近年、ローコードツールの普及により、非エンジニアでも業務アプリケーションを開発できる環境が整ってきました。
私も業務でローコードツールを導入した経験があり、その中で感じたメリットと課題を整理します。
✅ 感じたメリット
-
早く作れる
UI・DB・ロジックまで数クリックで作成でき、開発スピードが圧倒的に速いです。 -
人件費を安くすませることができる
高度なプログラミングスキルが不要なため、専門エンジニアに頼らず開発・運用が可能です。
⚠️ 感じた課題
1. フィールド(DBでいうカラム)を簡単に変えられると勘違いし、変えまくる
「このフィールド、いらなくね?」
「やっぱ名前変えよう」
「いや、復活させるかも」
…みたいな軽率なノリで、GUI上からぽちぽちフィールドをいじり倒されます。
💣 問題の根源:誰でも編集できてしまう「魔法のシステム」
システムがあたかも「誰でも自由に触れて簡単に作れる」ように見えてしまうため、
本来は設計の意図や連携仕様を理解した上で修正すべき箇所も、善意のぽちぽちで壊されるリスクがあります。
🧙♂️「みんな、つくれる!」
🤖「他のシステムの影響を考えなければ、の話ね」
GUIで簡単にフィールドの追加・変更ができるのは確かに便利ですが、
その“便利さ”がチーム全体の連携設計をぶち壊す爆弾にもなりかねません。
🧩 例えばこんな事故が起こる
- 他システムと連携していたフィールドを削除 → API連携エラー発生
- 項目名を安易に変更 → バックエンドや帳票に影響
- フィールドの意味を変えてしまい、分析結果がめちゃくちゃに
「誰でも触れる」は正義。
でも「誰でも責任を取れる」わけではないというのが難しいところです。
2. データ量とREST APIの使用回数に制限がある
- データが増えるとツール側の制限に引っかかることがある
- APIの呼び出し回数制限で、外部連携のボトルネックになりやすい
3. アプリの項目情報を出力できない → 生成AIと相性が悪い(重要)
アプリが持つフィールド一覧をエクスポートできないツールが多く、
以下のような問題に直面します:
- アプリ構造を生成AIに渡せないため、自動化や生成効率が悪い
- 特に**大規模アプリ(200項目超えなど)**は「ぽちぽち作業」が苦痛になる
- 開発パイプラインへの統合が困難
これだと本末転倒ですね
4. 柔軟なカスタマイズがしにくい
- 規定のUI/APIしか使えず、細かいカスタマイズに限界がある
- デザイン調整や複雑な処理は力技になりがち
5. コードがレガシー化しやすい
- モダン技術(React、TypeScript、Tailwindなど)が導入しにくい
- ツール固有のスクリプトはブラックボックス化しやすく、属人化のリスクが高い
6. 結局システムの知識がいる
- データベース設計、ブラウザのレンダリング手順、API制御など、
基礎的なシステム設計スキルが不可欠 - 「ノーコード/ローコードだから誰でも使える」は幻想。
規模が大きくなるほど、技術的理解が求められます。
📝 まとめ
ローコードツールは非常に便利で、プロトタイピングや小規模開発には有効です。
しかし、業務システムに本格的に取り入れるには、以下の点に注意が必要です:
- 簡単に作れるからこそ、設計の責任が重くなる
- 拡張性・保守性・連携性を見越した設計が不可欠
- 生成AIやCI/CDとの連携を意識した運用が重要
「誰でも作れる」ではなく「誰でも壊せる」ことを肝に銘じながら、
正しい設計・運用方針のもとで活用することが鍵だと感じています。
💬 おまけ:今後やってみたいこと
- フィールド定義をJSONで出力 → 生成AIでUI+ロジックを自動作成
- ローコードツールのUIをコードから直接操作できるプラグイン開発
- モダンな設計(コンポーネント指向や設計思想)をローコードに取り入れる実験
ご意見・経験などがあれば、ぜひコメントで教えてください!
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