前回記事からの続きです。
前回はABAP Cloud Developer Trialのインストールと起動まで完了したので今回はABAP Cloud Developer Trialへのアクセスをしてきます。
1.SAP GUIのダウンロードとインストール
SAPへのアクセスは基本SAP GUIでのアクセスになります。今回は仮想環境内でのアクセスをしたいので仮想環境内からJAVA版のSAP GUIを下記URLからダウンロードします。
ページの下のほうにSAP GUI for Java
があるのでクリックしてダウンロードします。
※ダウンロードの際にS-User
またはP-User
がないとダウンロードできないのでダウンロードの際に登録画面が表示されるのでそのまま進めるか、SAP Communityで事前に登録しておきましょう。(今だとUniversal ID
の登録になると思います)
ダウンロードが完了したら展開し、展開先フォルダからターミナルを立ち上げてjava -jar PlatinGUI-Linux-x86_64-7.80rev7.jar install
と入力しインストールを実行します。
実行するとSAP GUI for Javaのインストーラーが立ち上げるので進めていきます。
途中インストールフォルダを決める箇所があるのでフォルダを決め、処理を続行します。
2.接続情報の設定
ここまででGUIのインストールが完了したので、次に接続情報の設定を行っていきます。
インストールしたフォルダにSAPGUI
フォルダがあるのでフォルダにあるguilogon
を実行します。
実行するとアプリが立ち上がるので新規
ボタンから接続設定を行います。
接続プロパティ画面が表示されるので内容説明欄に適当なテキストを設定し、詳細
タブをクリックします。
'詳細'の'エキスパートモード'にチェックを入れて、ABAP Cloud Developer Trialへの接続設定をconn=/H/localhost/S/3200
とし保存します。
アプリに作成した接続のエントリが表示されるので、これを実行します。
実行しABAP Cloud Developer Trialへのログオン画面が表示されれば接続情報の設定は完了です。
3.ライセンスの更新
ABAP Cloud Developer Trialにログオンするためのユーザとパスワードは概要のUser and Passwordsに記載されています。
記載されている通りユーザ:Developer
パスワード:ABAPtr2022#01
と入力しログオンしようとするとエラーが表示されます。
どうやらライセンスチェックエラーでログオンできないようなので、これも概要のHow to update the licensesに記載してある通りに対処していきます。
ユーザ:SAP*
、パスワード:ABAPtr2022#01
と入力してログオンします。
ログオンすると第一画面が表示されるので、上方のトランザクション入力箇所(赤枠)にトランザクションコード:SLICENSE
と入力し、横のチェックマークをクリックもしくはエンターボタンで実行します。
※トランザクション入力箇所がない場合は左横の<<
マークをクリックすると入力箇所が展開されます。
ライセンス管理画面が表示されるので、画面に表示されているActive Hardware Key
に記載されているハードウェアキーをコピーしておきます。
下記サイトからライセンスを取得します。
システムA4H
を選択すると、画面下部に入力欄が表示されるので名前などを入力します。Hardware Key
欄には先ほどコピーしたハードウェアキーを入力し、License Agreementにチェックを入れてGenerate
ボタンを押します。
Generate
ボタンを押すとA4H_Multiple.txt
というテキストファイルがダウンロードされます。これが新しいライセンスとなります。
先ほどのライセンス管理画面に戻り、Install
ボタンを押すとファイル選択画面が表示されるのでダウンロードしたテキストファイルを選択します。
選択するとライセンス更新処理が実行され、メッセージが表示されるのでメッセージにsuccessfully installed
と表示されているのと、ライセンス更新画面でステータスが青信号になっていればライセンスの更新は完了です。
今回はABAP Cloud Developer Trialにログオンしてからライセンスの更新を行いましたが、ログオンしなくてもDpcker経由でライセンスの更新も可能です。
以前の投稿でDocker経由のライセンス更新方法を書いているのでよかったら参考にしてみてください。
4.Eclipseのインストール
SAP GUIでプログラムなどのオブジェクトは作成できますが、CDS ViewなどのオブジェクトはEclipseにプラグインをダウンロードしての作成となるので追加でEclipseをインストールします。
まずは下記サイトでダウンロードするEclipseのバージョンを確認します。
使用したいツールの箇所にチェックがついているか確認し、チェックがついているEclipseのバージョンがツールを使用できるバージョンとなります。
今回はABAP、BWとHANAにもアクセスしオブジェクトの作成をしたいので各欄にチェックがついているバージョン:2024-09
