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Googleアシスタントで脱出ゲームを作ったら140万人が遊んでくれました

Last updated at Posted at 2019-12-04

スマートスピーカー Advent Calendar 2019 5日目の記事です。

ちょうど一年前、Googleアシスタントで「サンタの脱出」をリリースしました。サンタの脱出は20分ほどでクリアできる脱出ゲームで、日本語版に加えて英語版(Santa Claus Escape)もリリースしています。

この一年で、なんと140万人もの方がアクセスしてくれました。
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図1 アクセス数の推移(Daily active user)

レビューをつけくださったのは1,447人。
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図2 サンタの脱出のレビュー人数

「VUIで遊べる脱出ゲームがもっと増えるといいなー」と思いつつ、サンタの脱出がこれほどたくさんの方に遊んでいただけた理由について仮説をご紹介していきます。

仮説1: 世界中の人々が「謎解き」を求めている

「サンタの脱出」は私が初めて作った脱出ゲームです。面白くするコツは全て次の書籍で学びました:

テンプレート式 脱出ゲームの作り方

この本には、「脱出ゲームの特徴は、脱出ゲームというジャンルに固定ファンが存在する点だ」とあります。その理由は、脱出ゲームは「1回解いたら終わり」で「ファンが常に次の脱出ゲームを探し続けている」から。ファンは常に謎解きに飢えているので、あなたが作ったゲームも楽しんでもらえるはず、と書いてあって、それならば出してみよう!と勇気をもらいました。

日本での脱出ゲーム人気は肌で感じていました。ちょっと脱線しますが、その勢いはますます高まっているように感じます。先日、娘の高校の文化祭へ行きました。去年までは文化祭定番の「お化け屋敷」があったのですが、今年は教室から脱出する「リアル脱出ゲーム」と、校内をまわる「謎解きゲーム」になっていました。

英語では謎解きを Brain teasers と言うようです。脳を悩ます難問、の意味。検索するとたくさん問題が出てきます。さて「サンタの脱出」は日本語と英語、どちらで多く使われたのでしょうか?

正解は次の図の通り、英語(青)です。日本語(赤)よりずっと多いです。Googleアシスタントは英語圏のユーザーが多いのが理由ですが「Brain teasers も大人気」と言ってよいと思います。ちなみに、unique users が 1.2M 人に減っているのは言語に英語、日本語以外に Other があるのを省いたためです。Other 0.2M 人って何だろう。
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図3 英語(青)v.s. 日本語(赤)

もうちょっと深堀して、モバイルデバイスとスマートスピーカーに分けて傾向を見てみます。モバイルデバイスからのアクセスは 1.1M 人で、圧倒的に多いです。傾向は変わりません。
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図4 モバイルデバイスでの英語(青)v.s. 日本語(赤)

一方、スマートスピーカーは 0.1M 人(112K人)。
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図5 スマートスピーカーでの英語(青)v.s. 日本語(赤)

英語のアクセスを国・地域別に表示してみた結果は次の通りです。77カ国からアクセスがありトップテンは、インド、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、フィリピン、マレーシア、インドネシア、パキスタン、シンガポールです。この図は英語全体の図ですが、モバイルデバイスに絞っても傾向は変わりません。インド強い!
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図6 英語、国・地域別

日本語へのアクセスは日本からだけなので省略します。

英語のアクセスをスマートスピーカーに絞ると様子が変わります。それが次の図です。トップテンはアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、インド、シンガポール、アイルランド、オランダ、ノルウェイ、ニュージーランドです。ヨーロッパが増えますね。
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図7 スマートスピーカーでの英語、国・地域別

仮説2: 高評価のレビューが多いと「ゲームで遊ぶ」でオススメされやすい

いくらいいゲームを作っても、知ってもらえなければ遊んでもらえません。VUIならゲームの名前を呼んでもらうというハードルの高さもあります。

とてもたくさんの方に遊んでいただけた一番の理由は、Googleアシスタントの Built-in intents、つまり、「ゲームで遊ぶ」機能によるところが大きいです。これは Google アシスタントに「ゲームで遊ぶ」「Play a game」と話しかけると、オススメのゲームを紹介してくれる機能です。アクセスが復活した10月中旬にモバイルデバイスで動作させたところ、日本語ではオススメの2番目に、英語では1番目に表示されていました(開発用とは別の Google アカウントで試しています)。

図8 ゲームで遊ぶ


図9 Play game

どうすれば上位にオススメしてもらえるかは「Google のみぞ知る」ことですが、レビューの件数が多く、かつ、高得点だとオススメしてもらいやすくなると推察しています。

開発者ができることは2つあります。まずは「いいゲームを作ること」。テンプレート式 脱出ゲームの作り方では、脱出ゲームを面白くするコツとして「助けたくなるシチュエーションづくり」と「クイズ・なぞなぞ・パズルをバランスよく配備する」ことを紹介しています。

そして、もう一つは「いいレビューをたくさん集めること」です。サンタの脱出は、利用者がゲームをクリアしたタイミングでレビューを依頼しています。ゲームをクリアした人は、ちょっと自慢したい気持ちもあって、高い確率でレビューをしてくれるはず。すると「ゲームで遊ぶ」でオススメされやすくなり、利用者が増え、クリアする人が増えてレビューが増え...、という好循環が起きたのだと推察しています。


図10 レビューの依頼

再現は可能なのか?

では、英語の脱出ゲームを作って、ゲームをクリアした人にレビューを依頼すれば、100万人規模の利用があるのでしょうか?いま実験をしていますが、そう簡単にはいきません。Google アシスタントで遊べるゲームも増えて状況は刻々と変化しています。

私は新しく「シンデレラの料理」という謎解きゲームを Alexaスキル として作りました。その英語版を Google アシスタントとしてリリース して3カ月が経ち、14万人が利用してくれています。レビュー数は76人と少ないですが、4.8と高評価。サンタの脱出ほど伸びるかはまだ分かりません。

(2020/09/22追記)その後、リリースしてから1年間で98万人が遊んでくれました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

なお、シンデレラの料理については(アクセス数含め)こちらで紹介していますので、よろしければご覧ください。

VUI の脱出ゲームがもっと増えるといいなー

脱出ゲームはクリアしたらおしまいの消費型コンテンツなのがちょっとだけ寂しいですが、本から面白くするコツも学ぶことができますし、公開すれば多くの人が遊んでくれます。この記事で「お、私も作ってみようかなー」と思ってくださる方が増えると嬉しいです!

おまけ1: Google アシスタントで日本語と英語を使えるようにする

Google アシスタントはバイリンガルです。
https://support.google.com/googlenest/answer/7550584?hl=ja
の「Google アシスタントに他の言語を追加する」をご覧ください。

おまけ2: 国・地域別の Assistant Directory(Google アシスタントのレビュー)

Google アシスタントのレビューは Assistant Directory で見られます。ですが、言語と国・地域を URL で指定しないとみられません。具体的には、URLの末尾が?hl=<言語名2文字>_<国・地域名2文字>となります。言語名2文字は ISO 639-1 に準拠、国・地域名2文字は ISO 3166-1 alpha-2 に準拠です。

ただ、イギリス(en_GB)、フィリピン(en_PH)、パキスタン(en_PK)、バングラディシュ(en_BD)で同じレビューが表示されているので、実はURLのルールが違うかも...。ご存じの方がいらしたら教えてください。

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