TRIAL&RetailAI Advent Calendar 2025 の16日目の記事になります。
昨日は @tou_kenichiroさんの 「Kotlinにおける int型 への変換あれこれ」 という記事でした。ぜひご一読ください!
ベランダ家庭菜園
今年からベランダで水耕栽培に取り組んでいます。
本記事では水耕栽培の詳細については書きませんが、途中、困難があったもののなんとか収穫まで漕ぎ着けることができました。
こちらは3年ほど取り組んでいるのですが、毎回直面する課題がありました。
それは水やりです。
とくに酷暑がひどい昨今の夏は、1日たりとも水を欠かすことができません。
ベランダに水道蛇口があるわけではないので、往復して水を汲むのも億劫です。
「これはどうにかして水やりを楽にしたい」と考えていました。
既製品はいまいちだった
まず自分でつくる前に既製品を試してみることにしました。
通販で検索するとポンプで水を汲み上げて散水する製品がいくつか確認できます。
その中でも販売元のホームページがあり、製品の説明が詳細に記述されている「ソーラー自動灌水器 水やり花子」を購入しました。
結論から述べると、この製品は自分にとってはイマイチで使い勝手がよくありませんでした。
その理由は、
- 灌水器の設定方法がわかりづらい
→ 何度もボタン操作が発生する - 水やり時刻の設定値が電源をON/OFFするとリセットされやり直し
- 真夏、内部にリチウムバッテリーがある本体を外に置いておくのは非常に恐ろしい
- ベランダの土耕栽培の範囲に対して、流量不足のため十分に散水できなかい
→ 本自動灌水器の流量は1.5L/min - やや静音性に欠ける
→ 集合住宅で使用するので余計な騒音は出したくない
といった点です。
モバイルバッテリーがよく発火している昨今ですから、とくに3番目はかなり気になりました。また4番目の流量不足も私のユースケースと合っていませんでした。
自動灌水機をつくろう
先ほど述べた理由もあり、自動灌水機を自作したほうが良いように思いました。
そこで、少なくとも1.5L/minよりも高い流量と静音性が両立できるポンプを探すことにしました。
安価な電子工作用部品ではなくメーカー品を探す
比較的安価な5Vや12Vで駆動するダイヤフラム式ポンプは、通販で見つけることができます。
しかし、流量は大きくない製品が多いです。
なので、ポンプメーカーから販売されているポンプから探すことにしました。
「ダイヤフラム式ポンプ」とは
「ダイヤフラム(膜)」を動かし、ポンプ室内の容積を変えることで流体(液体)の吸込・吐出を行う
引用:IWAKI 「用語編【ダイヤフラムポンプ】」(https://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/40/)
マグネットポンプを入手
ケミカルポンプをはじめとする流体制御機器の製造メーカー「IWAKI」の製品ページを眺めていたところ、マグネットポンプの存在を知りました。
「マグネットポンプ」とは
モータの回転を磁力によって伝達することで液体を送り出すポンプ。
一般的な渦巻きポンプはモータと羽根車(インペラ)が直結しているのに対し、マグネット駆動渦巻きポンプはモータと羽根車が直結していない。それによって、羽根車が格納されている密閉容器に、軸の貫通部がなくなり、液体が漏れる心配がない(シールレス構造)。耐熱性・耐圧性・メンテナンス性に優れる。
引用:IWAKI 「マグネットポンプとは?」(https://www.iwakipumps.jp/blog/video/13/)
ダイヤフラム式ポンプ以外を試してみたかったので、IWAKI製のマグネットポンプから選んでみることにしました。
ということで、手に入れたのがIWAKI製 マグネットポンプ「MD-6K-N」。
メルカリで、お買い得な値段で手に入れました。
これは単相100V駆動なので家庭用コンセントで動作します。
単相200Vや三相交流で動作するモデルもありますが、一般家庭では扱いづらいですね。
またサイズ感もちょうど良く、最大流量は約8L/minなので期待できます。
駆動音も約60dBと、よく聞き耳を立てないと気にならないくらい静かです。
流量制御機器 単相インバータ
