AWS におけるロードバランサーは、単なる「負荷分散装置」ではなく、
サービスを安定稼働させるための 中核コンポーネント である。
以下に主要な役割と特徴を整理する。
🔹 1. トラフィック分散(Load Distribution)
大量アクセスが発生すると、特定サーバーに負荷が集中し障害が起きる。
ロードバランサーは 複数の EC2 インスタンスへリクエストを均等に配分 し、
システム全体の安定性と性能を向上させる。
🔹 2. 高可用性(High Availability)
EC2 インスタンスの一部が故障しても、
ロードバランサーが 異常インスタンスを自動的に除外 し、
正常なインスタンスへルーティングするため、サービス停止を防ぐ。
🔹 3. フォールトトレランス(Fault Tolerance)
複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にインスタンスを配置し、
LB がそれらを統合的に扱うことで、
特定 AZ 障害が発生してもサービスを継続可能 となる。
🔹 4. ヘルスチェック(Health Check)
LB は定期的にバックエンドインスタンスへヘルスチェックを実施し、
- 正常 → トラフィックを転送
- 異常 → 転送対象から除外
と振る舞うことで サービス品質を自動維持 する。
🔹 5. 単一ドメインの提供(Single Point of Access)
利用者は example.com の 1 箇所へアクセスするだけでよく、
LB が内部的にバックエンド複数台への振り分けを行う。
これにより、構成を意識させないシンプルなアクセス形態を実現。
🔹 6. HTTPS / SSL 終端(TLS Termination)
LB に証明書を設定することで、
クライアント ↔ LB 間のみ暗号化通信を行い、
LB ↔ EC2 では内部通信として処理し負荷を軽減 できる。
セキュリティ向上とサーバー負荷削減が同時に可能。
🟧 AWS ロードバランサーの種類
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| ALB (Application Load Balancer) | L7 ロードバランシング、HTTP/HTTPS、パス/ホストベースルーティング |
| NLB (Network Load Balancer) | L4、超低遅延、高スループット、TCP/UDP 対応 |
| CLB (Classic Load Balancer) | 旧世代、互換性目的で使用されるのみ |