この記事は 2026 年 11 月 7 日時点の公開情報に基づいています。
名称や対応範囲は今後変わる可能性が高いので、使う前にリンク先の一次情報を確認してください。
はじめに
2026 年 10 月 28 日に、ハーネスに関する 2 つのニュースが出ました。
1 つは Copilot Studio の「GitHub Copilot ハーネス」が「Microsoft Copilot ハーネス」に改称されたこと、もう 1 つは VS Code で「Copilot ハーネス」が新規セッションの既定になったことです。
製品も名前も違いますが、調べていくと、どちらも同じ流れの中の発表でした。
この記事では、一次情報をもとに、2 つの発表の関係と、その背景にある Microsoft Copilot ハーネスを整理します。
この記事でわかること
- ハーネスとは何か、なぜ注目されているのか
- 10 月 28 日に何が発表されたか
- VS Code と Copilot Studio のハーネスの関係
- 資料によって呼び名が違うものの対応
製品名に含まれる「harness」は、本文では「ハーネス」と表記しています。
英語の原文の引用、記事やセッションのタイトルは英語のままです。
まとめ
- Microsoft は、GitHub が開発したエージェントのハーネスを「Microsoft Copilot ハーネス」として全社の標準にすると発表しました。
- Copilot Studio では「GitHub Copilot ハーネス」が「Microsoft Copilot ハーネス」に改称されました。機能と課金は変わりません。
- VS Code では、同じ系統の「Copilot ハーネス」が新規セッションの既定になりました。名前は「Copilot ハーネス」のままです。
- 採用製品には、開発者向けの製品だけでなく、コードを書かない人向けの Copilot Code も挙がっています。
ハーネスとは
AI エージェントでは、モデルが次に何をするかを決め、ハーネスがそれを実際に実行する仕組みを取り仕切ります。
たとえるなら、モデルは運転手、ハーネスは車体と制御系です。
同じ運転手でも、車が違えば走り方が変わります。
| 役割 | 担当すること |
|---|---|
| モデル | 目標に向けて、次に取る行動(ツールの呼び出し、コードの変更など)を選ぶ |
| ハーネス | ツールの呼び出しと結果、会話の履歴、コードの変更をセッションにまとめ、実行と状態の管理を受け持つ |
出典: Understand agent harnesses — VS Code ドキュメント (英語)
なぜ注目されるのか
Microsoft は、同じモデルでもハーネスを替えると結果が大きく変わるという社内評価を公表しています。
| 指標 | Microsoft Copilot ハーネス | 標準ハーネス |
|---|---|---|
| 同じタスクの合格率 | OpenAI のモデルで +10.8 ポイント、Anthropic のモデルで +22.1 ポイント | 基準 |
| ツール呼び出しの失敗後も解決を続けた割合 | 84〜91% | 7% 未満 |
| 入力処理の正味コスト | 15〜21% 削減 | 基準 |
数値はいずれも 2026 年 10 月の Microsoft の社内分析で、第三者の検証はありません。
比較の相手は Copilot Studio の標準ハーネスで、モデルを替えた場合との比較ではありません。
出典: The GitHub Copilot harness in Copilot Studio is now the Microsoft Copilot harness (英語)
10 月 28 日に何が起きたか
10 月 28 日に、ハーネスに関する発表が 5 つの方面から同時に出ました。
その前の 1 年弱で、GitHub の SDK とランタイムが Copilot Studio などに広がっていたことが背景にあります。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1 月 14 日 | Copilot SDK がテクニカル プレビュー |
| 4 月 2 日 | Copilot SDK がパブリック プレビュー |
| 6 月 2 日 | Copilot SDK が GA |
| 8 月 3 日 | Copilot Studio の GitHub Copilot ハーネスが GA |
| 8 月 21 日 | Copilot agent runtime の Rust への移植が完了 |
| 10 月 | VS Code 1.143 で Copilot ハーネスが新規セッションの既定に(1.142 で段階展開が始まった) |
| 10 月 28 日 | 全社統一の発表、Copilot Studio のハーネスと SDK の改称、Foundry でのパブリック プレビュー |
10 月 28 日の発表を並べると、Official Microsoft Blog での全社統一の発表を中心に、各製品の発表が出ている形になります。
| 10 月 28 日の発表 | 内容 |
|---|---|
| Official Microsoft Blog (英語) | GitHub 製のマルチモデル対応ハーネスを全社で採用し、Microsoft Copilot ハーネスとして標準化する(全社統一の発表) |
