICALLY install requisite software? | yes |
-g |
前提ファイルセット(fileset)を自動インストールします |
| EXTEND filesystems if space needed? | yes |
-X |
容量不足時にファイルシステムを自動拡張します |
| OVERWRITE same or newer versions? | no |
-F |
同バージョン・新バージョンを上書きします。通常は no 推奨 |
| VERIFY install and check file sizes? | no |
-V |
インストール後のファイルサイズ検証。時間がかかるためデフォルトは no
|
グループ制御・スケジュール・コンソール
- Number of concurrent operations / Time limit: グループターゲットへの同時インストール数上限と時間制限
- Schedule a Job: 指定日時にインストールをスケジュール実行(Year / Month / Day / Hour / Minute で指定)
- Open a console window?: HMC/IVM 管理クライアントでコンソール出力を xterm に表示
サブタスクで内容の正確性を検証
まとめた内容が正確かどうかを Bob のサブタスク機能を使って検証させました。
Bob がまとめた内容をプレビューで確認した後、以下のプロンプトで検証を依頼しました。
表示している内容が公式ドキュメントと照合して正しいかをサブタスクで確認してください。
サブタスクが洗い出した問題は以下のとおりでした。
重大な誤り:SAVE replaced files? の -N フラグの説明が逆
最初に生成した内容では以下のように記述していました。
-Nフラグ相当。yes の場合、保存します
しかし、実際は -N は「Not save(保存しない)」フラグです。
SAVE=no(デフォルト)のときに -N が渡されて保存をスキップします。SAVE=yes にすると -N フラグなしで保存が行われます。説明の方向が逆転していたため修正しました。
軽微な修正
- SMIT 画面再現で Year/Month/Day/Hour/Minute を5行独立で表示するよう修正
-
spot方式の注意書きを PDF の記述に沿った正確な表現に変更
まとめ
今回は IBM Bob を使って以下の作業を実施しました。
- SMIT 画面キャプチャと公式ドキュメントを渡すだけで、各設定項目の詳細をわかりやすく整理
- サブタスク機能を使った検証で、生成内容の誤りを発見・修正
- Bob が自律的にドキュメントを参照して誤りを特定するプロセスは、設定確認作業の効率化に役立つ
NIM のインストール設定はパラメータ数が多く、ドキュメントを一から読み込むには相応の時間が必要です。
Bob を活用することで、必要な情報を素早くまとめることができました。
検証ステップを組み合わせることで、内容の信頼性を高められる点も便利だと感じています。
なお、今回の内容は公式ドキュメントの以下セクションを参照しています。
- AIX Version 7.3: Installing — Using the NIM bos_inst operation(bos_inst オペレーションの属性一覧)
- AIX Version 7.3: Installing — Using the bosinst_data resource(bosinst_data リソースの説明)
- AIX Version 7.3: Installing — Using the fb_script resource(fb_script リソースの説明)