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JPYCが拓く「円のオンチェーン化」 — 日本を変える通貨に迫る

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ようやく日本初の日本円建てステーブルコイン「JPYC」の正式発行が始まりました。Web3.0 にご興味のある方には既に耳に入っているニュースかもしれませんね。これは、日本の金融と Web3 の歴史において大きな一歩と言っても過言ではないのではないでしょうか。この記事では、JPYC についてより深く知ってもらえるように、JPYC とは仮想通貨なのか、社会にどんな影響をもたらすのか、といった内容をまとめていきたいと思います。一緒に理解を深めていきましょう!

JPYC とは?

JPYC は日本円に価値が連動するステーブルコインです。

ステーブルコインとは法定通貨と価値が連動する仮想通貨のことを指します。詳しくは次回の記事で解説します。

円の価値を保ったまま、24 時間 365 日オンチェーンで送付・受領できます。法的には「電子決済手段」に位置づけられており、適切な発行ライセンスのもとで円との交換(発行・償還)が可能です。

2025 年 10 月 27 日に JPYC が正式に発行され、発行・償還の公式プラットフォーム「JPYC EX」も同時公開されました。JPYC は資金決済法上の「電子決済手段」として日本円と 1:1 で交換可能です。

対応チェーンは Ethereum/Polygon/Avalanche(順次拡大予定)で、JPYC EX での手続きにより、指定したチェーン上の登録ウォレットへ直接発行されます。発行体がユーザー資産を預からない(非カストディ設計)ため、購入直後から自分のウォレットで自由に使えるのが特徴です。

また、当面は発行・償還の手数料が無料で、ユーザーが負担するのは銀行振込の手数料と各チェーンのガス代のみです(状況は今後変更される可能性があります)。JPYC は特定の加盟店契約に縛られない「オープンな金融インフラ」として機能するため、事業者や開発者が自由に組み込める点も大きな魅力です。

JPYC がもたらす社会への影響

円のオンチェーン化は、決済と送金の「即時性」「可用性」「透明性」を一気に高めます。銀行営業時間や週末の制約を受けず、少額でも即座に価値移転できるため、個人間送金や越境フリーランス報酬、サブスクやマイクロペイメントなどの体験が刷新されます。

さらに、既存の金融インフラと Web3 がつながることで、事業者にとっての選択肢が広がります。全国規模の収納代行ネットワークとの統合、ノーコードの業務連携ツールとの対応、Web3 ウォレットや法人資産管理 SaaS での採用、クレジットカード決済との橋渡しなど、複数の領域で具体的な動きが進んでいます。起業家の皆さまにとって、決済を「自社プロダクトの一部」として設計できる開発者フレンドリーなレールが整いつつあるのは、大きな追い風です。

オンチェーン会計、即時精算、プログラマブルなキャッシュフロー、トークンインセンティブとの連動など、これまで分断されていた金融機能をプロダクトの中に自然に組み込めます。結果として、Web2/3 を横断した体験設計が容易になり、コスト構造も薄くなります。透明な台帳を前提にした監査や税務連携、取引証跡の自動化といった領域でもメリットが生まれます。

もちろん留意点もあります。みなさん自身が秘密鍵を安全に管理する必要があり、チェーン選択のミスやガス代の見込み違い、ネットワーク混雑の影響など、Web3 特有の運用リスクは残ります。初期フェーズでは、ウォレット運用に馴染みのあるユーザーを主対象としていますが、周辺の UX やユースケースの拡充に伴い、一般層への広がりも期待できます。

今、JPYC は何に使える?

正式リリース直後のため利用シーンはまだ限定的ですが、すぐに試せる用途はいくつかあります。まずは少額から触れて、体験を積み重ねていくことをおすすめします。

  • 個人間の即時送金:JPYC 同士で 1 円からリアルタイム送金ができます。ガス代は選ぶチェーンにより数円〜数十円程度(Ethereum は高め)です。
  • VISA 加盟店での支払い:nudge カード経由で JPYC 支払いができます。前払い・後払いに対応予定で、オンチェーンと既存決済の橋渡しとして使えます。
  • 暗号資産への交換:Polygon では QuickSwap、その他では Uniswap v4 などで、USDC 等との交換が可能です。
  • HashPort Wallet(旧万博ウォレット):JPYC 対応済み。アプリからの JPYC の送金や決済が可能です。
  • 会計や税務への対応:クリプタクトや CryptoLinC が JPYC 取引履歴の自動損益計算に対応しています。

今後対応予定のサービス

  • コンビニ収納の拡張(電算システム連携):全国約 6.5 万店舗で JPYC による支払いが可能になる予定です。日常の支払いへの浸透が見込まれます。
  • DeFi 活用の前進:Biforrest による BTC 担保レンディングの実証、Secured Finance による JPYC 建て固定金利レンディングなど、オンチェーン金融プロダクトの採用が進行中です。
  • 給与の JPYC 受取(パーソルグループ協業):給与の一部を JPYC で受け取れる選択肢の提供が予定されています。従業員側の受取手段が広がります。
  • ノーコード業務連携(ASTERIA Warp):JPYC アダプターにより、社内システムの自動処理やデータ連携をノーコードで実現できるようになる見込みです。

どうやって JPYC を入手できるの?

入手は JPYC EX を使います。手順はシンプルですが、いくつかのポイントを押さえて進めましょう。

  1. アカウント登録:JPYC EX で基本情報を入力し、アカウントを開設します。
  2. 本人確認(KYC):マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を用い、スマホで IC チップを読み取って完了します。写真アップロードは不要で、最短数分で認証できます。
  3. ウォレット登録:自分で秘密鍵を管理するウォレット(例:MetaMask)のアドレスを登録します。チェーンごとに受取アドレスが正しいかを確認します。
  4. チェーン選択:Ethereum/Polygon/Avalanche の中から、用途や手数料感に応じて選びます。各チェーンで取引実行に必要なネイティブトークン(ETH/MATIC/AVAX)のガス残高も用意しておきます。
  5. 発行予約と入金:発行したい金額とチェーンを指定して発行予約を行い、案内された口座へ銀行振込します。入金が自動検知されると、登録ウォレットへ JPYC が発行され、すぐに利用可能です。
  6. 償還(現金化):JPYC EX で償還予約を行い、指定されたアドレスへ JPYC を送付すると、登録済の出金口座へ日本円で払い戻しを受けられます。

はじめての方は、少額から試し、ウォレットのバックアップとガス管理を徹底しましょう。プロダクトに組み込む開発者の方は、公開されている SDK やドキュメントを活用すると、送受信や残高取得、ウォレット連携などを短いコードで実装できます。


円がオンチェーンで動く世界は、個人にも起業家にも新しい選択肢をもたらします。JPYC は、決済の UX を刷新し、金融機能をプロダクトへ「組み込む」時代を加速します。小さく触れて、具体的な体験から次の一手を設計していきましょう。

参考記事

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