4
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

日刊IETF (2025-10-19) - Part 1/2

Last updated at Posted at 2025-10-20

こんにちは、GMOコネクトの名もなきエンジニアです。
よろしくお願いします!

今日もIETFは活発です!夏休みが終わりそうな小学生のようなムーブです!

日刊IETFは、I-D AnnounceやIETF Announceに投稿されたメールをサマリーし続けるという修行的な活動です!!
今回は、2025-10-19(UTC基準)に公開されたInternet-DraftとRFCをまとめました。

  • Internet-Draft: 50件(本記事は1-25件目)
  • RFC: 0件

参照先:

本日の関連ページリンク


その日のサマリー & Hot Topics

  • 本日は50件のInternet-Draftが投稿され、RSVP認証の暗号化強化、セグメントルーティングの拡張、ゼロトラストAIのセキュリティ、量子インターネットアーキテクチャなど多岐にわたるテーマが含まれています。
    • 特に暗号技術とセキュリティ関連では、HMAC-SHA2を用いたRSVP認証、ML-DSA公開鍵アルゴリズムのSSH対応、HPKEのCOSE/JOSE統合など、次世代暗号への移行が進んでいます。
  • ネットワーク管理においてはIntent-Based NetworkingやAI駆動型ネットワーク運用、LLMエージェントによる管理フレームワークなど、AI/ML技術の統合が顕著です。
  • セキュリティ分野では、EDHOC認証のAKA連携、鍵透明性プロトコル、リモート認証におけるNonceベースの新鮮性保証、PQC連続性のためのTLSダウングレード保護など、認証とトラストの強化が重点テーマとなっています。
  • また、RPKIベースのAS_PATH検証、BGPモニタリング要件、IPv6デプロイメント監視など、ルーティングセキュリティとインフラ可視性の向上も注目されます。さらに、IoTデバイスの初期セキュリティセットアップ、制約されたネットワーク要素のブートストラップ、YANGデータの来歴証明など、エッジとIoT環境のセキュリティ強化も進展しています。

投稿されたInternet-Draft

In-Place Bandwidth Update for MPLS RSVP-TE LSPs

このドラフトは、MPLS RSVP-TEラベルスイッチドパス(LSP)トンネルの帯域幅をMake-Before-Break(MBB)を使用せずにインプレースで更新する手順を規定しています。従来のMBB方式では新しいLSPを確立してから古いLSPを削除する必要がありましたが、この手法により運用の簡素化とリソース効率の向上が期待されます。ネットワークオペレータが動的にトラフィック要件に応じて帯域を調整できるようになり、より柔軟なトラフィックエンジニアリングが可能になります。

Draft Link

RSVP Cryptographic Authentication with HMAC-SHA2

このドラフトは、RSVP暗号認証バージョン2でHMAC-SHA2を使用するための仕様を定義しています。米国NISTのセキュアハッシュ標準をHMACモードで適用することで、従来のMD5やSHA-1よりも強固な認証を提供します。draft-ietf-teas-rsvp-auth-v2と合わせて、RFC2747とRFC3097を廃止し、現代の暗号標準に適合した認証メカニズムへの移行を促進します。ネットワークプロトコルのセキュリティ強化において重要な一歩となります。

Draft Link

Use Cases and Practices for Intent-Based Networking

このドラフトは、Intent-Based Networking(IBN)の複数のユースケースと、実際のIBNシステムのライフサイクルに沿った各ユースケースの区別方法を提案しています。IBNシステムの初期システム認識とデータ収集から、インテント変換、デプロイメント、検証、評価、最適化に至るシステム構築プロセスを包括的にカバーします。実践的な学習と一般的な学習もまとめられており、IBN技術を統合した次世代ネットワーク管理システムの構築を指導します。ネットワーク運用の自動化と高度化に向けた実用的なガイドラインとなります。

Draft Link

Delegation Revalidation by DNS Resolvers

このドラフトは、DNSリゾルバが委任の再検証を行うための手順を定義しています。DNSの委任情報は時間とともに変化する可能性があり、キャッシュされた古い委任情報が解決の失敗や誤った応答につながる可能性があります。この仕様により、リゾルバは委任の有効性を定期的に確認し、DNS解決の信頼性と正確性を向上させることができます。特に大規模なDNSインフラストラクチャにおいて、名前解決の品質向上に寄与します。

