Claude Code、開発作業のためだけに使っていませんか?
実は Claude Code は「コードを書く道具」だけではなく、自分の働き方を振り返るためのツールとしても強力です。
セッションログを分析することで、プロンプトの精度を上げる手がかりと振り返りの質を高める観点が、同時に手に入ります。
本記事では、Claude Code を「開発ツール」以外の用途で活用する一例として、セッションログを分析して自分の思考パターンを可視化した実践を紹介します。
読み終わったら、ぜひ自分のログでも試してみてください!
Claude Code は「振り返りの道具」にもなる
本題の前に、この記事が前提とする仕組みを簡単に整理します。
Claude Code のセッションは、ローカルの ~/.claude/projects/ 配下に JSONL 形式で全てログ保存 されています。
ls ~/.claude/projects/
# プロジェクトごとにフォルダがあり、その中にセッションごとの .jsonl が並んでいる
このログには、自分が打ったプロンプトと、AI の応答がそのまま記録されています。
つまり、ここを分析対象にすれば、自分の指示の出し方や反応の仕方を、定量的に振り返れる のです。
普段は気にも留めないログですが、「自分の作業の痕跡」として見ると、振り返りの一次資料になります。
プロンプトのクセが見えれば、次に書くプロンプトの精度を上げるヒントにもなります!
今回題材にしたい振り返り
「自分は Claude Code をどう使っているか」を、感覚ではなく 数字で把握したい。
そう思って、thought-analyzer というスキルを使い、直近 1 ヶ月分のセッションログを解析 してみました。
このスキルは Zenn 連載「thought-analyzer」で示された設計思想・測定軸に準拠したもので、認知科学の実証研究に基づいて思考パターンを多軸で定量化してくれます。
解析対象:
- 期間: 2026-03-15 〜 2026-04-17(約 1 ヶ月)
- 88 セッションファイル(17 プロジェクト横断)
- ユーザー発話 823 件、技術指示発話 316 件
- AI → user のペア 729 件
私もこの分析で、自分では気付いていなかった「思考のクセ」がいくつも見つかりました!
この記事で伝えたいこと
Claude Code のセッションログは、自分の思考パターンと AI 協働スタイルを可視化する一次資料 として使えます。
thought-analyzer スキルで分析すると、「自分の構想力」「AI への指示力」「AI 出力への反応傾向」が多軸でスコア化されて、感覚で語っていた振り返りが根拠付きの言語化に変わります。
結果として得られるものは 2 つあります。
-
振り返りの質が上がる
- 主観ではなく観測データで自分を見られる
-
プロンプトの精度が上がる
- クセや盲点が分かるので、次から書き方を変えられる
「なんとなく AI に振り回されてる気がする」を、「こういう癖があるから、こう改善できる」に変えるための道具です!
3 つの発見
実際に分析してみて、強く印象に残った 3 つの発見を紹介します。
発見① 自分は「ENGINEER 型」だった
thought-analyzer は、思考パターンを 8 類型 19 ペルソナに分類してくれます。私の場合は ENGINEER 型(工学者型) という判定でした。
観測期間内の傾向として、既存の成果物を小刻みに直しながら前に進めるスタイルが安定している。会話は具体的な作業レベルで完結し、興味を持った新技術や道具は軽やかに試す。AI 出力は細部を読み込みすぎず、次の作業に素早く引き渡す委任志向。
これは、自分でも薄々感じていた性質を、外部から客観的に言語化された 感覚がありました。
ペルソナラベルは固定の人格ではなく、観測期間における指示・反応スタイルの傾向なので、3 ヶ月後に同じ分析をすると変わる可能性もあります。
発見② 9 軸のうち「抽象化方向」が single_level だった
思考パターンは 9 軸でスコア化されます。
私の場合の主要な軸を下記の表にまとめてみました。
| 軸 | 結果 |
|---|---|
| abstraction_direction(抽象化方向) | single_level(単一レベルに留まる) |
| problem_style | fix(修正型) |
| perspective_taking(視点取得) | on_demand(必要時のみ) |
| integrative_complexity(統合的複雑性) | 3(中程度) |
| epistemic_curiosity(知的好奇心) | interest_type(興味駆動) |
abstraction_direction = single_level が個人的に刺さりました。
これは「抽象化や体系化に長く留まることが少ない」という傾向で、要するに 「すぐ手を動かしたくなる」癖 が出ているということです。
→ 「もう少し抽象化したほうがいい場面で、すぐ実装に走っている」可能性に、ここで気付けました。
なお、思考の 9 軸とは別に、AI への指示力を測る 6 軸(指示の具体性、エラー認識の仕方、専門用語の正確さ、修正の出し方など)もスコア化されます。
「構想力」と「指示力」を分けて観測できるのが、このスキルの面白いところです。
発見③ AI 出力への反応分布が「採用 55% / 修正 25% / 却下 2% / 無視 18%」
これが一番面白かった発見です。AI の提案に対する自分の反応 729 件を分類すると:
| 反応 | 割合 |
|---|---|
| 採用(adopt) | 55% |
| 修正(modify) | 25% |
| 却下(reject) | 2% |
