全社の育成・研修設計、開発領域の採用と、社内のレクリエーション含めたコミュニケーション周りを担当している @tetsunosukeito です。4月まではエンジニアの組織に所属していました。
この記事は Photocreate Advent Calendar 2018 の 3日目 の記事です。
概要
- まえがき
- 昔、新卒の面接に関わっていた時の話
- 技術者の採用にあたり、質問集をまとめている話
- 構造化面接とアトラクトについて
- よく?ある質問
まえがき(私について)
2002年、新卒でいわゆる大企業にSE職として入社しました。同期はおよそ800人くらい、という規模です。1,2年目の頃、新卒採用の面接官として現場に関わることができたのが、私が採用側として面接に初めて関わったきっかけです。
その後いわゆる常駐に際しての面談、転職の面接を経て、被選考者として面接に関わり、現職にECのエンジニアとして入社後は一緒に働きたい人を面談・面接する、という形で選考に関わりました。
現在は主に中途採用の面接という形で選考に関わっています。
この記事は「採用」の中でも「選考」にフォーカスしており、どのようにしたら良い人材を集められるか?、会社での広報含めた採用ってどうしているの?という話はスコープ外です。
新卒採用の面接に関わっていたときの話
当時所属している会社では「(SPI等の筆記試験等で足切りをせず)応募者と全員会う」という取り組みをしていました。また学歴(いわゆる学歴というよりは、出身校1)不問採用ということで、学部名のみを選考シートに記載するように促していました。2
最近では当たり前となっていますが、当時より、「本人の資質によらない面での選考をしないようにする」ことに対して、いち早く取り組んでいた企業、というイメージがあり、その企業での「人材採用センター」の取り組みは個人的に多くのことを学びました。
- なぜ尊敬する人物を聞いてはいけないのか
- なぜ出身地を聞いてはいけないのか
- 1:1での面接時、部屋を密室にしないこと
- 特に、面接会場は京王プラザホテルの部屋だったので
- 1次面接と2次面接で全く同じ質問を投げかけるのはなぜか
- 面接官が良い印象を持ってもらうには
前半2つ3の基本的な考え方は、公正な採用選考の基本(厚労省) に記載されています。
ここに
『面接』を行う場合についても、職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう留意しましょう。
との記載があります。現在も、このために選考の際には「質問集」を準備しています。
どのような質問集を作っているのか
面接と言えば
ソフトウェア開発者採用ガイド をまずは思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実際の技術を面接で判断するのはとても難しく、現状の採用基準としては、技術力よりも人物像を重視、技術についてはキャッチアップしようとする姿勢を重視しています。4 こちらは、現在利用している技術群のうちいくつかをリプレースの検討をしているという背景もあります。
質問集の例
職種共通の人物要件と職種ごとの要求されるスキルセット等について分けて記載します。あくまでも一例ですが、このようになっています。
項目 | 質問内容例 | チェックポイントの例 |
---|---|---|
人物 | 転職の動機について教えてください | 現職が嫌なだけではないか、環境を自ら変えていける人かどうか等 |
人物 | チームで一緒にはたらく人に期待することはなんですか? | 自身の得意不得意の認識、価値観 |
趣味 | ◯◯が趣味なんですね | 好きなことに対しての説明力・ストレスマネジメントをどう考えているかなど |
技術 | PHP/Laravel の好きなところ・嫌いなところを教えてください | 他の言語等の学習範囲、ただ書けるだけのエンジニアか?技術選定力は? |
技術 | ◯◯について説明してください | 基礎力の確認、説明力 |
技術 | あなたは現在100点満点で何点の技術者ですか?合格点を80点とすると、そこに到達するためにはあとは何が必要ですか?5 | 自身の課題感について把握しているかなど |
個々の質問に対して多くの場合は絶対的な正解が存在しているわけではなく、発言に対しての一貫性などを通じて、口頭でなら回答できることの裏を取るようにします。
残念なことに、基礎的な質問に対して答えられないのに100点満点で100点だと自称する方が稀にいらっしゃるのですが...
