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既存の vCenter Server インスタンス間で拡張リンクモードを有効化する

Last updated at Posted at 2023-12-14

概要

vCenter Server 拡張リンク モード ( Enhanced Linked Mode, ELM )は、vCenter Server インスタンス間で相互認証を可能にするものです。拡張リンクモードで接続された vCenter Server インスタンスからは、グループ内のすべての vCenter Server システムのインベントリを表示および管理できます。

拡張リンクモードの有効化には複数の vCenter Server インスタンスが必要となりますが、2つめ以降のインスタンスが新規作成か既存環境かによって構成方法が異なります。

vCenter Server インスタンスを新規に作成する場合

GUI を使用した vCenter Serverアプライアンスのデプロイ の際に vCenter Single Sign-On ドメインとして既存のドメインを選択することで、拡張リンクモードの構成ができます。本記事では触れません。

既存の vCenter Server インスタンスを利用する場合

既存のインスタンスで拡張リンクモードを有効化するためには、2つめ以降のインスタンスで対向側の vCenter Single Sign-On ドメインに参加する操作が必要になります。この操作は VMware のドキュメントでは 異なるドメイン内の別の vCenter Server への vCenter Server の再ポイント (Repoint)と呼称されています。以降では再ポイントの手順について記載していきます。

前提

  • vCenter Server 6.7 U1 以降
  • vCenter Server 同士でバージョンを揃える
  • (任意)作業前に各ノードのファイルベースバックアップを実施

手順

vcsa-01a と vcsa-01b という2つのインスタンスを例に、拡張リンクモードを有効化していきます。

作業前状態

[vcsa-01a] の vSphere Client からは [RegionA01] の環境を確認・操作できます。
image.png

[vcsa-01b] の vSphere Client からは [RegionB01] の環境を確認・操作できます。
image.png

事前チェックモード

再ポイントは、SSOドメインに参加する vCenter Server インスタンス (ここでは vcsa-01b) のノードにSSHし、cmsso-util domain-repoint コマンドで実施します。まずは以下コマンドで事前チェックを行います。

コマンド

vcsa-01b
cmsso-util domain-repoint -m pre-check --src-emb-admin Administrator --replication-partner-fqdn FQDN_of_destination_node --replication-partner-admin PSC_Admin_of_destination_node --dest-domain-name destination_PSC_domain

パラメータ解説

フラグ 説明 サンプル値
--src-emb-admin 組み込みの vCenter Server を使用する vCenter Server (vcsa-01b) の管理者 (@domain 不要) Administrator
--replication-partner-fqdn レプリケーション パートナー vCenter Server (vcsa-01a) の FQDN vcsa-01a.corp.vmbeans.com
--replication-partner-admin レプリケーション パートナー vCenter Server (vcsa-01a) の SSO 管理者 Administrator
--dest-domain-name ターゲット vCenter Server (vcsa-01a) の SSO ドメイン名 vsphere.local

実行サンプル

vcsa-01b でチェックコマンドを実施します。Source (vcsa-01b) と Partner (vcsa-01a) それぞれのパスワードを聞かれるので適宜入力します。
image.png

確認ののち、事前チェックが実施されます。
image.png

ここまでの事前チェックによって競合が確認された場合は、 /storage/domain-data ディレクトリに書き込まれます。

実行モード

事前チェック後に、実際に再ポイントを実行していきます。

この間実行コマンドを実施する vCenter Server (vcsa-01b) 上の各種サービスが停止・再起動します。

コマンド

事前チェックでは -m フラグに pre-check を指定していましたが、execute を指定します。他のパラメータは事前チェックと同様です。

vcsa-01b
cmsso-util domain-repoint -m execute --src-emb-admin Administrator --replication-partner-fqdn FQDN_of_destination_node --replication-partner-admin PSC_Admin_of_destination_node --dest-domain-name destination_PSC_domain

実行サンプル

image.png
image.png
実行完了には数分程度かかります。

作業後確認

拡張リンクモードが有効化されていることを、vcsa-01a の vSphere Client から確認していきます。なお、vcsa-01b の vSphere Client からも全く同じ情報を確認することができます。

インベントリ

[RegionA01][RegionB01] の両方の環境を確認・操作することができるようになっています。
image.png

管理

[Administration] > [Deployment] > [System Configuraion] から、両方のインスタンスを確認することができます。
image.png

[v] アイコンで情報を展開すると、相互に [Replication partner] となっていることがわかります。
image.png

[VIEW AS TOPOLOGY] をクリックするとトポロジ図を確認できます。
image.png

EOF

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