うん、「また」なんだ。済まない。
ようこそ、私の執筆した記事へ。
この序文は恒例だから、まず読んで落ち着いて欲しい。
この記事を見たとき、あなたは、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。
そう思って、この記事を作ったんだ。
じゃあ、本題に入ろうか。
「好評」「実装」「低迷」
勘の良い読者ならお気づきであろう、Microsoftは試験的な実装で一度は低迷し、それを立て直すことで評価を勝ち取るビジネスモデルを形成している。おだてられて、調子に乗って、失敗して、の三拍子(ワルツ)を奏でているのだ。
そう、「アタリ」OSと称するに値したWindows7の後、Windows8はお察しのとおりである。Vistaや7で採用していたリッチデザインを廃し、モダンUIと呼ばれる、スマートフォンやタブレットのようなタッチ画面デバイスを意識したUIを採用している。せっかくユーザーが馴染んできていた"スタートメニュー"や"スタートボタン"・複数のデスクトップアプリというスタイルが失われ、タイルと呼ばれるアプリのアイコン群がフルスクリーンで表示される画面を軸足にアプリを全画面で操作することを強いられる。
申し訳程度に"デスクトップ"というタイルが添えられており、95から慣れ親しんできたデスクトップ画面に遷移出来る。でも、ただそれだけで、操作性は失われたままだ。セキュアブートへの対応、クライアントOSとしては初のHyper-Vの搭載、プロダクトキーのマザーボードへの内蔵、起動時間の短縮、ISOイメージファイルのネイティブサポートなど、涙ぐましい成果が台無しと言って過言ではない。
そんな、Windows8に対する反響を汲み取ってか、MicrosoftはWindows7までは提供していたServicePackという概念を捨て、後続としてWindows8.1をリリースする。尤も、その形態からしてServicePackに近い。しかしながら、スタートボタンを復活させ、そのスタートボタンを右クリックすることで各種操作を実現する実装となった。これはスタートメニューにこそ踏み切らなかったが、ユーザーからの反響を汲み取らざるを得なかったことを認めたと見ていいだろう。とはいえパソコンのOSでありながら、他のデバイスにも流用しようというのは、少々突拍子も無い発想であったと言えよう。
この経緯を受けて、2015年にリリースされたのがWindows10だ。クライアントマシンにとって最後のOSと銘打って発表されたこの製品は、スタートボタンはもちろん、スタートメニューも携えての登場となった。アップデートパッチの配布に際しても、従来の毎月第一水曜日に加え、緊急度の高いものについては別途逐一でのリリースがなされるだけでなく、年間を通じて上期と下期に分け、3月と9月とにローリングリリースを行うことで、機能改善や新機能の実装を実現した。また、Windows7で試験的な実装に留まっていた仮想デスクトップ機能の追加は、macOSを意識したものであるとして齟齬はあるまい。また、音声認識アシスタントであるCortanaもまた、Apple製品のSiriに対抗するものとしていいだろう。他にも、これまでのWindowsのCUIターミナルとして親しまれてきたコマンドプロンプトも機能拡充が行われ、OSの更新とともにPowerShellへと置き換えがなされている。
デフォルトのインターネットブラザであったIEはEdgeというChromiumベースの新アプリに置き換わり、レガシーサポートとしての機能も2021年に終了した。他にも、認証機能としてWindows Helloが実装され、指紋やカメラでの顔認証を標準機能に応じたハードウェアが搭載されていれば、これを可能としている。更に、仮想プリンタ機能により、印刷する画面に準じたPDF出力をネイティブサポートする。更に開発環境として、WSLの存在は大きい。Hyper-Vと異なり、Microsoft StoreからゲストOSを追加する形をとるのだが、一旦はカーネルこそ使わないWSL1という実装に留まったが、実際にLinuxカーネルを仮想マシン上で実行するWSL2がリリースされ、ファイルシステムをNTFS上に配置するところから、ディスクイメージファイルに格納する形へと進化し、IPアドレスもWindowsと異なるものを使用する。いわば、パソコンのハードウェア上にハイパーバイザーを置いて、Windowsまでもゲストマシンとした環境を構築できることになる。windows7の稼働していた環境からの無償アップグレードを認めていた期間があったこともあり、Windows10は2025年10月のサポート終了を迎えつつも、条件付きの延長サポートプログラムが構成されるほどの人気を集め、史上最大の「アタリOS」と言っても相違あるまい。
しかしながら、Microsoft社のエンジニアが技術セミナー内で発言した「最後のクライアントOS」という見解は、Windows11の発表とともに崩れ去ることとなる。かつてのWindows8とまではいかないものの、もっさりとしたスタートメニュー、タスクバーがデフォルトで中央寄せで画面下部にしか配置できず、落胆したユーザーは少なくない。タブ表示に対応したメモ帳やエクスプローラーにも、Webブラウザ同様に使えると喜ぶ声もあれば、戸惑いを隠せず無効化する面々もあり、賛否の別れるところだ。また、エクスプローラー内でのアイテムに対するコンテクストメニュー(右クリックメニュー)もアイコンによる操作がメインで、"その他のオプションを確認"をクリックすることで従来の一覧が表示できる実装は、聞く限り不評気味である。
なお、このWindows11の導入にはTPM2.0への対応を条件としており、セキュリティ的なものとはいえ、古くなってしまったハードウェアの切り捨てであることは明らかだ。レジストリなどの操作で、条件を満たしていなくとも導入は出来るものの、パフォーマンスが著しく低下する他、これまで使用できていたデバイスが使えなくなるといった、リスクを抱えることとなる。また、Intel Macで可能だったBootCampによるデュアルブートも、このセキュリティ要件のために非対応となり、BootCampにとって初めての非対応OSとなった。この他にも、ハードウェア上でTPMを要件とした結果、BIOSの対応がなくなり、uEFIを条件付けし、クライアントOSとしては初の要件ともなっている。
他の面で言及するとすれば、2023年にスタンドアロンアプリとしての役目を終えたCortanaであったが、Copilotという新機能の実装を見る限り、Microsoftはまた「迷走」していると見て良いだろう。

次なる「アタリ」のOSがリリースされることを祈りつつ、我々は待つしかないのである。