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2ヶ月394投稿を分析:生成AIコミュニティで何が議論されていたのか?

Last updated at Posted at 2025-12-02

はじめに

マナビDX Quest 2025にて、生成AIをテーマにしたSlackコミュニティチャンネルを設立・運営しました。9月10日から11月1日までの約2ヶ月間で394件の投稿が集まり、活発な情報交換が行われました。

本記事では、このコミュニティで「どんなテーマが話題になり」「どのような学びが生まれたのか」を、データ分析の観点から振り返ります。

本記事は、マナビDX Quest 2025のコミュニティ活動を振り返り、生成AIに関する集合知がどのように形成されたかを分析したものです。

コミュニティの概要

項目 内容
名称 z_生成aiを楽しむ会_ラボ
期間 2025年9月10日〜11月1日(約2ヶ月)
総投稿数 394件
参加者 10名以上のアクティブユーザー
場所 Slack

📊 データで見る活動の特徴

活動の活発度

投稿数を時系列で分析すると、以下の3つの傾向が見られました。

  1. 10月初旬に大きなピークが発生

    • OpenAIの動画生成AI「Sora2」のリリース時期に投稿が集中
    • この1週間だけで、期間全体の約30%以上の投稿が発生しました
  2. 週末の定期的な盛り上がり

    • 「AI大喜利」という定期企画により、週末に投稿が増加
    • 平日も継続的に議論が行われ、コミュニティが常時活性化していました
  3. 平日の朝・夜に投稿が集中

    • 出勤前や帰宅後の時間帯に情報共有が活発化
    • 「スキマ時間での学習スタイル」が浸透していたことが伺えます

🎯 議論された5大テーマ

1. 【最多】AI画像・動画生成の実験(投稿の約45%)

コミュニティで最も活発だったのが、生成AIを使った作品作り(Output)です。

主な活動:

  • Sora2での動画生成:宇宙飛行士、映画風シーンなどの作成
  • 絵文字プロンプト:絵文字だけをプロンプトにして画像を生成するチャレンジ
  • ツール比較:ChatGPT、Gemini、nano bananaなどの生成結果比較

特徴的なエピソード:

🎲(サイコロの絵文字)→ AIが解釈して画像生成
🐉 vs 🐯(龍vs虎)→ 対決シーンを生成

このような「遊び」を通じて、プロンプトエンジニアリングの本質を学ぶ文化が根付きました。

使用ツールの分布:

  • ChatGPT(GPT-4o、DALL-E): 約40%
  • Gemini(Imagen): 約35%
  • その他(Sora2、nano bananaなど): 約25%

2. 技術情報・活用法の共有(投稿の約25%)

実務や開発で使える技術情報も活発に共有されました。

人気のトピック:

  • ChatGPTのモデル選択に関する発見
    • 「デバイスごとにモデル設定が独立して保持される」という仕様の共有
    • 仕事の締め切り直前に気づいた実体験に基づき、多くの反響がありました
  • Gemini CLIの無料活用法
  • OpenAIのエージェントビルダーなど新機能情報
  • PowerBI用のMCPサーバー活用事例

学びのポイント:
成功事例だけでなく**「失敗事例」も積極的に共有される文化**がありました。これにより、初心者が同じ失敗を避けられる知識ベースが形成されました。

3. 倫理・リスクに関する議論(投稿の約15%)

技術的な話題だけでなく、生成AIの社会的影響についても真剣な議論が交わされました。

主な論点:

  1. フェイクニュース・ニセ情報への懸念
    • 「リテラシーが高い人でもフェイクを見抜くのが難しい」という共通認識
    • 具体例:ニセ医者動画、著作権侵害の可能性がある画像生成など
  2. プライバシー・学習データ
    • 「対話をLLMの学習に使わない設定」の比較(Gemini vs ChatGPT)
    • 設定方法の違いを表形式で整理して共有
  3. 著作権問題
    • ジブリ風画像生成に関する是非
    • ChatGPTのPDF読み取り機能におけるリスク

コミュニティの姿勢:
「技術は楽しいが、倫理的な視点も忘れない」というバランスの取れた議論が特徴的でした。

4. AI業界の最新ニュース(投稿の約10%)

メンバーがそれぞれのアンテナでキャッチした業界動向が共有されました。

共有されたニュース例:

