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リアルタイム通知を実装!LaravelとRedisで始めるイベント駆動開発

Last updated at Posted at 2025-08-25

Qiita技術ブログ.png

はじめに

今回は、Webアプリケーションに欠かせないリアルタイム通知機能をテーマに、Laravelの強力な機能であるイベントとキュー、そしてブロードキャストを組み合わせて実装する方法を解説します。バックエンドにRedisを、フロントエンドにVue.jsとLaravel Echoを使うことで、シンプルながらも堅牢なシステムを構築します。

なぜリアルタイム通知にイベント駆動開発が適しているのか

リアルタイム通知は、ユーザーが何かアクションを起こしたとき(例: 誰かがあなたの投稿に「いいね」した)、関連するユーザーに即座に情報を伝える仕組みです。この種の機能には、イベント駆動開発が非常に適しています。

  • 疎結合: ユーザーの「いいね」というアクション(イベント)と、通知を送信するというタスク(リスナー)が分離されるため、コードの依存関係が減り、保守性が向上します。
  • 非同期処理: 通知処理はメインのリクエストとは切り離され、バックグラウンドで非同期に実行されます。これにより、ユーザーは通知処理が完了するのを待つことなく、すぐにレスポンスを受け取ることができ、パフォーマンスが向上します。

Laravelのイベント・キュー・ブロードキャスト機能の概要

  • イベント: 特定の出来事(例: UserLikedPost)を表現するクラスです。
  • リスナー: イベントが発生したときに実行されるタスク(例: 通知を生成し、送信する)を定義するクラスです。
  • キュー: 時間のかかるタスクを非同期で実行するための仕組みです。リスナーをキューに登録することで、バックグラウンドで処理を実行できます。
  • ブロードキャスト: リアルタイム通信を実現する機能です。サーバー側で発生したイベントを、WebSocket経由でクライアントに送信します。

本記事で構築するリアルタイム通知システムの全体像

本記事では、ユーザーが「いいね」ボタンをクリックすると、以下のフローでリアルタイム通知が送られるシステムを構築します。

  • フロントエンド: ユーザーが「いいね」ボタンをクリックすると、APIリクエストが送信される。
  • バックエンド: Laravelがリクエストを受け取り、PostLikedイベントを発火させる。
  • キュー: PostLikedイベントに紐づいたリスナーがキューに登録される。
  • Redis: キューに登録されたタスクがRedisに一時保存される。
  • キューワーカー: キューワーカーがRedisからタスクを取り出し、通知を生成し、ブロードキャストイベントを発火させる。
  • Laravel Echo Server: WebSocketサーバーがブロードキャストイベントを受け取り、フロントエンドに送信する。
  • フロントエンド: Laravel EchoがWebSocket通信を受信し、Vue.jsがリアルタイムで通知を表示する。

開発環境のセットアップ

Docker Composeを使ったLaravelプロジェクトの準備

まず、Laravelプロジェクトと必要なサービス(Nginx、MySQL、Redis、Node.js)をDockerで動かすためのdocker-compose.ymlを作成します。

YAML

version: '3.8'
services:
  app:
    build:
      context: ./
      dockerfile: Dockerfile
    volumes:
      - .:/var/www/html
    ports:
      - "8000:8000"
    networks:
      - app-network

  redis:
    image: redis:6-alpine
    ports:
      - "6379:6379"
    networks:
      - app-network

  # Laravel Echo Server用のNode.jsコンテナ
  echo-server:
    image: node:18-alpine
    volumes:
      - ./:/app
    working_dir: /app
    ports:
      - "6001:6001"
    command: sh -c "npm install && node laravel-echo-server.js start"
    depends_on:
      - redis
    networks:
      - app-network

networks:
  app-network:
    driver: bridge

echo-serverコンテナは、Node.jsベースのWebSocketサーバーであるlaravel-echo-serverを実行するために使用します。

RedisコンテナとLaravelのキュー設定

次に、LaravelがRedisをキューとして使用するように設定します。.envファイルを編集します。

QUEUE_CONNECTION=redis
REDIS_HOST=redis

これで、php artisan queue:workコマンドを実行すると、Redisからキューのタスクが処理されるようになります。

Node.jsとLaravel Echoの導入

フロントエンドでWebSocket通信を処理するために、Node.jsとlaravel-echo、socket.io-clientを導入します。

Bash

docker-compose exec app npm install laravel-echo socket.io-client --save-dev

2. イベントとリスナーの作成

ユーザー登録を例にしたイベントの定義

ここでは、「投稿にいいねがされた」というイベントを例にします。まず、PostLikedイベントクラスを作成します。

Bash

docker-compose exec app php artisan make:event PostLiked

app/Events/PostLiked.phpに、イベントのプロパティを定義します。

PHP

// app/Events/PostLiked.php
<?php
namespace App\Events;
//...
class PostLiked
{
    use Dispatchable, InteractsWithSockets, SerializesModels;
    public $user;
    public $post;
    public function __construct(User $user, Post $post)
    {
        $this->user = $user;
        $this->post = $post;
    }
    //...
}

