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Vim 8.0Advent Calendar 2016

Day 22

Vim 8.0 Advent Calendar 22 日目 新しいスタイルのテスト

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この記事は Vim 8.0 Advent Calendar の 22 日目の記事です。

Vim 8.0 では、Vim 本体のテストのスタイルが新しくなりました。

新しいテストのサンプル

新しいスタイルのテストは Vim 本体のテストのために追加されたものですが、基本的に Vim script の機能であるため、プラグインのテストにも利用できます。
以下に、新しいスタイルで書かれた簡単なテストコードを示します。

" テスト対象の関数
function! Add(a, b) abort
  return a:a + a:b
endfunction

" --------------------------

function! Test_Add() abort
  call assert_equal(5, Add(2, 3))
endfunction

function! s:run_test() abort
  let v:errors = []

  call Test_Add()

  if empty(v:errors)
    echo 'Test Passed!'
  else
    echo 'Test Failed!'
    for error in v:errors
      echo error
    endfor
  endif
endfunction

call s:run_test()

実行すると、以下のようにテストをパスします。

Test Passed!

テストに失敗する例も示します。Test_Add() 関数を以下のように書き換えます。

function! Test_Add() abort
  call assert_equal(10, Add(2, 3))
endfunction

実行すると、以下のようにテストに失敗します。

Test Failed!
function <SNR>1_run_test[3]..Test_Add line 1: Expected 10 but got 5

テストの仕組み

以上の例から見て取れるのは 2 点です。

  • 値のチェックに使っている assert_equal() 関数
  • テストの結果のチェックに使っている v:errors 組み込み変数

新しいテストでは、これらを使ってテストを書きます。

仕組みは単純です。v:errors 組み込み変数は配列です。assert_ で始まるアサート系の関数を呼び出し、アサートに失敗すると、この v:errors に失敗のメッセージが追加されます。

例で行っているように、テスト開始前に v:errors を空にし、いくつかのアサート系の呼び出したあと、最後に v:errors の中身を確認することでテストを行います。

アサート系関数

追加されたアサート系の関数を紹介します。
ほとんどの関数は {msg} 引数を持っており、これを渡すことで v:errors に入るメッセージを指定できます。省略した場合は関数毎に用意されたメッセージが使用されます。

assert_equal({expected}, {actual} [, {msg}])

{actual}{expected} と等しい事をテストします。型の自動変換は行われません。

assert_notequal({expected}, {actual} [, {msg}])

{actual}{expected} と等しくない事をテストします。

assert_inrange({lower}, {upper}, {actual} [, {msg}])

{actual}{lower} 以上 {upper} 以下の数値である事をテストします。

assert_match({pattern}, {actual} [, {msg}])

{actual} が正規表現 {pattern} にマッチする事をテストします。

assert_notmatch({pattern}, {actual} [, {msg}])

{actual} が正規表現 {pattern} にマッチしない事をテストします。

assert_true({actual} [, {msg}])

{actual} が TRUE である事をテストします。ここでの TRUE は、非ゼロの数値か、v:true です。それ以外の型や値の場合は失敗します。

assert_false({actual} [, {msg}])

{actual} が FALSE である事をテストします。ここでの FALSE は、ゼロの数値か、v:false です。それ以外の型や値の場合は失敗します。

assert_exception({error} [, {msg}])

v:exception に文字列 {error} が含まれている事をテストします。

assert_fails({cmd} [, {error}])

{cmd} を実行した結果、エラーが発生する事をテストします。{error} が渡された場合、v:errmsg に格納されている発生したエラーメッセージに文字列 {error} が含まれている事をテストします。

その他のテスト用関数

assert 系以外で追加されたテストを補助する関数です。ただし、ほとんどの関数は Vim 本体のテストのためのものです。簡単に紹介します。

テスト用関数 説明
test_alloc_fail({id}, {countdown}, {repeat}) メモリの確保を強制的に失敗させます。
test_autochdir({expr}) 起動中に 'autochdir' を有効にします。
test_disable_char_avail() typeahead なしの状態でテストします。
test_garbagecollect_now() 直ちにメモリを解放します。
test_null_channel() null のチャンネルを返します。
test_null_dict() null の辞書を返します。
test_null_job() null の Job を返します。
test_null_list() null のリストを返します。
test_null_partial() null の部分適用関数を返します。
test_null_string() null の文字列を返します。
test_settime({expr}) Vim が使う内部時間を変更します。
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