SIC
■概要
「Simplification Item Check」の略称で、S/4HANAへのアップグレードやコンバージョンにおいて必要となる“簡素化項目の確認”を行うツールやプロセスを指します。S/4HANAでは業務機能や技術的なアーキテクチャの見直しが進められ、廃止される機能や置き換えが必要な機能など「Simplification Item」が多数存在します。SICによって、それらが現在のシステム(ECC等)にどの程度影響するかを事前に把握・評価します。
■ 実施のタイミング
1.バージョンアップ/コンバージョンの計画初期段階
2.実際にSUM (Software Update Manager)によるアップグレードやコンバージョンを実行する前
■主な成果・現在のシステムに影響するSimplification Itemの洗い出し
・コンバージョンに向けて修正や対応が必要な項目のリストアップ
ATC
■概要
「ABAP Test Cockpit」の略称で、ABAPコードを静的・動的に解析し、品質や標準への準拠をチェックするツールです。S/4HANAへのアップグレードでは、互換性がなくなったAPIの使用や推奨されない構文などの確認が重要です。ATCを使うことで、カスタムABAPコードに潜む改修が必要な個所を発見し、早めに手当てすることができます。
■実施のタイミング
1 コンバージョン前の事前準備フェーズ(SICの後に行われることが多い)
2. 必要に応じてコンバージョン後の最終調整時にも再度実施
■主な成果・修正が必要なカスタムコード一覧
・優先順位づけ(重大度)に応じた改修計画
SPAU
■概要
SPAUは、SAPリポジトリオブジェクト(ABAPプログラム、関数モジュール、クラス等のソースコードレベル)に対する調整(Adjustments)を行うトランザクションです。アップグレードやサポートパッケージ適用後に、SAP標準オブジェクトと自社拡張(ユーザ修正)がコンフリクトを起こしている場合に、SPAU上で手動/自動マージを行います。
※SPAUは基本的に、ABAPリポジトリオブジェクトに関する調整を扱い、Data Dictionary (DDIC)オブジェクトはSPDD側で扱う、というのが大きな違いです。
■実施のタイミング
1.SUMでアップグレードを進める過程で、SPDD完了後に実施される
2.アップグレードが完了するまでにSPAU調整を終わらせる必要がある
■主な成果・ソースコードレベルでの変更箇所の再適用やマージ
・SPAU完了後、システム内でソースのコンフリクトが解消される
SPDD
■概要
SPDDは、Data Dictionaryオブジェクト(テーブル定義、ドメイン、データエレメント、ビューなど)に対してアップグレード後の調整を行うトランザクションです。SAP標準DDICオブジェクトとカスタマイズまたは拡張が衝突する場合、SPDDで正しく再適用・マージする必要があります。SPDDでの調整が終わらないと、後続のSAP標準アップグレードプロセスを続行できない場合があります。
■ 実施のタイミング
1.SUMでアップグレードを進める際、中断ポイントでSPDD調整を先に求められる
2.SPDDが完了した後、SPAUの作業に移る
InitialSetup
■概要
S/4HANAへアップグレード・コンバージョン完了後、システムの初期設定を行う工程。
■ 実施のタイミング
- SUMやSPDD・SPAU作業を完了させた後
- システムが安定して稼働開始の準備が整った段階
■主な成果・S/4HANA特有機能を活かすための基本的な設定が整う
・運用テスト環境(パラレルテスト等)や本番リリースへ向けた準備が完了