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Amazon CloudFront の署名付きURL(カスタムポリシー)を使って、安全にコンテンツを配信してみた

Last updated at Posted at 2022-02-25

はじめに

前回の記事では、CloudFront の署名付きURL(規定ポリシー)を使って、Private の S3 Bucket に格納している画像データを、安全性を高めたアクセス方法を確認しました。

今回の記事では、より柔軟なアクセスポリシーを定義できるカスタムポリシーを利用した方法を確認していきましょう。

2種類の署名付き URL

前回の記事でも記載しましたが、今回も改めて記載します。

署名付き URL は、セキュリティに関するポリシーの違いによって、「規定ポリシー」と「カスタムポリシー」の 2 種類あります。2 つのポリシーの違いを AWS Document に書かれている表から抜粋します。規定ポリシーは、デフォルトの設定になっており、手を加えない分比較的楽に生成できます。一方、カスタムポリシーは自分たちのワークロードに合わせたカスタマイズが可能で、柔軟にコントロールができます。カスタムポリシーの方は、複数のオブジェクトのために再利用出来たり、アクセス元の IP アドレスの制限が出来るため、便利に利用できそうですね。

image-20220225195842898.png

今回の記事では、カスタムポリシーを使った署名付き URL を生成する方法を確認していきます。

秘密鍵・公開鍵の作成

署名付き URL を生成するために、秘密鍵・公開鍵の生成が必要です。手元の Linux マシンなどで作成していきましょう。

mkdir ~/temp/cloudfront-presign/
cd ~/temp/cloudfront-presign/

秘密鍵を生成します

openssl genrsa -out private_key.pem 2048

秘密鍵から、CloudFront に登録するための公開鍵を生成します

openssl rsa -pubout -in private_key.pem -out public_key.pem

こんな感じに生成できました

> ls -lha
total 12K
drwxr-xr-x  2 ec2-user docker   51 Feb 25 20:18 .
drwxrwxr-x 36 ec2-user docker 4.0K Feb 25 19:12 ..
-rw-r--r--  1 ec2-user docker 1.7K Feb 25 20:18 private_key.pem
-rw-r--r--  1 ec2-user docker  451 Feb 25 20:18 public_key.pem

CloudFront に公開鍵をアップロード

CloudFront のページに移動して、Create public key を押します

image-20220225202106137.png

公開鍵の中身を確認して、登録をしていきます

cat public_key.pem

image-20220225202319453.png

登録されました。

image-20220225202407849.png

CloudFront に Key Group を作成

Key Group を作成して、アップロードした公開鍵を登録します

image-20220225202500082.png

名前や公開鍵の名前を選択します

image-20220225202545446.png

作成されました

image-20220225202614643.png

S3 Bucket の作成

適当な名前で Private な S3 Bucket を作成して、うちの猫の写真をアップロードします。この写真を、署名付き URL のアクセス確認に使っていきます。

image-20220225203426231.png

CloudFront の Distribution の作成

署名付き URL を利用するために、Create distributon を押します。

image-20220225203558305.png

  • Distribution の Origin として、作成した S3 Bucket を指定
  • OAI を利用して、S3 Bucket のアクセスを CloudFront のみに制限

image-20220225203852078.png

Restrict viewer access を有効にして、署名付き URL が無いとアクセスできないように設定します

image-20220225204031423.png

Create Distribution を押します

image-20220225204128034.png

Deploy プロセスが走りました

image-20220225204209601.png

署名付きURL(カスタムポリシー)の生成

カスタムポリシーを利用した署名付き URL は、AWS CLI では生成できず、何らかのプログラムで生成する必要があります。AWS Document にサンプルコードが記載されているため、これを参考にするとよいでしょう。

