2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Copilot Studio のスキルは接続エージェントの先まで届くか (1) 設計とキット

2
Last updated at Posted at 2026-10-10

2026 年 10 月時点の情報です。
Microsoft Copilot Studio の画面と挙動は変わりやすく、この記事で扱う機能にはプレビュー段階のものが含まれます。

この回で確かめること

  • この連載で確かめる問いと、合格の条件
  • 問いを確かめるために組んだ構成と、検証キットの中身
  • キットを動かす前に知っておくべきこと

はじめに

Copilot Studio のエージェントは、3 種類の「ハーネス」 (エージェントを動かす実行の仕組み) のどれかの上で動きます。
この連載で扱うのは、そのうちの GitHub Copilot ハーネスで作るエージェントです (Copilot Studioのハーネス)。

ハーネス 向いている使い方
GitHub Copilot ハーネス (この連載の対象) 推論が要る、手順の多い業務。スキルとメモリに対応する
標準ハーネス トピックとルールで決めた、予測どおりの応答
Copilot チャット ハーネス Microsoft Copilot Chat を組織のナレッジで拡張する

スキル (SKILL.md) は、GitHub Copilot ハーネスのエージェントで使える機能です (エージェント向けのスキル概要)。
スキルの形式は、公開仕様の Agent Skills に沿っています。

スキルの実体は、次のような Markdown のファイルです。
先頭の --- で挟んだ部分 (フロントマター) に、スキルの名前 (name) と、いつ使うかの説明 (description) を書きます。
その下に、本文 (エージェントに守らせる手順や決まり) を Markdown で書きます。

---
name: tone-and-format
description: 社内問い合わせの回答の体裁を整える。利用者に返すすべての回答に適用する。結論の位置、文の長さ、箇条書き、数値の扱いを決める。回答を組み立てるときは常に使う。
---

社内の従業員に向けた回答は、次の体裁で組み立てます。

## 構成

1 文目に結論を書きます。前置き、あいさつ、「ご質問ありがとうございます」は書きません。

エージェントから別のエージェントに取り次ぐ接続エージェント (画面では [接続されたエージェント]) も、このハーネスではプレビュー段階の機能です (Copilot Studioの新機能 の「2026 年 6 月」)。

なお、GitHub Copilot ハーネスは Copilot Studio の中の仕組みで、GitHub Copilot のサービスそのものではありません。
エージェントの実行時に、顧客データが GitHub Copilot のサービスに送られたり処理されたりすることはない、と説明されています (Copilot Studioのハーネス の「重要」の注記)。

振る舞いの変更をスキルの差し替えだけで済ませられれば、文面は手元で管理し、Copilot Studio ではファイルを上げ直すだけにできます。

本当にそうできるのかを、Copilot Studio の仕様を確かめるために検証しました。
この連載は全 4 回で、検証 A から F の結果を順に紹介します。

回 内容
第 1 回 (この記事) 設計とキット
第 2 回 検証 A から E: スキルを差し替える
第 3 回 検証 F: スキルが使われる条件を確かめる
第 4 回 運用に持ち込むなら

検証に使ったファイルは GitHub に置きました。
第 1 回の時点では構築に使うファイルを置き、記録は連載に合わせて追加します。
手順の細部はリポジトリの手順書に譲り、記事では要点だけを書きます。

検証の問い

問いは 1 つです。
振る舞いの変更を、スキルの差し替えだけで完結できるか。

目指したのは「Copilot Studio を開かないこと」ではありません。
スキルを更新する経路は Copilot Studio の画面しかないので、開かずに済ませることはできません。
目指したのは「Copilot Studio で文面を書かないこと」です。

変更の種類 中身を決める場所 Copilot Studio での作業
知識を足す、直す SharePoint の published フォルダー なし
振る舞いを変える 手元で管理する SKILL.md ファイルを差し替えるだけ
部門を増やす 手元で管理する指示 (エージェントの [指示] 欄の文面) と説明文 エージェントの作成、接続、公開

