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Hermes Agent + 3つのMCPで不動産データAIコンサルエージェントを作ってみた

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はじめに

この記事はこんな人におすすめ:

  • AIエージェントに興味があるエンジニア
  • 日本のオープンデータを活用したい開発者
  • 不動産テックに関心がある方

日本の不動産取引価格、統計データ、法令——これらの情報はすべて国が公開している。国土交通省の不動産情報ライブラリには2005年から現在までの取引価格データ、ハザードマップ、駅の乗降者数、人口推計が揃っている。e-Statには経済指標から国勢調査まで10万件以上の統計表が、e-Govには施行中の法令全文がそれぞれ無料で公開されている。

しかし問題は、これらのデータが日本語でしかアクセスできないことだ。海外の投資家はもちろん、日本のエンジニアですら「3つのサイトを開いて、CSVをダウンロードして、Excelで加工して、別タブで法令を検索する」という手間をかけている。この「データはあるけど面倒だから使わない」という状態こそ、AIエージェントで解消できる課題である。

本記事では、AIエージェントフレームワーク Hermes AgentMCP(Model Context Protocol) を組み合わせ、たった1つの指示で不動産エリア分析を完結させる方法を紹介する。MCPはAnthropicが提唱するプロトコルで、AIが外部ツールやデータベースを呼び出すための標準インターフェースだ。Hermes AgentはこのMCPサーバーをプラグインのように追加できる点が最大の特徴であり、日本の行政データをAIから直接扱う手段として極めて相性が良い。

Hermes Agent とは

Hermes Agent は、AIエージェントの設定・管理を行うフレームワークだ。特徴は MCPサーバーをプラグインのように追加できる 点にある。MCPとはAIと外部データを接続するプロトコルで、Hermesのconfig.yamlに数行書くだけで、国土交通省のデータベースや法令検索APIをAIから直接呼び出せるようになる。

Hermes AgentはDiscordやSlack上で動作し、メッセージを受け取ると自動でMCPサーバーを呼び出して分析を実行する。本記事で紹介する分析もすべてDiscord上で稼働するHermes Agentに「六本木3丁目のエリアを評価して」と指示した結果だ。詳細なドキュメントは公式サイトを参照:

3つのMCPをセットアップする

config.yamlmcp_serversに以下を追加するだけだ:

mcp_servers:
  mlit:
    command: uvx
    args:
    - mlit-mcp
    env:
      MLIT_API_KEY: "あなたのAPIキー"
  e-stat-dashboard:
    command: uvx
    args:
    - e-stat-dashboard-mcp
  egov-law:
    command: uvx
    args:
    - egov-law-mcp

MLITのAPIキーは国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)でユーザー登録後、メールで発行される。e-Statとe-Govは認証不要で使える。uvxが自動でパッケージをインストールして起動するので、依存関係の管理も不要。

各MCPのソースコードと詳細な使い方は以下のリポジトリを参照してほしい:

  • MLIT(不動産情報):

  • e-Stat Dashboard(統計データ):

  • e-Gov Law(法令検索):

実演:六本木3丁目を分析してみた

実際に「六本木3丁目のエリアを評価して」と指示すると、15秒で以下のような分析が返ってくる。Deep Researchなどでも調べられるが、日本政府が出している一次データがベースとなっていることに強みがある。

不動産市場(港区・2020〜2025年)

指標 数値
平均価格 1億5,752万円
㎡単価平均 約189万円/㎡(約625万円/坪)
2024年の上昇率 前年比 +22%
CAGR(2015-2025) +2.67%

港区の不動産価格は2024年に急騰し、2025年も1億8,550万円の高値を維持している。取引の8割以上が中古マンションで、都心回帰のトレンドを反映している。

交通アクセス

最寄りの六本木駅は日比谷線と大江戸線の2路線が利用可能で、1日の乗降者数は合計約18万5,000人。徒歩圏には13駅があり、青山一丁目(9万3,000人)、神谷町(8万9,000人)、溜池山王(7万5,000人)など、東京でも屈指の交通利便性を誇る。

防災リスク

洪水は呑川と隅田川の想定最大規模(1000年に1度クラスの降雨を想定したもの)の浸水域に該当する。また六本木3〜6丁目には土砂災害警戒区域が複数存在する。津波と高潮のリスクはない。六本木は台地上と谷側で標高差があるため、個別物件の評価には標高データの確認が必須。

人口将来推計

周辺250mメッシュ74面のデータを集計すると、2020年から2050年にかけて**+17.4%の人口増加**が予測されている。日本全体の人口が3割減少する中、この数字は極めて異例で、六本木ヒルズや麻布台ヒルズなどの大規模再開発の効果が如実に表れている。

都市計画・法的制約

六本木3丁目は都市計画区域内の市街化区域に指定されている。商業地域に該当するため、容積率400〜700%程度の高密度開発が可能だ。建築基準法や都市計画法の該当条文はegov-law MCPで即座に参照できる。

この技術の可能性

この3つのMCPの組み合わせが持つ真の価値は 「言語の壁を消す」 ことにある。

日本の公的データは世界でも類を見ないほど詳細で整備されている。にもかかわらず、その価値は日本語話者しか享受できていない。Hermes Agent + MCPは、このデータに英語や中国語でアクセスする窓口になる。

具体的な展開として以下の3フェーズを想定している:

  • Phase 1: 都心人気エリア限定の英語週次レポート配信
  • Phase 2: 外資系ファンド向け月次分析レポート
  • Phase 3: 不動産×税務×法令のクロス分析(FreeTax Agentとの統合)

特にPhase 3が最も強力。税務データと不動産データと法令データを1つのエージェントで扱えれば、「この物件を買ったら税金はいくら下がるか」までワンストップで答えられる。この領域は別途開発中のFreeTax Agentという税理AIエージェントとの統合を想定しており、OSSの税理士業務支援ツールとして不動産評価機能を組み込む予定。

おわりに

Hermes Agent + 3つのMCPは、たかが設定ファイルに3行、されど3行。この3行で、国土交通省とe-Statとe-GovがAIの「使える道具」になる。

日本のオープンデータは世界最高峰だが、日本語だけではその価値を最大化できない。AIエージェントが橋渡し役になる——その第一歩が、この3行の設定から始まる。

興味を持った方は、本記事で紹介した3つのMCPリポジトリ(https://github.com/takurot/real-estate-mcphttps://github.com/takurot/e-stat-dashboard-mcphttps://github.com/takurot/egov-law-mcp)とHermes AgentのGitHubリポジトリをチェックしてみください。この3行が、あなたのAIを日本のデータ資産にアクセスできる最強のコンサルタントに変える。

追伸

本記事で紹介した分析はDiscord上で稼働するHermes Agentが実際に出力したものです。コマンドは「六本木3丁目のエリアを評価して」のたった1文。15秒後には取引価格・トレンド・ハザードマップ・人口推計・法令情報が揃ったレポートが返ってくる。この速さと横断性こそ、AIエージェント×MCPの真価である。

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