Draft Link

PCEP extensions for SR P2MP Policy

このドラフトは、セグメントルーティング(SR)のポイントツーマルチポイント(P2MP)ポリシーをサポートするためのPath Computation Element Protocol(PCEP)拡張を定義しています。SR P2MPポリシーにより、マルチキャストトラフィックの効率的な配信とトラフィックエンジニアリングが可能になります。PCEPを通じてSR P2MPパスの計算と制御を行うことで、ネットワークオペレータはマルチキャストサービスを柔軟に管理できます。5Gやビデオストリーミングなどのマルチキャストアプリケーションにおいて重要な技術となります。

Draft Link

VCON for MIMI Messages

このドラフトは、More Instant Messaging Interoperability(MIMI)メッセージにVCON(Verifiable Credential Object Notation)を適用する方法を定義しています。VCONを使用することで、インスタントメッセージングプラットフォーム間での相互運用性を確保しつつ、メッセージの検証可能性と信頼性を向上させることができます。異なるメッセージングシステム間での安全で信頼できる通信を実現し、ユーザーのプライバシーとセキュリティを保護します。

Draft Link

IPv6 Prefix Assignment to end-users

このドラフトは、エンドユーザーへのIPv6プレフィックス割り当てに関するベストプラクティスと考慮事項を提供します。IPv6の普及が進む中、適切なプレフィックス割り当て戦略は、アドレス空間の効率的な利用とネットワークの拡張性を確保するために重要です。家庭用ネットワーク、企業ネットワーク、モバイルネットワークなど、さまざまなシナリオにおけるプレフィックスサイズの推奨事項と、将来の成長を考慮した割り当て方針を提示します。

Draft Link

A well-known URI for publishing service parameters

このドラフトは、サービスパラメータを公開するためのwell-known URIを定義します。サービスプロバイダがサービスの設定情報やメタデータを標準化された場所で公開できるようにすることで、クライアントアプリケーションがサービスを自動的に発見し設定できるようになります。API、認証エンドポイント、サービス機能などの情報を一貫した方法で提供でき、サービスの統合と相互運用性が向上します。

Draft Link

SRv6 BGP Unreachable Prefix Announcement (UPA)

このドラフトは、SRv6環境におけるBGP Unreachable Prefix Announcement(UPA)メカニズムを定義しています。プレフィックスが到達不可能になった際に、BGPを通じて迅速にその情報を伝播させることで、ルーティングの収束時間を短縮し、トラフィックのブラックホールを防ぎます。SRv6の柔軟なルーティング機能と組み合わせることで、より高速で信頼性の高いネットワーク障害対応が可能になります。

Draft Link

Identity Assertion JWT Authorization Grant

このドラフトは、OAuth 2.0フレームワークにおいてIdentity Assertion JWTを使用した認可グラントタイプを定義します。JSON Web Token(JWT)ベースのアイデンティティアサーションにより、信頼できる第三者が発行したクレームに基づいて認可を行うことができます。フェデレーテッドアイデンティティシナリオやシングルサインオン(SSO)において、セキュアで相互運用可能な認証・認可フローを実現します。

Draft Link

Zero-Trust Sovereign AI: Verifiable Geofencing & Residency Proofs for Cybersecure Workloads

このドラフトは、ゼロトラストとソブリンAIの原則を組み合わせた、検証可能なジオフェンシングとレジデンシープルーフのフレームワークを提案します。AIワークロードが特定の地理的境界内で実行されることを暗号学的に証明し、データ主権とコンプライアンス要件を満たします。国家安全保障、規制遵守、データプライバシーが重要な環境において、AIシステムの信頼性と透明性を確保する革新的なアプローチです。

