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OpenTelemetry CollectorのProcessorを眺めてみる

Last updated at Posted at 2022-12-16

OpenTelemetry Advent Calendar 2022、17日目の記事です

Processor

Processorとは、メトリクス、トレース、ログをバックエンドに送る際に様々な処理をかけられます、というものです。
とは言っても、何ができて、何を使ったらいいのかという疑問が湧いてくると思います。

そんな疑問に対して公式でRecommended Processorsが提案されています。
(下記は本記事作成時点の情報)

Traces

  1. memory_limiter
  2. any sampling processors
  3. Any processor relying on sending source from Context (e.g. k8sattributes)
  4. batch
  5. any other processors

Metrics

  1. memory_limiter
  2. Any processor relying on sending source from Context (e.g. k8sattributes)
  3. batch
  4. any other processors

これらが何なのかを見てみたいと思います。

memory_limiter

Otel Collectorで使用するメモリに制限をかけるProcessorです。
ソフト制限とハード制限をかけられ、ソフト制限を超えるとデータのドロップを開始、ハード制限を超えるとデータドロップだけでなく強制的にガベージコレクションを実行します。
制限は固定値もしくはパーセントで指定できます。

これは問答無用で入れておいた方が良さそうですね。
なお、Processorをかける順番も大事です。特にデータドロップ系(Memory Limiterや次のサンプリング)は最初に実行する必要があります。

any sampling processors

バックエンドや帯域の制約によってはサンプリング止む無しです。
サンプリングには二種類あります。

いわゆるHead-based samplingで、ランダムでサンプリングします。

ある程度Traceを蓄えた後、ポリシーに基づいてサンプリングします。
TraceのLatency、Status Code、Attribute、TraceState、Batch内のSpan数などに基づきサンプリングを行えます。
問題のないTraceは10%サンプリングし、Latencyが長かったり、エラーが発生したり、特定のAttributeを持つようなTraceを100%サンプリングするような使い方ができます。
Tail-basedの性質上Waitをかけるので(デフォルト30秒)、リアルタイム性であったりメモリ使用量に注意が必要ですね。

Any processor relying on sending source from Context (e.g. k8sattributes)

Contextに基づく送信ソースに依存するProcessorとのことで、これが何を指しているかは具体的な情報はありません。
(色々なコンフィグのサンプルを見ても、memory_limiter、batchと来て他のProcessorが続くものが多いです。)
とりあえず例になっているk8sattributesを見てみます。

以下のKubernetesメタデータをデータに自動的にタグ付けできます。

k8s.namespace.name
k8s.pod.name
k8s.pod.uid
k8s.pod.start_time
k8s.deployment.name
k8s.node.name

こちらの記事に詳しく利用例が載っています。

batch

データ圧縮効率化のためバッチ処理を行うProcessorです。
全てのコレクターにbatchを入れることが強く推奨されています。

バッチ送信タイミングは時間もしくはサイズで指定できます。
データドロップ系のProcessorを入れる場合は、memory_limiter ⇒ サンプリング ⇒ batch の順番でPipelineを組んでね、とのこと。

any other processors

Processorは他にも色々あります。
ざっと概要を見てみます。

Attribute処理系

Attributeに対して以下のような操作を行えます。

操作名 説明
insert データに新しいAttributeを挿入。
update Keyが存在するAttributeを更新。
upsert Keyの有無によりinsertまたはupdateを実行。
delete 対象Attributeを削除
hash 既存のAttributeをハッシュ化(SHA1)。
extract 対象Keyから正規表現ルールで抽出しtarget keyに設定。
convert 既存のAttributeを指定された型に変換(int, double, string)。

対象AttributeのKeyは正規表現マッチもできます。
コンテキストのため任意のサービス名などを埋め込む、機密情報を削除やマスキングするなどの使い方ができますね。

Value処理系

データ操作系

  • Filter Processor
    特定のAttribute(ホスト名やSeverityなど)を持つデータをIncludeもしくはExclude。

  • Group by Attributes processor
    特定のAttributeによりデータをグループ化。

  • Group by Trace processor
    次のProcessorに渡す前に待機して同一TraceのSpanを収集。Tail Sampling Processorなどグループ化されたTraceが必要なProcessorの前で使用する。

  • Routing processor
    Attributeを元にデータを特定のExporterにルーティング。

データ作成系

  1. 加算、減算、乗算、除算、パーセント (複数メトリクスの組み合わせも可)
  2. スケール(bytes ⇒ Mega bytes)
  • Span Metrics Processor
    SpanデータからRED (Request、Error、Duration)を集計。

  • Service graph processor
    Service Graph(分散システムのトポロジーなど)を作成するためのマップ作成。Grafanaで使うらしい。

Custom Processor

上記の他にも、各ベンダーのOtel Distributionだったり、Github上にサードパーティーが作成されたProcessorがあります。どうしても足りなければGo言語で開発することもできます。

まとめ

ざっとProcessorを眺めて見ました。
絶対に入れた方が良いExporterはmemory_limiter、batchで後はお好みで、という感じのようです。

サンプリング、Attributeの操作(リソース情報追加や機密情報マスキング)、フィルタリングなど柔軟な処理ができそうです。データ送信先のバックエンドは何でもよくて、Receiver、Processorは使いまわせるというOtelの良さを存分に発揮できますね。

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