| Copilot Studio Blog (英語) | GitHub Copilot ハーネスを Microsoft Copilot ハーネスに改称。機能と課金は変わらない |
| GitHub Changelog (英語) | GitHub Copilot SDK を Microsoft Copilot SDK に改称。パッケージ名は当面そのまま |
| Foundry Blog (英語) | Foundry Agent Service でパブリック プレビュー。ランタイムの利用料は 12 月 1 日から課金 |
| GitHub Changelog: VS Code (英語) | VS Code 1.144 でも Copilot ハーネスが新規セッションの既定(既定になったのは 1.143 (英語)) |
全体像
1 つのランタイムと、その入り口になる SDK の上に、開発者向けの製品も業務向けの製品も乗っています。
Microsoft はこの全体を「Microsoft Copilot ハーネス」と呼んでいます。
全社統一の発表が採用製品として名前を挙げているのは、Copilot Code、Copilot Studio、GitHub Copilot アプリ、CLI、VS Code です。
Copilot Cowork、Office アプリ、Visual Studio、Copilot Code Review は、GitHub Blog の Rust 移行記事が、同じランタイムを使う製品として挙げています。
図は、これらの公式記述をつないで作成しました。
出典: Official Microsoft Blog (英語)、Migrating the GitHub Copilot runtime to Rust using Copilot — GitHub Blog (英語)
開発者以外にも広がる例: Copilot Code
全社統一の発表で、採用製品の最初に挙げられているのが Copilot Code です。
Copilot Code は Microsoft Copilot の中の AI コーディング機能で、目標を自然言語で伝えると、確認の質問を挟みながらアプリを作ります。
対象は開発者ではなく、業務の課題をいちばんよく知っているビジネス側の利用者で、2026 年 10 月 21 日から Frontier プログラムで順次提供が始まりました。
Microsoft は、Copilot Code と GitHub Copilot は同じエージェント技術を共有していると説明しています。
開発者向けに生まれたハーネスが、ローコードの Copilot Studio だけでなく、コードを書かない人向けの製品にも広がっていることがわかります。
出典: Copilot Code: Make the power of coding accessible to everyone — Microsoft Copilot Blog (英語)
同じ基盤、違う製品
基盤は同じでも、実行場所、課金、選べるハーネス、想定ユーザーは製品ごとに違います。
「同じ基盤」とは言えますが、「同じ挙動」とまでは言えません。
| 観点 | VS Code の Copilot ハーネス | Copilot Studio の Microsoft Copilot ハーネス |
|---|---|---|
| 10 月の変化 | 新規セッションの既定になった | 名称が変わった(機能と課金は変わらない) |
| 現在の名称 | Copilot ハーネス(UI では「Copilot」) | Microsoft Copilot ハーネス(UI と Learn は移行中) |
| 実行場所 | Agent Host(自分のマシン、接続先のホスト、Dev Container) | Copilot Studio が管理するサンドボックス |
| ほかの選択肢 | Local ハーネス(退役が進行中)、Claude ハーネス、Codex ハーネス | 標準ハーネス、Customer Conversation ハーネス、Copilot Chat ハーネス |
| 課金 | GitHub Copilot のプランと AI クレジット | Copilot クレジットの従量課金 |
| 想定ユーザー | 開発者 | メーカー(ローコード) |
旧名称の「GitHub Copilot ハーネス」は、GitHub Copilot のサービスを使うように見える名前でした。
Microsoft Learn によると、このハーネスは GitHub Copilot のサービスではなく、顧客データは GitHub Copilot のサービスに送られません。
GitHub Copilot と共有しているのは、基盤の技術と SDK のコンポーネントです。
画面や Learn に旧名称が残っている間は、この点を押さえておくと誤解を防げます。
出典: Understand agent harnesses — VS Code ドキュメント (英語)、Copilot Studio のハーネス
呼び名の対応
同じものが、資料によって別の名前で呼ばれています。
資料や画面で見かけたら、次の表で読み替えてください。
| 指しているもの | 新しい名前(2026/10/28〜) | 見かける別の名前 |
|---|---|---|
| Copilot Studio の新しいハーネス | Microsoft Copilot ハーネス | GitHub Copilot ハーネス(Learn、画面) |