合格の条件は、次の 3 つの変更と 1 つの追加を、既存のエージェントの指示に手を入れずに実現できることです。

  1. 口調を変える
  2. エスカレーションの条件を変える
  3. 部門固有の手続きを変える
  4. 部門を 1 つ増やす (ハブの指示を変えずに)

エージェントの構成

社内の問い合わせ窓口を想定し、ハブと部門エージェントの構成にしました。
ハブは利用者の質問を受け、所管の部門エージェントに取り次ぎます。
部門エージェントは、SharePoint に置いた自部門の文書をナレッジ ソースにして答えます。

部門エージェントは、ハブの [接続されたエージェント] として接続します。
スキルは、共通の 2 本 (tone-and-format、escalation-rules) をハブと各部門に、hr-leave-procedure を人事だけに入れて始めました。

ハブから部門エージェントに取り次ぐ構成なので、差し替えたスキルが取り次ぎ先まで効くかも、あわせて確かめます。
タイトルの「接続エージェントの先まで届くか」は、このことです。

前提

項目 内容
ハーネス GitHub Copilot ハーネス (「はじめに」を参照)
モデル Claude Opus 5 (既定のまま)
環境 Power Platform の環境 1 つ。部門ごとに分けない
試す場所 検証中は [プレビュー] タブ
画面の表記 日本語の UI。エージェントの動作は [指示] 欄に書く (英語の UI では [Instructions])

プレビューでの試行も課金されます。
GitHub Copilot ハーネスのエージェントは、作り始めた時点から Copilot クレジットを消費します。
公開後に課金が始まる標準ハーネスとは違い、[プレビュー] での試行や評価の作成も対象です (使用率に基づく請求の概要)。
キットを動かす前に、環境に割り当てたクレジットと消費量の見方を確認してください。
この検証に実際にいくらかかったかは、最終回で紹介します。

検証キット

リポジトリの主な中身です。

場所 中身
手順書.md 検証の進め方
agents/ ハブと 3 部門の指示と、接続エージェントの説明文
skills/、skills-v2/ スキルの正本。v1 と v2 (この先の版は連載に合わせて追加します)
upload/ 各版をスキル名の .md にしたもの。ドロップするのはこれ
knowledge/ SharePoint に置く文書 (docx と pdf)
tests/ テストセットと、空の記録シート
scripts/ 文書の原稿 (knowledge-src/)、テストセットの CSV、スキルの正本から、文書、記録シート、アップロード用の写しを作り直すスクリプト

検証用の文書は意図的に作り込んである

人事、総務、情報システムの規程や一覧を、架空の会社のものとして 8 点作りました。
条件や例外、表を含め、所管が重なるテーマ (在宅勤務、社員証、PC の持ち出し) と、どこにも書いていない事項を混ぜてあります。
前者で振り分けを、後者でエスカレーションを確かめます。

数値の表は、xlsx ではなく docx にしてあります。
SharePoint をナレッジ ソースにする経路はセマンティック検索で、Excel のセルを引けないためです。

スキルと指示は Copilot Studio の外で管理する

スキルの SKILL.md と、エージェントの指示の文面は、Copilot Studio の画面では書きません。
手元のフォルダーに 正本 (内容を直すときに手を入れる、ただ 1 つの原本) を置き、直すときは正本を直します。
Copilot Studio に上げるのは、正本から作った写しです。
Copilot Studio の画面 (たとえば [指示] 欄) や写しを直接直すと、その変更は正本に入りません。
次に正本から上げ直したときに上書きされて消え、画面には編集の履歴も残らないため、何が消えたのかも分かりません。

正本はどれもファイル名が SKILL.md なので、ドロップするときに見分けやすいよう、スキル名を付けた写しを upload/ に置いています。
中身は正本と同じで、scripts/build_upload.py でまとめて作り直せます。

置き場所に求めるのは次の 3 つで、特定の製品は要りません。

求めること 理由
差分が見えること Copilot Studio の画面にはスキルの編集履歴が残らない
前の版に戻せること 差し替えたスキルが期待と違ったときに戻す先が要る
変更依頼を受けてから反映する経路があること 運用を部門に渡すときに要る

