きっかけ
最近は、新人教育に直接関わる立場から少し離れている。
それでも、少し離れたところから新人の動きを見ていて、感心することがある。
新しいAIモデルや機能が出たときに、とりあえず使ってみる。
そんな動きをしている新人がいた。
新しいものが出たと知って、実際に触る。
そのフットワークの軽さを見て、自分は最近どれくらいできているだろうと思った。
経験があると、触る前にも「何に使えそうか」を考えられる。
今の仕事に役立つか。すでに使っているものと何が違うか。
そうした判断ができるのは、経験を積んだ良さだと思う。
ただ、試す理由を探しているうちに、触らずに終わることもある。
使い道が思いつかないから試さないのか、触っていないから使い道が思いつかないのか。その境目は、自分でも少し怪しい。
新人の姿を見て、自分のことが少し気になった。
わからないことを、わかるまで聞く
AIとの関わり方でもう一つ大事だと感じるのが、わからないことを、わかるまで聞く泥臭さだ。
新人教育では、「15分考えてわからなければ先輩に聞こう」という目安を耳にすることがある。
自分で考える時間を取りつつ、一人で抱え込まないための目安だ。
今はAIに、疑問が浮かんだその場で聞ける。
相手の作業を中断させる心配もなく、説明がわからなければ、そのまま聞き直せる。
私自身、AIとの壁打ちでは、すでに理解しているものや、プライベートで興味のある分野に例えてもらうことが多い。
「それを、自分の知っている〇〇に例えるとどうなる?」
そこから自分なりの理解を返し、また説明してもらう。
技術用語だけではつながらなかったものが、知っている技術や好きな分野に置き換えると理解できることがある。
知っている技術を足場にする
実際に、FirestoreとElasticsearchを組み合わせた構成が、どうしても頭に入りづらかったことがある。
それぞれの説明を読んでも、組み合わせたときの話になるとうまくつながらない。
そこでAIに、「PrismaとPostgreSQLを使う構成に例えて説明して」と頼んだ。
説明してほしい内容は同じでも、自分が知っている技術を通して聞けると、話を追いやすくなる。
新しい用語だけで説明されるより、どこがわからないのかも言葉にしやすい。
知っている技術が、理解するための足場になる。
仕事の勉強に、自分の好きなものや、これまで触ってきたものを持ち込んでいい。
これは、AIとの壁打ちで気に入っているところだ。
例えで納得した後に、仕組みに戻る
ただ、わかりやすい例えに納得しただけでは、実際の仕組みまで理解できたとは限らない。
FirestoreとElasticsearchの構成も、PrismaとPostgreSQLの構成にそのまま対応するわけではない。
例えは説明を追う助けになるけれど、違いまでなくなるわけではない。
だから、例えから元の技術の話に戻るための質問も必要になる。
「この例えで、説明できていない部分はどこ?」
「実際の仕組みでは、何が違う?」
「自分はこう理解したけれど、合っている?」
AIの説明を手がかりにしつつ、仕様は公式ドキュメントで確認する。動作が気になるところは、小さなコードで試す。
例えが入口になっても、最後は実際の仕組みとつながっていてほしい。
答えがすぐ返ってきても、理解する過程は意外と泥臭い。
一方で、AIの回答でコードが動けば、そこで会話を終えることもできる。
もう困っていないのだから、「なぜこれで動くのか」は聞かなくても済んでしまう。
仕事では、まず動かして先に進む必要がある場面もある。
すべてをその場で深掘りするのは難しい。
それでも、自分が今どこまで理解していて、何を説明できないのかは把握しておきたい。
動いたことで安心して、その境目まで見えなくなるのは避けたいと思う。
質問しやすくなった今、自分はどれくらい「まだわからない」と言えているだろう。
今日の自分がいちばん新人だ
新しいものを試すことも、理解できるまで聞くことも、新人には大事だと言いやすい。
けれど、経験を積んだからといって、自然に続けられるものでもない。
知っていることが増えると、試す前に判断できるようになる。
動くコードを書けるようになると、理解が曖昧なままでも先に進める場面が増える。
それは経験に助けられている部分でもある。
だからこそ、試す機会や聞き直す機会を、自分で減らしていないかは気になる。
教育する立場から少し離れた今、新人の行動を見て、自分の学び方を振り返ることがある。
「こういう新人は伸びそうだ」と思った。
その理由に挙げた行動を、自分は最近していただろうか。
これからのエンジニア人生では、今日の自分がいちばん新人だ。
そう考えると、わからないことを何度も聞くのも、気になるものをとりあえず触るのも、今の自分にちょうどいい。
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