| Copilot Studio の従来のハーネス | 標準ハーネス(変更なし) | Standard harness(英語の Learn など) |
| VS Code のハーネス | Copilot ハーネス(変更なし) | ハーネスの選択メニューでは「Copilot」(Copilot Studio の旧名称「GitHub Copilot ハーネス」とは別のもの) |
| SDK | Microsoft Copilot SDK | GitHub Copilot SDK、Copilot SDK、github/copilot-sdk(リポジトリ) |
VS Code の「Copilot ハーネス」と、Copilot Studio の旧名称「GitHub Copilot ハーネス」は名前が似ていますが、別の層の別の名前です。
前者は VS Code でコードを書く AI エージェントが動くハーネス、後者は Copilot Studio のエージェントが動くハーネスです。
どちらも同じ系統の基盤の上にありますが、改称されたのは後者だけです。
確かなこと、まだ分からないこと
| 一次情報で確かめられたこと | まだ分からないこと |
|---|---|
| Microsoft Copilot ハーネスが Copilot Studio と VS Code などを動かしている(全社統一の発表) | VS Code の Copilot ハーネスと Copilot Studio の Microsoft Copilot ハーネスが同じものだと 1 文で明言した一次情報はない。「同じ基盤」は複数の公式記述をつないだ解釈 |
| Copilot Studio のハーネスと SDK は改称された | VS Code のハーネスを改称する予告はない(1.145 の時点でも名称は Copilot ハーネス) |
| VS Code の Local ハーネスは段階的に退役が進んでいる | 正式な廃止の告知はない |
| Copilot Code は全社統一の発表で採用製品として名前が挙がっている | Copilot Code とハーネスの関係は、発表の 1 文と「同じエージェント技術を共有している」という説明だけで、詳細は公表されていない |
| 社内評価の数値(合格率、粘り強さ、コスト)は公表されている | 社内評価は第三者に検証されていない |
今後の注目点
Microsoft Ignite 2026(11 月 17〜20 日)には、ハーネスに関するセッションが予定されています。
呼び名の統一や各製品での扱いは、Ignite の後に動きがあるかもしれません。
- BRK264「Pick the right harness to build your agents with using Copilot Studio」 (英語)
- BRK277「Hack the harness: Customize and secure GitHub Copilot SDK agents」 (英語)
おわりに
Copilot Studio の改称と VS Code の既定化は、別々のニュースに見えて、GitHub 発のハーネスを Microsoft の Copilot 全体の標準にする同じ流れの一部でした。
ただし、基盤が同じでも、実行場所や課金、使える道具は製品ごとに違います。
製品の画面やドキュメントで「ハーネス」という言葉を見かけたら、どの製品の、どの層の話かを意識すると読み解きやすくなります。
参考資料
- Introducing the Microsoft Copilot harness: Unlocking the potential of truly multi-model agentic work — The Official Microsoft Blog (英語)
- The GitHub Copilot harness in Copilot Studio is now the Microsoft Copilot harness — Microsoft Copilot Blog (英語)
- GitHub Copilot SDK is becoming Microsoft Copilot SDK — GitHub Changelog (英語)
- GitHub Copilot in VS Code, Universe releases — GitHub Changelog (英語)
- Microsoft Copilot harness in Foundry — Microsoft Foundry Blog (英語)
- Visual Studio Code 1.142 (英語)、1.143 (英語)、1.144 (英語)、1.145 (英語)
- Understand agent harnesses — VS Code ドキュメント (英語)
- Migrating the GitHub Copilot runtime to Rust using Copilot — GitHub Blog (英語)
- Copilot Code: Make the power of coding accessible to everyone — Microsoft Copilot Blog (英語)
- Copilot SDK in technical preview (英語)、public preview (英語)、generally available (英語)
- Copilot Studio のハーネス — Microsoft Learn