その他の質問については 最終面接の5つの想定問答と逆質問の事例をチェック! あたりの内容なんかも聞いていますね。このへんは一種のテンプレートっぽいところでもあるので、ぜひ自分なりに準備して面接に臨まれるとこちらからの理解が促進されるので助かります。
趣味特技を履歴書に書くのって好きじゃない(履歴書の例の特技が全国大会優勝!とか書いてあって萎える)のですが、趣味はそのひとのこだわりにあたる部分でもあったり、大事にしていること(場合によっては仕事よりも大事にしている)でもあったりするので、ごくごく一般的な「音楽/映画鑑賞」「旅行」以外であったり、具体的であればあるほど楽しいお話ができることが多い気がしています。ちなみに私は「リアル脱出ゲーム」「競技クイズ」「ボードゲーム」って書いてます。(昔は料理って書いてました)
構造化面接とアトラクト面接について
選考をするという意味では、このような質問集を作成しておくことにより、面接官によらない 構造化面接 ができるという観点があります。面接の実施は人事部門が行うことで改めて客観性の担保という面があるものの、一緒に働く現場のメンバーが面接をしたほうが良いと考えているからです。
アトラクト
スキルや人物像がマッチするかを見極める以外にも面接官にはいくつかの役割が存在します。その一つがモチベーターと言われる役割です。
入社意欲を高め、志望動機をつくる役割で、基本的に最初の面接を行う存在です。人事担当や現場マネージャーが担います。
モチベーターは、自身が入社した経緯や自社の魅力を伝えるだけでなく、候補者がどのような将来像を描いているのか察し、「この会社で◯◯を実現したい!」と思えるよう、挑戦したい気持ちや志望動機を形成します。対応のタイミングやスピード感などに気を配り、意図的に縁を演出することもあります。
(候補者の入社意欲を高めて逃さない、面接における4つの役割とは(HR view) より引用)
面接という場は、選考する面接官が求職者のことを知る場である一方で、同じくらい会社のこと、これから働くかもしれない現場のことを知ってもらう場である ため、このような役割も面接の中で担っていく必要があります。こちらが良いと思った人物であっても、向こうがこちらのことを良いと思ってもらわなければ話になりません。こういった、魅力づけ・志望度を高めるための面談をアトラクト面談 というそうです。
特に技術者の方は自身の技術的なことについて、面接ごときではわからないと考える方もいらっしゃると思います。ましてや人事担当に判断されることを快く思わない方も多いでしょう。私自身は確かに元開発部門のメンバーではありましたが、現場のエンジニアと同レベルで最新技術のウォッチができているわけではありません。そのためやはり現場レベルのメンバーが面接にて、リアルなお話をさせていただく ことが重要だと思います。しかしながら現場メンバーは選考という面においてはそれが専門ではないので、このようなある程度定まった質問集に基づき、すべきでない質問を避けつつ、候補者の方に対しては実直に当社側の状況についてお伝えし、双方納得の上ご入社いただければと考えています。
よく聞かれること
このようにお互いを知ることを目的とした面接においては、求職者の方が疑問に思うことについてできるだけ解消したいと考えています。
コーポレートサイト や 採用サイト や他の求人記事である程度の説明ができればと思いますが、どうしてもそれだけではわからない情報もあるかと思います。
以下に、質問でよく挙がる内容を記載します。(回答については、随時どこかで公開したいと考えています)
- 開発するものは誰がどう決めて担当者に落ちてくるのか
- 社内受託みたいな体制になってしまう会社もありますよね。心配ですよね。
- 会社によっていろいろ異なる部分があるポイントかと思います。当社の中でも状況により変えている部分があったりします。
- チームの構成やコミュニケーションスタイルは?
- 一緒に働く人のことはやはり大事ですよね。
- メンバーについてはアドベントカレンダーの他の記事をぜひ読んでみてください!
- 1日の仕事の流れは?
- 1日単位というよりも1週間で考えて動いている人が多いかなと思います。こちらも人によって異なる面もあるので、面接官のよくある一日と、気になるポイントに絞ってお答えさせていただいています。
- 仕事中に音楽聞いてもいいですか?
- 直接声をかけて話したいこともあるのでそのときは反応してくださいね
- ◯◯ってどうやって実現しているんですか?
- 企業秘密です!の部分もあるので、答えられる範囲のことをその場でお伝えさせていただいています。
- 入社したら◯◯みたいなことしたいんですが◯◯な商品は売ってますか?
- 当社の商品を購入する際にパスワードが必要になったりすることがあり、実際のサイトをご覧頂いてもわからないことがありますよね、こちらはもっとわかりやすくお伝えしていきたいと考えています。
などなど、今後はカジュアルにお話をできる機会なども作っていきたいと思います。
最後に
明日の記事は @kazuyuki_ito さんによる HTMLコーダーさんにVue.jsを教えてみた話 です。
私もSlackチャンネルに参加していますが、進んでいる感が残る仕組みはとても良いと思います。
フォトクリエイトでは、必要な技術をともに身につけていくことを含め、自身の手でいろいろなことを変えていく行動力のある方からの ご応募をお待ちしております。
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東大京大の人は説明会に参加予約できるけどFランだと〜みたいなやつです ↩
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まあ、「第三学群」とか書かれるとああ・・・茨城方面・・・とか思ったりはしますが ↩
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このへんは自身が面接を受ける側のときに、なんでだろう?が解消されました。和やかに終わった面接が落ちるのに、厳しかった印象の面接で受かっているあたりの種明かし的なことです。あとはセクハラとか。 ↩
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能力をみるにはやはり一緒に働いてみる、コードを書いてもらうくらいまでやらないと... ↩
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ここで「100点」と答える人は、さらにレベル数を大きくしていくと、すぐに該当者がLarry Wall だけになります。 のネタがわからない人なのかな...と思います。 ↩