Next.js + Docker + Mac でポート衝突する地獄と解決法

はじめに

Mac で Next.js を Docker 上で動かしていると、
ある日突然 Error: ports are not available の恐怖に襲われることがあります。
再起動しても直らず、他のコンテナを落としても解決しない——まさに“ポート地獄”。
この記事では、この現象の原因と解決方法をシンプルに整理します。

1. 発生するエラーメッセージ

Error response from daemon: ports are not available: 
exposing port TCP 127.0.16.31:9000 -> 127.0.0.1:0: listen tcp4 ...: bind: can't assign requested address

または：

Bind for 0.0.0.0:3000 failed: port is already allocated

2. 原因の正体

このエラーは、Docker ネットワークが macOS の lo0 インターフェース（ループバック）に正しく紐付けられないことが原因です。
Apple Silicon 環境（M1/M2 Mac）では 127.0.16.x 系の仮想アドレスを使うため、
これが正常に解放されないとポート衝突が起きます。

主な原因まとめ

以前のコンテナが「ゴースト状態」で残っている
Docker が lo0 に追加したエイリアスが削除されていない
docker-compose.yml 内で固定IPを指定していて競合している
macOS の Firewall / VPN がループバック通信をブロックしている

3. まず確認するべきこと

(1) ポートがすでに使われていないか確認

lsof -i :3000

もし出力があれば、そのプロセスを終了。

kill -9 <PID>

(2) 使っているDockerネットワークを確認

docker network ls
docker network inspect <network_name>

"IPAM": { "Config": [ { "Subnet": "172.31.0.0/16" } ] } のような部分に注目。
複数のネットワークで同じサブネットを使っていると衝突します。

4. 即効性のある解決法

✅ 1. コンテナとネットワークを一度全部削除

docker stop $(docker ps -aq)
docker rm $(docker ps -aq)
docker network prune -f
docker volume prune -f

→ これで大抵のポート衝突は解消。

✅ 2. `lo0` にエイリアスを再設定（Mac専用）

Apple Siliconでは、127.0.16.x がDockerコンテナの仮想アドレスになります。
これを再設定するスクリプトを /tmp/add-lo0-aliases.sh に作成。

#!/bin/bash
for i in $(seq 1 20); do
  sudo ifconfig lo0 alias 127.0.16.$i up
done

実行:

sudo bash /tmp/add-lo0-aliases.sh

✅ 3. `docker-compose.yml` の固定IP設定を削除

services:
  app:
    ports:
      - "3000:3000"
    networks:
      app_net:
        ipv4_address: 172.31.0.5  # ← これを削除

固定IPを削除すると、Docker が自動的に安全なアドレスを割り当てます。

5. 恒久的な対策

💡 1. Mac再起動時に自動でlo0エイリアスを再設定

/usr/local/bin/docker-up-fix.sh に次のスクリプトを登録：

#!/bin/bash
for i in $(seq 1 20); do
  if ! ifconfig lo0 | grep -q "127.0.16.$i"; then
    sudo ifconfig lo0 alias 127.0.16.$i up
  fi
done

ログイン時に自動実行するように launchctl へ登録しておくと安心です。

💡 2. `.env` でポートを可変にしておく

複数プロジェクトで同じポートを使うと衝突します。
.envにポート番号を変数化して、compose内で参照するのがおすすめ。

ports:
  - "${APP_PORT:-3000}:3000"

💡 3. Docker Desktop を定期的に再起動

macOS のネットワークキャッシュは永続化されるため、
定期的に Docker Desktop を再起動してキャッシュをクリアするのが効果的。

6. それでも直らないとき

VPNをOFFにする（一部VPNが127系通信を奪う）
RosettaでDockerを動かす（一部のamd64イメージがarm64と競合）
Docker Desktopをリセット（設定 → Troubleshoot → Reset to factory defaults）

まとめ

Next.js と Docker は最高の組み合わせですが、Mac環境ではネットワーク周りに独特の罠があります。
焦らず「lo0」「固定IP」「ポート競合」の3点をチェックすれば、ほとんどのケースで復旧可能です。
この“地獄”を一度経験すれば、もう怖いものはありません。