イベントをトリガーに通知を送信するリスナーの実装
次に、PostLikedイベントが発生したときに実行されるリスナーを作成します。

Bash

docker-compose exec app php artisan make:listener SendPostLikedNotification --event=PostLiked --queued

--queuedオプションを付けることで、このリスナーは非同期でキューを使って実行されるようになります。

app/Listeners/SendPostLikedNotification.phpのhandleメソッドに、通知送信ロジックを記述します。

PHP

// app/Listeners/SendPostLikedNotification.php
public function handle(PostLiked $event): void
{
    $postOwner = $event->post->user;
    $liker = $event->user;
    $postOwner->notify(new PostLikedNotification($liker, $event->post));
}

最後に、イベントとリスナーを紐づけるために、app/Providers/EventServiceProvider.phpに登録します。

PHP

// app/Providers/EventServiceProvider.php
protected $listen = [
    PostLiked::class => [
        SendPostLikedNotification::class,
    ],
];

これで、「いいね」のアクションをトリガーに、非同期で通知が生成される仕組みができました。

キューを使った非同期処理のメリット

キューを使うことで、時間のかかる処理(通知の生成、メール送信、画像処理など)をバックグラウンドに回すことができます。これにより、HTTPリクエストの応答時間を短縮し、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。また、キューワーカーを複数起動することで、処理能力をスケールさせることも可能です。

リアルタイムブロードキャストの実装

Laravelのブロードキャスト設定

通知をリアルタイムでフロントエンドに送信するために、ブロードキャスト機能を有効化します。

.envでBROADCAST_DRIVERをredisに設定し、config/broadcasting.phpでRedis接続を設定します。

BROADCAST_DRIVER=redis
REDIS_HOST=redis

次に、通知クラスにShouldBroadcastインターフェースを実装します。

PHP

// app/Notifications/PostLikedNotification.php
use Illuminate\Contracts\Broadcasting\ShouldBroadcast;

class PostLikedNotification extends Notification implements ShouldBroadcast
{
    // ...
}

ShouldBroadcastを実装することで、この通知がイベントとしてブロードキャストされるようになります。

Redisとlaravel-echo-serverの連携

laravel-echo-serverは、Laravelのブロードキャスト機能とWebSocket通信を仲介するサーバーです。

laravel-echo-server.jsonファイルを作成します。

JSON

{
  "authHost": "http://localhost:8000",
  "authEndpoint": "/api/broadcasting/auth",
  "clients": [],
  "database": "redis",
  "databaseConfig": {
    "redis": {
      "host": "redis",
      "port": "6379"
    }
  },
  "devMode": true,
  "host": "0.0.0.0",
  "port": "6001",
  "protocol": "http"
}

この設定ファイルで、databaseConfigにRedisコンテナのホスト名(redis)とポート(6379)を指定します。authHostはLaravelアプリケーションのURLです。

Vue.jsを使ったフロントエンドでのリアルタイム通知の購読

最後に、フロントエンドでWebSocket通信をリッスンし、通知を受け取って表示するロジックを実装します。

JavaScript

// resources/js/app.js
import Echo from 'laravel-echo';
import io from 'socket.io-client';

window.io = io;
window.Echo = new Echo({
    broadcaster: 'socket.io',
    host: window.location.hostname + ':6001'
});

window.Echo.private(`App.Models.User.${userId}`)
    .notification((notification) => {
        console.log('リアルタイム通知:', notification.message);
        // ここで通知を画面に表示するロジックを実装
    });

このコードは、App.Models.User.{userId}というプライベートチャンネルを購読し、通知が届くとnotificationコールバックが実行されます。

まとめと応用

構築したリアルタイム通知システムのレビュー

本記事で構築したシステムは、以下の特徴を持っています。

  • 非同期: キューを使って時間のかかる処理をバックグラウンドで実行。
  • リアルタイム: WebSocket通信により、即座に通知を送信。
  • スケーラブル: Redisとキューワーカーを組み合わせることで、トラフィックが増加しても容易にスケールアウト可能。

通知の永続化と未読管理の追加

このシステムはリアルタイム通知を実装していますが、通知をデータベースに保存し、ユーザーがいつでも確認できるようにすることも重要です。LaravelのNotifications機能は、この永続化と未読管理の機能も提供しています。

  • 永続化: databaseドライバを使って通知をデータベースに保存。
  • 未読管理: markAsRead()メソッドを使って通知を既読にすることができます。

さらなるスケールを見据えたアーキテクチャの検討

本番環境では、laravel-echo-serverの代わりに、より堅牢なプッシャーサービス(例: PusherやLaravel Reverb)を使用することが推奨されます。これらのサービスは、WebSocketサーバーの運用を管理してくれるため、開発者はアプリケーションロジックに集中できます。

今回の記事では、LaravelとRedisを使ったイベント駆動のリアルタイム通知システムを、Docker環境で構築する方法を解説しました。この知識を活かし、あなたのアプリケーションにユーザーエンゲージメントを高める機能をぜひ実装してみてください。

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