Draft Link

A Multiplane Architecture Proposal for the Quantum Internet

このドラフトは、量子インターネットのためのマルチプレーンアーキテクチャを提案します。量子通信、古典通信、制御プレーンを分離することで、量子もつれの分配、量子鍵配送、量子テレポーテーションなどの量子アプリケーションをサポートする柔軟で拡張可能なアーキテクチャを実現します。量子インターネットの実現に向けた基盤技術として、ネットワークプロトコルスタックの設計指針を提供します。

Draft Link

RSVP Cryptographic Authentication, Version 2

このドラフトは、RSVPプロトコルの暗号認証バージョン2を定義します。従来のバージョン1の脆弱性に対処し、現代の暗号標準に準拠した強固な認証メカニズムを提供します。メッセージの完全性保護とリプレイ攻撃防止を強化し、RSVP-TEを使用したMPLSネットワークのセキュリティを大幅に向上させます。RFC2747とRFC3097を更新し、より安全なトラフィックエンジニアリングを可能にします。

Draft Link

Reclassifying RFC6052 to Internet Standard

このドラフトは、RFC6052「IPv6アドレッシングとIPv4/IPv6変換」をProposed StandardからInternet Standardに再分類することを提案します。RFC6052は、IPv6とIPv4間のアドレス変換において広く実装・展開されており、その成熟度と相互運用性が実証されています。Internet Standardへの昇格により、この重要な変換メカニズムの標準としての地位が確立されます。

Draft Link

Binary Application Record Encoding (BARE)

このドラフトは、Binary Application Record Encoding(BARE)という効率的なバイナリエンコーディングフォーマットを定義します。JSONやXMLなどのテキストベースフォーマットと比較して、よりコンパクトで高速な処理が可能です。IoTデバイス、組み込みシステム、帯域幅制約のある環境において、データの効率的なシリアライゼーションとデシリアライゼーションを実現します。型安全性とスキーマ駆動のアプローチにより、データ交換の信頼性も向上します。

Draft Link

Merkle Tree Certificates

このドラフトは、Merkle Treeを使用した証明書管理システムを提案します。Merkle Treeの暗号学的特性を活用することで、証明書の存在証明、非存在証明、監査可能性を効率的に提供できます。証明書の透明性ログ、証明書失効リスト(CRL)の代替、大規模PKIシステムにおける検証の効率化など、多様なユースケースに適用可能です。ブロックチェーン技術との親和性も高く、分散型信頼モデルの構築に貢献します。

Draft Link

OAM for Service Programming with Segment Routing

このドラフトは、セグメントルーティングを使用したサービスプログラミングにおける運用・管理・保守(OAM)メカニズムを定義します。サービスファンクションチェイン(SFC)やネットワークスライシングなど、高度なサービスプログラミングにおいて、パスの可視化、障害検出、性能測定が重要です。セグメントルーティングのOAM機能により、サービス品質の監視とトラブルシューティングが容易になり、運用効率が向上します。

Draft Link

Site Mobility-Enabled Computing Aware Traffic Steering using IP address anchoring

このドラフトは、IPアドレスアンカリングを使用したサイトモビリティ対応のコンピューティング認識トラフィックステアリングを提案します。エッジコンピューティング環境において、計算リソースの配置とネットワークトポロジを考慮してトラフィックを最適化します。サイトが移動する場合でもIPアドレスの連続性を保ちながら、最も効率的なコンピューティングノードにトラフィックをステアリングすることで、低遅延と高性能を実現します。

Draft Link

EDHOC Authenticated with AKA

このドラフトは、EDHOC(Ephemeral Diffie-Hellman Over COSE)をAKA(Authentication and Key Agreement)で認証する方法を定義します。3GPPネットワークで使用されるAKA認証メカニズムをEDHOCと統合することで、5GやIoT環境において軽量で安全な鍵交換を実現します。制約のあるデバイスでも効率的に動作し、既存の携帯電話網の認証インフラを活用できるため、大規模なIoTデプロイメントに適しています。

Draft Link

ML-DSA Public Key Algorithms for the Secure Shell (SSH) Protocol

このドラフトは、SSH(Secure Shell)プロトコルでML-DSA(Module-Lattice-Based Digital Signature Algorithm)公開鍵アルゴリズムを使用するための仕様を定義します。ML-DSAは耐量子暗号アルゴリズムであり、将来の量子コンピュータによる攻撃に対する耐性を提供します。SSHにおけるホスト認証とユーザー認証を量子安全なアルゴリズムで保護することで、長期的なセキュリティを確保します。Post-Quantum Cryptography(PQC)への移行における重要な一歩です。