をダウンロードします。
Eclipseのダウンロードサイトで対象のEclipseをダウンロードします。
ダウンロードが完了したら展開しEclipseを実行し、Help->Install New Software
を選択しプラングインのインストールを行っていきます。
先ほどのサイトにプラグインダウンロード用のURLが記載されいるのでURLをコピーします。
コピーしたURLをWork with
に入力し、エンターを押すとインストールできる各プラグインが表示されます。
今回はABAP・BWとHANAでのオブジェクト作成をしたいので、ABAP Development Tools
Modeling Tools for SAP BW/4HANA and SAP BW powered by SAP HANA
SAP HANA Tools
にチェックを入れて続行します。
使用許諾の画面が出るので同意にチェックを入れて終了
ボタンを押すとインストールが始まり、完了するとEclipseの再起動を求められるので再起動します。
5.ABAP Cloud Developer Trialへのアクセス
5-1.SAP GUIでのアクセス
SAP GUIでのアクセスは2.接続情報の設定で作成した接続情報でアクセスします。
3.ライセンスの更新で行ったように、User:Developer
・Password:ABAPtr2022#01
と入力しログオンします。
5-2.Eclipseでのアクセス
Eclipseでは作成したいオブジェクトごとに使用するツールが異なるため、使用するツールごとにアクセスの設定を行います。
5-2-1.ABAP
ABAPのオブジェクトを作成するにはEclipseを実行しOpen Perspective
ボタンを押し表示されるダイアログからABAP
を選択します。
パースペクティブが開くとProject Explorer
にCreate an ABAP project
のリンクがあるのでクリックします。
ABAP Projectの作成画面になりSAP GUIで設定されたABAP Cloud Developer Trialへのアクセス情報が表示されるので選択し次に進みます。(SAP GUIでのアクセスを設定していなければ次の画面が最初に表示されます)
SAP GUIで設定された情報の一部が引き継がれているので足らない部分であるSystem ID
にコンテナ作成時に設定したA4H
を入力します。
(SAP GUIのアクセス設定をしていなければ、Connection Type
をCustom Application Server
に変更し、System ID
Application Server
Instance Number
に必要な値を設定します。またコンテナ作成時にSystem ID
をA4H
から変更している場合は変更した値を設定します)
次にログイン情報を設定しFinish
ボタンを押して設定完了です。
ログイン処理が行われProject Explorer
にLocal Objects
等表示されていればOKです。
5-2-2.BW
BWオブジェクトを作成するにはABAPの時と同様にOpen Perspective
ボタンを押し表示されるダイアログからBW Modeling
を選択します。
あとはABAPの時と同様にアクセス情報、ログイン情報を設定しログオン処理が行われProject Explorer
にBW Repository
等が表示されていればOKです。
5-2-3.HANA
HANAもABAP、BWと同様にOpen Perspective
ボタンを押し表示されるダイアログからSAP HANA Administration Console
を選択します。
パースペクティブが開くのでSystems
にあるAdd System
ボタンを押します。
システムを指定するダイアログが開くので接続したいDB(システムDB or テナントDB)の情報を指定します。
システムDBの場合
Host Name:localhost
Instance Number:02
Mode:Multiple containers
System database
テナントDBの場合
Host Name:localhost
Instance Number:02
Mode:Single containers
次にユーザとパスワードを設定します。
システムDBの場合
User Name:SYSTEM
Password:ABAPtr2022#01
テナントDBの場合
User Name:SAPA4H
Password:ABAPtr2022#01
接続が完了してSystems
タブに接続されたシステムDBとテナントDBが表示されていれば接続完了です。
6.最後に
思いのほか長くなってしまいましたがABAP Cloud Developer TrialにアクセスするSAP GUIとEclipseの設定となります。(Cloud Connectorまでたどり着けなかった…)
今回は仮想環境内からのアクセスなのでIPアドレスがすべてLocalhost
になっていますがホストOS側からは仮想環境のIPアドレスを指定してあげればアクセス可能です。
またライセンスについては3か月間のライセンスのみとなっているので更新3か月後に再度ライセンスの更新が必要となります。