メーカーページのオプション品を眺めていると、流量制御用にポンプ専用単相インバータが紹介されていました。
今後、流量制御できたほうが何かと便利なのでは、と思い、ついつい物欲がでてしまい購入しました。
ただメーカーページで紹介されている単相インバーターの中古品を探すのが大変でした。
そもそも入出力単相100Vのインバーターが珍しく、メーカーページで紹介されている製品「FR-D710S」は三菱電機に特注で発注しているものだそうです。
考えてみれと、おそらく工場では200Vや三相交流を使えることが当たり前なので、ニッチな製品なのかも。
ということで、FR-D710Sは中古で見つからず、生産終了した前モデル「FR-S510-0.4K-58」を購入。eBayで見つけた時、嬉しくて迷わず購入ボタンを押したところ、お隣の韓国から発送されてきました。通販最高。
しかし、今のところ出番なし。部屋のインテリアの一部になりました。
実際につくってみた
イメージ図のように購入したマグネットポンプが自吸式ではないことに注意して、水の入ったタンクからホースを接続していくことで、ポットスプリンクラー噴水から散水できる構成でつくってみました。
自吸式ポンプ
運転前にポンプにだけ呼び水をすれば、運転が始まるとポンプ自身の力で吸込管の空気を排出し、揚水出来るポンプのこと
引用:井戸ポンプドットコム
使用部材一覧はこちらです。
散水用品の部材は、タカギの製品で揃えました。
様々な部材が販売されているので便利ですし、商品ページも充実しており信頼できます。
| メーカー名 | 部材名 | 備考 |
|---|---|---|
| タカギ | ホースジョイントスリム 異径ジョイント G006SH | |
| タカギ | バンド高圧手締外径12-22 QG121 | 手締めできるの便利 |
| タカギ | 4mm水やりホース10m GKT210 | |
| タカギ | 9mm水やりホース GKT110 | |
| タカギ | 9mmジョイント4mm分岐(2個入) GKJ106 | |
| タカギ | クリア耐圧ホース15×20 3m | |
| タカギ | 4mmジョイント4分岐 GKJ112 | |
| タカギ | ポットスプリンクラー噴水 GKS104 | |
| タカギ | コック付パチットホースジョイント G038 | ワンタッチでホースを接続・切り離し、また通水・止水切り替え可能 |
| WAGO | インラインスプライシングコネクタブリスターパック WFR-S4-BP | ポンプとコンセントの電源線接続用 |
| タイカツ | T-7延長コード |
詳細は省きますが、なんやらかんやら試行錯誤して組みたてました。
これでマグネットポンプをつかった灌水機が完成です。
動かしてみた
電源を挿せばマグネットポンプが動き出すので、早速動かしてみました。
ちょうど水不足で萎びたネギがプランターに生えていました。
しかし待てども、ポットスプリンクラー噴水から散水されません。
よくみるとポットスプリンクラー噴水の先端から薄ら水滴が滲んでいるだけで、勢いよく散水される様子はありません。
9、14mmのホースジョイントを外してみたところ、水は押し出されているようですが、圧力が足りないように見えます。これでは、散水は厳しそうですね。
改善が必要
嫌な予感はしていました。
部材が揃っていない時に試運転でポンプを動かしたのですが、水の勢いが弱いように感じられ、正しく散水できるイメージが湧いていませんでした。そして、やはりその通りになりました。
またホースバンドをしているにも関わらず、吸込口から水漏れが発生しました。
限界まで手締めしても漏れるので、ホースと吸出口・吐出口の固定方法を見直す必要があります。
上述した問題以外にも何か見落としがあるはずです。
もしかして、マグネットポンプはこのような用途に適していないのでしょうか?
もう一度再考して灌水機を作り直したいですね。
今年一年やり残したことは解決せず、来年に持ち越しとなりました。
おわりに
次回は、@zushi_ryotaさんによる「1.26次元の図形?! ~フラクタル図形の次元を計算してみる~」という記事です。お楽しみに!
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