Draft Link

Seamless Multicast Interoperability between EVPN and MVPN PEs

このドラフトは、EVPN(Ethernet VPN)とMVPN(Multicast VPN)のPEルータ間でシームレスなマルチキャスト相互運用性を実現する方法を定義します。異なるVPN技術を使用するネットワークセグメント間でマルチキャストトラフィックを効率的に転送できるようにすることで、ネットワーク統合と移行を容易にします。データセンター、キャンパスネットワーク、WANにまたがるマルチキャストサービスの提供において重要な技術です。

Draft Link

Extended Procedures for EVPN Optimized Ingress Replication

このドラフトは、EVPN最適化入力レプリケーション(Optimized Ingress Replication)の拡張手順を定義します。マルチキャストトラフィックの配信において、入力レプリケーションを最適化することでネットワーク帯域の効率的な使用と遅延の削減を実現します。特に大規模なデータセンターファブリックやキャンパスネットワークにおいて、マルチキャストトラフィックのスケーラビリティとパフォーマンスを向上させます。

Draft Link

Key Transparency Protocol

このドラフトは、公開鍵の透明性を確保するための鍵透明性プロトコルを定義します。公開鍵の登録、更新、検証を透明性ログを通じて監査可能にすることで、中間者攻撃や鍵のすり替えを検出できます。エンドツーエンド暗号化されたメッセージングシステムやPKIにおいて、ユーザーの公開鍵が正当であることを確認する重要なメカニズムです。Certificate Transparencyの概念を公開鍵管理に拡張したものです。

Draft Link

Common Interface Extension YANG Data Models

このドラフトは、共通インターフェース拡張のためのYANGデータモデルを定義します。ネットワークデバイスのインターフェース管理において、標準化された拡張ポイントを提供することで、ベンダー固有の機能と標準機能の共存を可能にします。ネットワーク管理の自動化とプログラマビリティを向上させ、異なるベンダーのデバイス間での相互運用性を確保します。NETCONF/RESTCONFによる一貫したインターフェース設定が実現します。

Draft Link

Key Transparency Architecture

このドラフトは、鍵透明性システムのアーキテクチャを定義します。公開鍵の登録、配布、検証を行う各コンポーネントの役割と相互作用を明確にし、エンドツーエンドの透明性を実現します。透明性ログサーバー、監査者、ユーザークライアントの機能を規定し、信頼の最小化とプライバシー保護を両立させます。メッセージングアプリ、PKI、分散システムなど、幅広いアプリケーションにおける公開鍵管理の信頼性を向上させる基盤技術です。

Draft Link

編集後記

  • 本日の50件のドラフトを通じて、ネットワーク技術が量子コンピュータ時代への備え、AI/ML技術の統合、エッジコンピューティングの実用化という3つの大きな波に直面していることが明確になりました。
  • 特に暗号分野では、HPKEやML-DSAなどの耐量子暗号アルゴリズムの実装が加速しており、TLSのダウングレード保護やSSHの量子安全化など、具体的な移行戦略が示されています。
  • AI駆動型ネットワーク管理の提案が複数見られ、ネットワークデジタルツイン、LLMエージェント支援管理、MCPの適用など、運用の自動化と高度化が現実のものとなってきています。同時に、RPKIとASPAによるルーティングセキュリティの強化、IoTデバイスのセキュアなブートストラップ、YANGデータの来歴証明など、基盤インフラの信頼性向上にも注力されています。セキュリティ、自動化、相互運用性を三本柱として、インターネットの次の進化段階に向けた準備が着実に進んでいることが感じられる一日でした。

最後に、GMOコネクトでは研究開発や国際標準化に関する支援や技術検証をはじめ、幅広い支援を行っておりますので、何かありましたらお気軽にお問合せください。

お問合せ: https://gmo-connect.jp/contactus/

4
3
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
4
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?