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QuickSight の行レベルセキュリティ(RLS)とは

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Last updated at Posted at 2026-07-28

QuickSight の行レベルセキュリティ(RLS)を、概要レベルで整理します。
扱うのは「RLS が何をする仕組みで、いつ検討するか」の見当がつくところまでで、実際の設定やチューニングには踏み込みません。

このシリーズは QuickSight の権限を「認証 → 認可 → RLS → IAM 境界」の順にたどる入口記事の3本目です。

この記事では、以下の3つをまとめています。

  • RLS が「認証 → ロール×共有」に続く、行を絞る層だということ
  • ルールデータセットでどうやって行が絞られるか(概念レベルの仕組み)
  • グループ単位でまとめて同じ絞り込みを配れること

RLS は Enterprise Edition で使える機能です1
QuickSight は Amazon Quick への改称が進んでいますが、この記事は検索のしやすさを優先して「QuickSight」表記で通します。仕組みの説明は現行の RLS ドキュメント1に沿って整理しました。

「見えるアセット」と「見える行」──層が1段増える

権限を考えるとき、これまでの2本では「誰か」と「どのアセットか」の2つを見てきました。
RLS はそこに「どの行か」という3つ目の層を足します。
段を重ねて並べると、決めている対象が層ごとに違います。

何を決めるか 担うもの
誰か サインインできる人か 認証(1本目)
どのアセット そのダッシュボードやデータセットが見えるか ロール×共有(2本目)
どの行 見えるアセットの中で、どの行まで見えるか RLS(本記事)

diagram_quicksight-rls-intro_layers.png

上の2層を通ってダッシュボードが見えるようになっても、既定ではそのデータ全体が相手に見えます。
ただし、元になるデータセットに RLS がかかっている場合はそこで行が絞られる、という関係になっています1
つまり RLS は、共有の「見える/見えない」の内側で、さらに行単位のフィルタを一段かける層です。

RLS の基本メカニズム──ルールデータセットで行を絞る

RLS は、データセット内のどの行をどのユーザーに見せるかを制御する仕組みです1
仕組みの中心にあるのが、絞り込みの条件だけを集めた別のデータセット、ルールデータセット(権限データセット。公式 UI では「アクセス許可データセット」「ユーザーベースのルール」と表示されます)です。

ルールデータセットは、「どのユーザーに、どの値の行を見せるか」の対応表です。ユーザーを識別する列と、絞り込みに使う列を持ちます。地域列を持つ売上データなら、次のようなイメージになります。

ユーザー ルールでの対応(担当地域) 開いたとき返る行
ユーザーA 東日本 東日本の行だけ
ユーザーB 西日本 西日本の行だけ

同じダッシュボードでも、開く人によって返る行が変わります。処理の流れは次の3ステップです。

  1. ユーザーがダッシュボードを開く
  2. QuickSight がそのユーザーでルールデータセットを引く
  3. 対応づいた値の行だけを、元のデータセットから通す

diagram_quicksight-rls-intro_ruledataset.png

つまずきポイント: RLS は「ダッシュボード側の設定」ではありません。制限がかかるのは元のデータセットで、絞り込み条件はさらに別のルールデータセットが持ちます。この二段構えが、最初は像を結びにくいところです。

アクセス権の付与方式

ルールデータセットの各行には、その行を「見せる」ためか「隠す」ためかの意味づけがあります。方式は2つありますが、2026年7月時点で新規に使うのは実質1つです。

付与方式 意味 現行での扱い
許可方式 GRANT_ACCESS ルールに並べた行だけを見せる 実質これ一択。新規はこちら1
拒否方式 DENY_ACCESS 逆向き(隠す側の指定) 新規データセットでは選べず、後方互換のみ。どの行を見せ/隠すかは現行ドキュメントに明示なし23

概要としては許可方式だけ押さえれば十分です。「ルールに並べた行だけを見せる/対応づいていないユーザーやデータには何も渡さない」という素直な方式で1、拒否方式は新規で選べない以上、深追いは不要です。

グループ単位で配る

ルールデータセットは、ユーザーを1人ずつ書く代わりに、グループを識別する列を使って書くこともできます1
個人ごとに行を並べず、グループ単位でまとめて同じ絞り込みを配れるので、人数が増えても対応表が肥大しにくくなります。

まとめ

  • RLS は権限の最後の層: 共有で見えるようになったデータの内側に、行単位のフィルタをもう一段かける。
  • 使いどころ: 同じダッシュボードを大勢に配りつつ、人・部署ごとに見える行を変えたいとき。
  • 最初の一歩: 元データとは別に「誰に、どの行を見せるか」の対応表(=ルールデータセット)を1枚用意すること。

関連記事

QuickSight の権限を「認証 → 認可 → RLS → IAM 境界」の順にたどる入口記事です。

  1. 行レベルセキュリティ(ユーザーベースのルール)でデータセットへのアクセスを制限する - Amazon QuickSight 2 3 4 5 6 7

  2. RowLevelPermissionDataSet - Amazon QuickSight API Reference(PermissionPolicy の有効値・DENY_ACCESS は後方互換専用)

  3. AWS::QuickSight::DataSet RowLevelPermissionDataSet - AWS CloudFormation(DENY_ACCESS は新規非対応の明記)

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