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はじめに

株式会社パレットリンクの@t-yonefuです。AIを使っているとトークン消費を気にすることがよくありますがこれは個人が気にすることで、更にスケールを広げて企業や社会インフラについて考えると別の問題が見えてきます。今回はその問題に関してまとめつつ、解決策になるであろうDePINについて紹介したいと思います。

AI需要の爆発

大規模言語モデル(LLM)をはじめとするAI技術の急激な普及により、従来のデータセンターは電力とハードウェアの供給限界に直面しています。巨大テクノロジー企業でさえ、増え続ける需要に対して十分なインフラを確保することが困難な状況です。また、Crucialブランドで知られるMicron Technologyが2025年にデータセンター向けメモリー事業への専念のため一般向けメモリーの出荷終了を発表したように、AIのハードウェア需要は企業に留まらず、一般消費者まで影響を与えています。

中央集権型の限界

従来のクラウドコンピューティング(AWS、Google Cloud、Azureなど)や通信ネットワークの構築は、一部の巨大企業が巨額の資本を投じてデータセンターや基地局を整備する中央集権型のモデルでした。

このモデルの課題は次のとおりです。

  • 資本集約的:新規データセンター建設に数年と莫大な投資が必要
  • 地理的集中:特定リージョンへの需要集中で電力・冷却が逼迫
  • 単一障害点:プロバイダー依存によるベンダーロックイン

DePIN(分散型物理インフラネットワーク)という選択

大企業が自社にハードウェアを占有し、それでもなお発生する中央集権的インフラの限界を解決するスケーラブルな代替手段として、世界中のリソースを束ねるDePINへの需要が急増しています。

DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks:分散型物理インフラネットワーク) は、ブロックチェーンとトークン報酬を活用し、世界中の個人や企業から「物理的なハードウェアリソース」をクラウドソーシングする仕組みです。

DePINの基本的な仕組み

  1. 提供者がGPU、ストレージ、帯域幅などの物理リソースをネットワークに接続する
  2. プロトコルがワークロードを適切な提供者にルーティングする
  3. ブロックチェーンが貢献を暗号学的に検証し、報酬を自動分配する
  4. 利用者は従来クラウドより安価に、スケーラブルにリソースを利用する

中央集権型クラウドとDePINの比較

観点 中央集権型クラウド DePIN
資本要件 巨額の前期投資 提供者が分散投資
スケール速度 データセンター建設に数年 ノード追加で容易に拡張
地理的分散 リージョン単位 グローバルに細かく分散
レイテンシ 安定 やや不安定

DePINの活用事例

1. AI推論・サーバーレス環境の提供

Chutes — Bittensorネットワーク上のサブネットとして構築された、分散型のサーバーレスAI推論プラットフォーム。

  • 特徴:開発者はインフラを直接管理することなく、DeepSeekやQwenなどのオープンソースLLMをAPI経由で数秒でデプロイできる
  • 強み:AWSなどの従来クラウドと比較して推論コストを約85%削減。TEE(Trusted Execution Environment)と耐量子暗号(ML-KEM-768)によるエンドツーエンド暗号化により、GPUホスト側からプロンプト内容を覗き見にくくする

2. AIモデルの学習・GPUリソースの集約

Render Network — 世界中のアイドル状態のハイエンドGPUを束ねる分散型クラウドプロトコル。

  • 特徴:3Dレンダリング向けに始まり、現在は生成AI向けの計算処理へ用途を拡大
  • 強み:月間数千万ドル規模の実収益を生み出し、遊休GPUの活用モデルを確立

3. AI学習用データの収集(スクレイピング)

Grass — AIモデルのトレーニングに必要なデータ収集を担うDePINプロジェクト。

  • 特徴:ユーザーの余剰なインターネット帯域幅を共有し、ウェブのスクレイピングでAI用データを収集
  • 強み:ゼロ知識証明(ZKP)による「Sovereign Data Rollup」でデータの出所と真正性を保証し、不正データの混入を防止

まとめ

AIの計算需要は増え続けており、中央集権型クラウドだけでは電力・ハードウェア・建設速度の面で限界が見えています。DePINはブロックチェーンとトークンインセンティブで世界中の物理リソースを束ね、Chutes(推論)、Render Network(学習)、Grass(データ収集)のようにAIパイプラインの各段階で実用例が広がっています。

この需要は一時的なブームではなく構造的なトレンドです。DePINはコスト削減とスケーラビリティの観点から、AI時代のインフラを補完・代替する現実的な選択肢として、今後さらに重要性を増していくでしょう。

さいごに

パレットリンクでは、日々のつながりや学びを大切にしながら、さまざまなお役立ち記事をお届けしています。よろしければ、ぜひ「Organization」のページもご覧ください。
また、私たちと一緒に未来をつくっていく仲間も募集中です。ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。一緒に新しいご縁が生まれることを楽しみにしています。

参考

Coincub: DePIN for AI in 2026: Real Costs & Enterprise Barriers
Chutes
Render Network
Grass

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