| 無視(ignore) | 18% |
「無視」が 18% あったのが意外でした。
これは AI が並べた選択肢や注意書きを、読み飛ばして次の指示に進んでいることを意味します。
AI が「複数案あります」「注意点があります」と提示しても、自分は最初の案で走り出して、後から「書いてあったのに」と取りこぼすパターンが観測されていました…。
加えて、「委任している領域」と「自分で握っている領域」も分析されました。
- AI に任せている
- コード生成、調査、要約、整形、定型記述
- 自分で握っている
- スコープ設定、優先順位、最終承認
線引きは自分でも意識していたので、データで裏付けが取れた形でした。
ちなみに、自分の発話は 1 回あたり 25〜60 文字(中央値 25 字)の短文派で、1 回で完璧な指示を出すより、対話の往復で解像度を上げていくスタイルだということも分かりました。
分析から見えた「自分の盲点」
3 つの発見から、改善すべきポイントが明確になりました。
盲点① 複数案・注意書きを読み流す
対策① 「最善案を一つだけ」と冒頭で求める
指示の冒頭に「最善案を一つだけ」「注意点があれば冒頭に一行で」と加えることで読むコストを下げつつ必要な情報だけ受け取れます。
盲点② 修正依頼が「だいたいの方向性」で済んでしまう
分析では、修正指示の精度が「方向性のみ(directional)」と判定されていました。
「もう少し〜に」「この方向で」のような大まかな再指示が多い、ということです。
対策② 「どこを・どう」の一点だけでも冒頭に置く
意図と違う方向に直ってくるときに「どこを・どう」を冒頭に置くと、やり取りが一往復減りやすくなります。
盲点③ スコープと優先順位が暗黙化しがち
対策③ 毎回先に「優先度」を宣言する
「今回は A を優先、B は後回し」のように優先度を宣言すると、AI 側も余計な脇道を提案しなくなります。
今日からできる思考パターン分析の手順
「セッションログ分析、面白そうだけど、自分でも試せる?」と思った方向けに、最小手順をまとめておきます。
Step 1 セッションログの場所を確認する
ls ~/.claude/projects/
ここにプロジェクトごとのフォルダがあり、各セッションが .jsonl ファイルで残っています。
特別な準備は不要で、Claude Code を使っているなら既にデータは溜まっています。
Step 2 thought-analyzer スキルを導入して起動する
上記のスキル定義を ~/.claude/skills/ に配置(または Claude アプリのスキル追加機能でアップロード)すると使えるようになります。
導入できたら、解析期間を指定して起動するだけです。
直近 1 ヶ月分のセッションログを分析してください。
9 軸 / 6 軸 / ペア分析の結果を出力してほしいです。
数分待つと、本記事で紹介したような ペルソナ判定 + 多軸スコア + 反応分布 が出力されます。
Step 3 盲点と対策を引き出す
スコアが出てきたら、続けてこう聞いてみるとよいです。
この分析結果から、私が次から意識すべき盲点と、その対策を 3 つ教えてください。
抽象的な数値が、「明日から変える行動」まで翻訳されます。
これが、プロンプトの精度を上げる出発点になります。
分析は 1 ヶ月に 1 回 くらいのペースで回すと、変化を観測しやすいです。
習慣のクセが変わったか、新しい盲点が出てきたか、定期健診のように使えます。
セッションログには、業務のコードや固有名詞がそのまま含まれます。
分析結果をブログや SNS で共有する際は、固有情報が混ざっていないか必ず確認してください。
まとめ
セッションログ分析で見えてくる情報を、Before / After で並べてみます。
| 観点 | Before(感覚で振り返り) | After(セッションログ分析) |
|---|---|---|
| 自分の指示の癖 | 「なんとなく短文が多い」 | 「1 発話あたり 25〜60 文字(中央値 25 字)」 |
| AI 出力への反応 | 「だいたい採用してる」 | 「採用 55% / 修正 25% / 無視 18%」 |
| 改善ポイントの特定 | 「もう少し丁寧にやりたい」 | 「複数案・注意書きを読み流すクセを潰す」 |
| プロンプトの書き方 | 主観で試行錯誤 | 観測結果から 次に変える一文 が決まる |
| ペルソナ的な傾向 | 主観的な自己評価 | 9 軸 × 6 軸 × ペアスコアで客観化 |
セッションログという一次資料を使うことで、振り返りが「主観の言葉」から「観測に基づく仮説」に変わります。
数字で言われると、自分の習慣を変える動機が桁違いに強くなる、というのが実感です。
特に「無視 18%」のような 「無自覚にやっていた行動」が可視化されるのは、定量分析でないと拾えない種類の発見で、**そのまま「次に書くプロンプトを変える根拠」**になります。
本記事の要点は下記のとおりです。
- Claude Code は開発ツールだけでなく、自分の働き方を振り返る道具にもなる
- セッションログは
~/.claude/projects/配下に JSONL で全部残っているので、特別な準備は不要 -
thought-analyzerスキルで、思考パターンを 9 軸 + 6 軸 + ペア分析で可視化できる - ペルソナ判定や反応分布から、自分の盲点が見えてくる
- 盲点が言語化されると、プロンプトの書き方を具体的に変えられる
- 「感覚」より「観測」で振り返ると、AI との協働の質が桁違いに上がる
Claude Code を開発だけに使うのは、本当にもったいないと思いました。
1 ヶ月に 1 回、自分のログを分析するだけで、プロンプトの精度と振り返りの質が同時に上がります。
ぜひ、試してみてください!