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detekt の特定の Issue がプルリク差分から検出されたら、CI を失敗にする(シェル芸)

Last updated at Posted at 2024-05-06

経緯

Kotlin 言語で作られた大規模なプロジェクトがあり、その中に不適切な実装(該当 Issue)が1種類ですが多くの箇所にありました。それらを修正したいですが、すべてを修正する工数は取れなそうです。よって新機能開発や機能改修のついでに、そこも修正できるチーム開発体制を作ろうと思います。Kotlin の静的解析ツール detekt に該当 Issue を検出させて、reviewdogDanger でプルリク差分にそれがあればコメントで指摘する GitHub Actions の設定を行いました。しかしコメントも見落とされる可能性があるので、プルリク差分の中に該当 Issue があれば CI を失敗にして、強制力を持たせてみようと思います。

注意点

  • 言うまでも無く、このような設定を行うときは、チームの合意を取りましょう。
  • この記事の内容は個人の見解です。私の所属先でこのような設定を行っているわけではないです。

detekt について

今回、プルリク差分の中にあれば指摘したい該当 Issue の検出は detekt で行います。detekt の設定やカスタムルールの開発方法の説明は、こちらの記事に譲ります。

実際に検出したい該当 Issue は違いますが、上記の記事でカスタムルールのサンプルとして紹介されていた ContextOrder という Issue がプルリク差分にあれば、CI を失敗にしてみようと思います。

// これは context: Context が第1引数なので良し
fun okFunc(context: Context, bar: String) {
    // 何かの実装
}

// これは context: Context が第2引数なので detekt の Issue になる。
// これがプルリク差分の中にあれば CI が失敗になるように設定することが、この記事の本題。
fun ngFunc(bar: String, context: Context) {
    // 何かの実装
}

関連して Konsist の紹介

今回はプルリク差分の中に該当 Issue があれば CI を失敗にしますが、プロジェクト全体に1件でも該当 Issue があれば CI を失敗にしたい場合は、Konsist が使えます。Konsist は JVM 環境の単体テストで実行時型情報をチェックするツールです。Issue があれば単体テストを失敗にすることで CI を失敗に出来ます。

Konsist の使用例

表題の設定方法

detekt の特定の Issue がプルリク差分から検出されたら、CI を失敗にするためには、レポートを SARIF 形式で出力したあとに、いくつかの UNIX コマンドを組み合わせます。それらをひとつずつ紹介します。

レポートの出力

Gradle でレポートを出力します。

./gradlew detekt

find コマンド

マルチモジュール構成かつレポートを Gradle で統合していない場合は、レポートファイルがモジュールごとに出力されるので、find コマンドでそれらを列挙します。

find . -type f -name detekt.sarif
./kgsios/build/reports/detekt/detekt.sarif
./common/build/reports/detekt/detekt.sarif
./detekt-extensions/build/reports/detekt/detekt.sarif
./feature/home/build/reports/detekt/detekt.sarif
./androidApp/build/reports/detekt/detekt.sarif
./data/remote/build/reports/detekt/detekt.sarif

今回は -exec 引数も使っています。次の jq コマンドの {} + に列挙したファイルを渡しています。
(コメントで教えて頂きました。ありがとうございます。)

関連記事

find の -exec optionの末尾につく ; と + の違い。

jq コマンド

SARIF 形式は JSON ファイルです。detekt が出力した SARIF ファイルはこのような形式です。(大幅に省略しています)

{
  "$schema": "https://raw.githubusercontent.com/oasis-tcs/sarif-spec/master/Schemata/sarif-schema-2.1.0.json",
  "version": "2.1.0",
  "runs": [
    {
      "results": [
        {
          "level": "warning",
          "locations": [
            {
              "physicalLocation": {
                "artifactLocation": {
                  "uri": "file:///Users/takada/work/KmmGithubSearch/androidApp/src/main/java/com/tfandkusu/kgs/MainActivity.kt"
                },
                "region": {
                  "endColumn": 6,
                  "endLine": 24,
                  "startColumn": 5,
                  "startLine": 22
                }
              }
            }
          ],
          "message": {
            "text": "Context must be the first parameter"
          },
          "ruleId": "detekt.extra-rules.ContextOrder"
        }
      ]
    }
  ]
}

よって jq コマンドで該当 Issue が含まれている URI 一覧を得ます。

jq -r ".runs[].results[] | select(.ruleId == \"detekt.extra-rules.ContextOrder\") | .locations[].physicalLocation.artifactLocation.uri" {} + # {} + は入力 SARIF ファイル名