版ごとのフォルダーでも Git でも、版が残るファイル共有でも成立します。
この検証では版ごとにフォルダーを分け、公開にあたって GitHub のリポジトリにしました。

組み立ての流れ

細かい手順は手順書の「フェーズ 0」と「フェーズ 1」にあります。
ここでは、知らずに進むと手戻りになる点だけを挙げます。

既定の Web 検索を外す

新しいエージェントには、[ナレッジ] に「すべての Web サイトを検索する」が既定で入っています。
残すと、登録した文書に根拠がない質問に Web から答えてしまい、エスカレーションの検証が成り立ちません。
[×] で外します。

新しいエージェントの初期画面。右側の構成パネルの [ナレッジ] に「すべての Web サイトを検索する」が入っている
新しいエージェントの初期画面です。右側の構成パネルの [ナレッジ] に「すべての Web サイトを検索する」が入っています。
Used with permission from Microsoft.

ナレッジ ソースの説明を書き換える

SharePoint の published フォルダーをナレッジ ソースに登録したら、[説明] を書き換えます。
既定の説明は汎用の文で、振り分けの手がかりになりません。
どの規程や手続きの根拠が入っているかを具体的に書きます。
例は手順書の「1-2 ナレッジ ソースを登録する」にあります。

なお、フォルダーの URL は [共有] > [リンクのコピー] で取得して貼り付けます。
手で組み立てると、URL の中で記号の列になった日本語の取り違えに気づけず、「この項目が見つかりませんでした」となることがあります。

スキルは 1 回に 1 ファイル

[スキル] の [+] から [スキルの追加] を開き、スキル名の .md をドロップします。

  • Copilot Studio がスキルを見分けるのは、ファイルの先頭に書いた name の値です。ファイル名ではありません。
  • 1 回のドロップで登録できるのは 1 件だけです。2 つ同時にドロップすると、エラーも警告も出ないまま 1 つしか入りません。
  • ドロップするとダイアログが閉じ、Copilot Studio がファイルを確認する処理 (「スキルを検証しています」と表示されます) が走ります。チップが増えたのを確かめてから次を入れます。

[スキルの追加] ダイアログ。ドロップ ゾーンと [ファイルの要件] が示されている
[スキルの追加] ダイアログです。ドロップ ゾーンと [ファイルの要件] が示されます。
Used with permission from Microsoft.

人事エージェントの [スキル] に 3 件そろった状態
人事エージェントにスキルを 3 件そろえたところです。
Used with permission from Microsoft.

部門エージェントは接続の前に公開する

接続エージェントにできるのは、公開済みのエージェントだけです。
下書きのままでは、ハブの接続先の一覧で選べません。
部門エージェントを [公開] > [エージェントの公開] で公開してから、ハブに接続します。

ハブの [接続されたエージェント] に総務と人事が並んだ状態
ハブの完成形です。ナレッジは持たせず、[接続されたエージェント] に総務と人事が並びます。
Used with permission from Microsoft.

スキルの差し替えは削除して追加し直す

検証した環境には、スキルを 1 手で置き換える機能がありませんでした。
チップの [×] で削除し、新しい版をドロップし直して [保存] します。

ベースライン

組み上げたら、ハブの [プレビュー] でテストセットの 12 問を投げ、回答の要点を記録シートに残しました。
ここで期待どおりにならない質問があっても、スキルや指示は直しません。
ベースラインは、差し替える前の状態を残すためのものです。

まとめ

  • スキルの文面は Copilot Studio の外に正本を置き、画面ではファイルを差し替えるだけにする構成を組みました。
  • 構成はハブと部門エージェントで、部門は [接続されたエージェント] としてつなぎます。
  • GitHub Copilot ハーネスでは、プレビューでの試行も課金されます。キットを動かす前に確認してください。

これで、問いを確かめる準備が整いました。
次回は、この構成で実際にスキルを差し替えます。
口調、エスカレーション、部門固有の手続きの 3 つを変え、部門を 1 つ増やしたとき、利用者への回答がどう変わるかを検証 A から E で確かめます。
続きは 第 2 回 検証 A から E です。

参考

2
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?