  • OpenAIの巨額資金調達・企業連携
  • 読売テレビの「生成AIを駆使したドラマ」番組
  • 人間とAIの関係性に関する学術論文の紹介

5. コミュニティ活動・学習報告(投稿の約5%)

学習プログラムの進捗報告や、外部イベント参加レポートも共有されました。

例:

  • Zoomウェビナー(AIコンパニオン等)参加レポート
  • 課題への取り組み状況の共有(励まし合い)

💡 コミュニティで生まれた独自文化

1. 「AI大喜利」という活性化の仕掛け

週末に定期開催された「AI大喜利」企画が、コミュニティの活性化に貢献しました。

企画内容:

【お題】
「AIが描く『〇〇すぎる〇〇』四コマ漫画」
「絵文字からの画像生成チャレンジ」

【参加方法】
好きなAIツールで作品を作って投稿
→ みんなで絵文字リアクション
→ 技術的な気づきを共有

効果:

  • 遊びながらプロンプト技術を試行錯誤できる
  • 複数AIツールの特性を体感的に理解できる
  • 失敗も含めて共有できる心理的安全性の醸成

2. 絵文字文化の定着

独自の絵文字が頻繁に使われ、コミュニティの一体感を生み出していました。

  • clap nya(拍手)
  • thanks nya(感謝)
  • ouen nya(応援)
  • benkyoninarimasu(勉強になります)

この「nya」系絵文字は、コミュニケーションのハードルを下げ、質問や失敗の共有をしやすくする潤滑油となりました。

今回使用した「nya」系絵文字は、しかまつさんが無料配布されているネコチャン絵文字になります。
Slackでのテキストコミュニケーションを円滑にする素晴らしいスタンプです。

3. 助け合いの連鎖

象徴的だったのが、Sora2の招待コードを相互に配布し合う文化です。

この「ギブ&ギブ」の精神により、全員が新しいツールをいち早く体験し、コミュニティ全体の学習速度が加速しました。

📈 活発化の成功要因

データ分析から見えてきた、コミュニティ活性化の理由は以下の3点です。

1. 心理的安全性の高さ

「こんな優しさに溢れたコミュニティはここくらいじゃないかな」 「心理的安全性の高さがありがたい」
実際の投稿コメントからも、失敗を恐れずに実験・共有できる環境が整っていたことがわかります。

2. 実践→共有→フィードバックのサイクル

このサイクルが高速で回ることで、個人の知見が集合知へと昇華されました。

3. 定期企画による継続性

週末の「AI大喜利」が、コミュニティへの定期的な関与を促しました。 これにより「習慣化による学習の継続」「作品を見せ合う楽しみ」が生まれました。

🎓 得られた学び

コミュニティ運営の観点から

  1. データドリブンな振り返りの重要性

    • 394件の投稿から傾向を分析することで、何が効果的だったかが明確になりました
  2. 「遊び」と「学び」の融合

    • 真面目な技術議論だけでなく、楽しい企画こそが学習のきっかけになります
  3. 倫理的視点の共有

    • 技術だけでなく、社会的影響についても議論する文化の重要性を再認識しました

生成AI活用の観点から

  1. 複数ツールの使い分け

    • ChatGPT、Gemini、Sora2など、目的に応じて使い分ける柔軟性が重要です
  2. プロンプトエンジニアリングは実践で学ぶ

    • 教科書的な知識よりも、試行錯誤の共有が最も効果的でした
  3. 失敗の共有が学習を加速させる

    • 成功事例だけでなく、「なぜうまくいかなかったか」の共有こそが貴重な資産になります

おわりに

2ヶ月間・394投稿の分析から、生成AIコミュニティにおける「学びの生態系」が見えてきました。

主なポイント:

  • データを見ると、技術的な議論(70%)と倫理的考察(15%)のバランスが取れていた
  • 定期企画と心理的安全性が、継続的な学習を支えた
  • 「遊び」の中にこそ、本質的な学びがあった

生成AIは日々進化していますが、このコミュニティのように人と人が学び合う場の価値は変わりません。今後も、技術の進化と人間の学びをつなぐ場を大切にしていきたいと思います。


参考情報


この記事が、生成AIのコミュニティ運営や学習環境づくりの参考になれば幸いです。

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