-r--raw-output です。出力に "" が含まれなくなります。

.runs[].results[] の中から ruleIddetekt.extra-rules.ContextOrder の要素を探して、その .locations[].physicalLocation.artifactLocation.uri を得ています。

URI 形式で出力されます。

file:///Users/takada/work/KmmGithubSearch/feature/home/src/commonMain/kotlin/com/tfandkusu/kgs/feature/home/HomeActionCreator.kt
file:///Users/takada/work/KmmGithubSearch/androidApp/src/main/java/com/tfandkusu/kgs/MainActivity.kt

sed コマンド

sed コマンドによる文字列置き換えで、該当 Issue を含むファイルの URI をリポジトリルートからの相対パスに変換します。

sed "s|file://$PWD/||"

$PWD 環境変数でカレントディレクトリを取得しています。

file:///Users/takada/takada/KmmGithubSearch/androidApp/src/main/java/com/tfandkusu/kgs/MainActivity.kt

androidApp/src/main/java/com/tfandkusu/kgs/MainActivity.kt

sort コマンド

並び替えコマンドです。あとで join コマンドを使うたためにファイル一覧を昇順にします。

これまでの処理をパイプでつないで、テキストファイルに保存する

これまでの処理をパイプでつないで、テキストファイルに保存します。

find . -type f -name detekt.sarif -exec \
jq -r ".runs[].results[] | select(.ruleId == \"detekt.extra-rules.ContextOrder\") | .locations[].physicalLocation.artifactLocation.uri" {} + | \
sed "s|file://$PWD/||" | \
sort > error_files.txt

git コマンド、sort コマンド

main ブランチと差分があるファイル一覧を得て、昇順にしてからテキストファイルに保存します。

git diff --name-only origin/main | sort > change_files.txt

(ここで「プルリク差分」とは main ブランチとの差分と定義しています)

join コマンド

これまでのステップで作成された、error_files.txtchange_files.txt の共通する行を取得します。

join error_files.txt change_files.txt

この結果が空ならばプルリク差分には該当 Issue 無し。そうで無ければ該当 Issue 有りとなります。

grep コマンド

grep コマンドを使い、結果が空か否かを判定します。

! join error_files.txt change_files.txt | grep '.'

grep '.' ですべての文字列にマッチします。grep コマンドはマッチしたら成功、マッチしなければ失敗ですが、今回は結果を反転させたいです。そのため先頭に ! を付けています。

GitHub Actions のワークフローで、これまでのコマンドを実行する

GitHub Actions のワークフローでこれまでのコマンドを実行する設定はこのようになります。

check.yml
name: check
on:
  push:
    branches:
      - main
  pull_request:
    types:
      - opened
      - synchronize
      - reopened
jobs:
  check:
    runs-on: ubuntu-latest
    timeout-minutes: 10
    steps:
      - uses: actions/checkout@v3
        with:
          fetch-depth: 0
      - uses: actions/setup-java@v3
        with:
          distribution: 'adopt'
          java-version: '17'
      - run: ./gradlew deteKt
      - run: |
          find . -type f -name detekt.sarif -exec \
          jq -r ".runs[].results[] | select(.ruleId == \"detekt.extra-rules.ContextOrder\") | .locations[].physicalLocation.artifactLocation.uri" {} + | \
          sed "s|file://$PWD/||" | \
          sort > error_files.txt
      - run: git diff --name-only origin/main | sort > change_files.txt
      - name: ContextOrder 違反チェック
        run: "! join error_files.txt change_files.txt | grep '.'"

最後のコマンドについては name: フィールドを設定することで、CI 失敗理由を分かりやすくしています。また ! は YAML ファイルにおいてタグを表すので、ダブルクオテーションで囲んでいます。

まとめ

今回は新機能開発や機能改修のついでに、プルリク差分にある既存の問題点を修正する強制力を CI に持たせる設定方法(所謂シェル芸)を紹介しました。問題点は detekt で Issue として検出できるようにしておき、SARIF 形式のレポートファイルから jq, sed コマンドで該当 Issue を含むファイル一覧を得ます。git コマンドで main ブランチとの差分ファイル一覧を得たら、共通の行があるかを join コマンドで確認して、あれば CI を失敗にすることで、表題の設定ができることを解説しました。

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