はじめに

この記事はand factory.inc Advent Calendar 2025 11日目の記事です。

昨日は@nagata1121さんの[Android] CoilでIntrinsicSizeによる画像サイズ指定が効かない時の対処法でした。

概要

Jetpack Composeのテストで「なぜかノードが見つからない！」という経験はありませんか？それはセマンティクスツリーのマージが原因かもしれません。

🔍 セマンティクスツリーのマージとは？

Composeは、パフォーマンスとアクセシビリティの最適化のために、複数のUIノードを1つのセマンティクスノードにマージすることがあります。

マージが発生する条件

Clickable要素（Button、Surface with onClick など）の子要素はマージされます。

// このような構造の場合
Surface(onClick = { /* クリック処理 */ }) {
	Row {
		Icon(...)     // これらの要素は
		Text(...)     // 1つのノードに
		Icon(...)     // マージされる
	}
}

❌ マージによって起こる問題

testTagが見つからない

// ❌ このテストは失敗する
@Composable
fun CardWithTag() {
	Surface(onClick = { /* ... */ }) {
		Text(
			text = "タイトル",
			modifier = Modifier.testTag("title_text")  // このタグは見つからない
		)
	}
}

@Test
fun testTagでノードを見つける() {
	composeTestRule.setContent { CardWithTag() }

  // ❌ 失敗：マージされてtestTagが消える
  composeTestRule.onNodeWithTag("title_text").assertIsDisplayed()

  // ✅ 成功：useUnmergedTreeを使う
  composeTestRule.onNodeWithTag("title_text", useUnmergedTree = true).assertIsDisplayed()
  
  // ✅ 成功：nodeWithTextなら見るかる
  composeTestRule.onNodeWithText("タイトル").assertIsDisplayed()
}

contentDescriptionが結合される

// ❌ 複数のIconのcontentDescriptionがマージされる
@Composable
fun IconRow() {
	Surface(onClick = { /* ... */ }) {
		Row {
			Icon(
				imageVector = Icons.Default.Star,
				contentDescription = "お気に入り"
			)
			Icon(
				imageVector = Icons.Default.Share,
				contentDescription = "シェア"
			)
		}
	}
}

@Test
fun 個別のIconを見つける() {
	composeTestRule.setContent { IconRow() }

  // ❌ 失敗：contentDescriptionが「お気に入り シェア」のように結合される
  composeTestRule.onNodeWithContentDescription("シェア").performClick()

  // ✅ 成功：useUnmergedTreeを使う
  composeTestRule.onNode(
      hasContentDescription("シェア"),
      useUnmergedTree = true
  ).performClick()
}

✅ マージされても大丈夫なケース

Text要素の内容は検索可能

@Composable
fun CardWithText() {
	Surface(onClick = { /* ... */ }) {
		Column {
			Text("タイトル")      // このテキストは
			Text("説明文")        // マージ後も
			Text("2024年12月")    // 検索可能！
		}
	}
}

@Test
fun テキスト内容で検索() {
	composeTestRule.setContent { CardWithText() }

  // ✅ 成功：Textの内容はマージ後も検索できる
  composeTestRule.onNodeWithText("タイトル").assertIsDisplayed()
  composeTestRule.onNodeWithText("説明文").performClick()
}

📊 まとめ表

検索方法	マージ後の動作	useUnmergedTreeが必要？
onNodeWithText()	✅ 検索可能	不要
onNodeWithTag()	❌ 見つからない	必要
onNodeWithContentDescription()	⚠️ 結合される	必要（個別に探す場合）

🎯 使い分けのベストプラクティス

基本はマージされたツリーを使う

パフォーマンスが良い
実際のユーザー操作に近い

useUnmergedTree = trueを使うケース

特定の子要素だけをテストしたい
testTagで個別要素を識別したい
複数のIconから特定のものを選びたい
ノードの階層構造を厳密にテストしたい

Textの検索は通常のツリーでOK

onNodeWithText()は多くの場合そのまま使える

おわりに

いかがでしたでしょうか？
useUnmergedTreeを使うべきところ、そうでないところを理解してComposeのテスト書いていきたいですね。

明日の
Andfactory Advent Calendarもよろしくお願いします。

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