今回の記事では、Python を使った署名付き URL の生成を行います。ソースコードはこんな感じです。

  • Python の実行環境上で秘密鍵 /home/ec2-user/temp/cloudfront-presign/private_key.pem が存在している
  • 署名付き URL の対象となるパス https://d31z1elfcc2o1s.cloudfront.net/mycat.jpg を指定
  • 署名付き URL の有効期限を expire_date で指定
  • アクセス元の IP アドレスを 54.250.23.0/32 と指定 (とある EC2 インスタンスのもの)
import datetime

from cryptography.hazmat.backends import default_backend
from cryptography.hazmat.primitives import hashes
from cryptography.hazmat.primitives import serialization
from cryptography.hazmat.primitives.asymmetric import padding
from botocore.signers import CloudFrontSigner
from dateutil import tz


def rsa_signer(message):
    with open('/home/ec2-user/temp/cloudfront-presign/private_key.pem', 'rb') as key_file:
        private_key = serialization.load_pem_private_key(
            key_file.read(),
            password=None,
            backend=default_backend()
        )
    return private_key.sign(message, padding.PKCS1v15(), hashes.SHA1())


key_id = 'K1DYHGI8XWLXZL'
url = 'https://d31z1elfcc2o1s.cloudfront.net/mycat.jpg'
expire_date = datetime.datetime(
    2022, 2, 25, 22, 10, 0, 0, tz.gettz('Asia/Tokyo'))

cloudfront_signer = CloudFrontSigner(key_id, rsa_signer)

# Create a signed url that will be valid until the specific expiry date
# provided using a canned policy.
policy = cloudfront_signer.build_policy(
    url, expire_date, date_greater_than=None, ip_address='54.250.23.0/32')

signed_url = cloudfront_signer.generate_presigned_url(
    url, date_less_than=None, policy=policy)
print(signed_url)

この Python コードを実行すると、署名付き URL を生成できます

> python cloudfront-create-presign.py
https://d31z1elfcc2o1s.cloudfront.net/mycat.jpg?Policy=eyJTdGF0ZW1lbnQiOlt7IlJlc291cmNlIjoiaHR0cHM6Ly9kMzF6MWVsZmNjMm8xcy5jbG91ZGZyb250Lm5ldC9teWNhdC5qcGciLCJDb25kaXRpb24iOnsiRGF0ZUxlc3NUaGFuIjp7IkFXUzpFcG9jaFRpbWUiOjE2NDU4ODEwMDB9LCJJcEFkZHJlc3MiOnsiQVdTOlNvdXJjZUlwIjoiMC4wLjAuMC8wIn19fV19&Signature=RmBo1DqAyEMSQWvMgubzHs2zufS03rceMEIvv8JHkQaMyQDtuu3aLTDSyQ9eO4Oyp~lkB2QrC-KM8v21eo9i0IRWFsbY5IreNpOqo5sLc8RWL9LpKWo6~EM1ykD29SCp8fObkLBe9ed85lNLqml2kDztHCV7ebYvU7fBUGHLnsQ4n4NZjRpipDfZdMJbhjx0DWfpp5VmaKIGh0XwZxMeNbR8vMIUEKn1DHLcyLLywkzyFZaI146NvekpDgS-VqMmxBIRVOjxhXc3p8JvPoTdAEYW3Dxp7Cit~Xd1xNoO9cn6GiFQUDn9uWD1fETSzASilj8NbpIzpJXU6S1n0I57XQ__&Key-Pair-Id=K1DYHGI8XWLXZL

アクセス確認

まず、通常通りに CloudFront 経由でアクセスを試みると、想定通りにエラーになります。

image-20220225224943999.png

次に、署名付き URL で、許可された IP アドレスからアクセスすると、正常に家猫の画像が出ます。かわいい。

image-20220225223014443.png

署名付き URL の 有効期限が切れたときの結果です。想定通りエラーになります。

image-20220225223038966.png

IP アドレスを制限するための WAF

署名付きURLのカスタムポリシーでは、アクセス元の IP アドレスが指定可能ですが、1個までという制限があります。Web アプリケーションとして認証を加えたうえで、アクセス元のクライアント IP を取得し生成することで、URL が仮に漏れたとしてもアクセスを防ぐ構成も可能です。

上記とは別の方法で、WAF を利用した 複数の IP アドレス制限を加えることも可能です。WAF の構成もしてみましょう。Create IP set を押します。

image-20220225221613336.png

アクセスを許可する IP アドレスを複数入力します。

image-20220225221745226.png

IP set が作成されました。

image-20220225221801738.png

WAF の Web ACL を作成します。

image-20220225221819429.png

適当に名前を入れて、CloudFront に紐づけます。

image-20220225221951132.png

Add my own rules and rule groups を選択します。

image-20220225222133497.png

作成した IP set を選択して、Allow を選びます

image-20220225222223822.png

ルールに合致しないものは Block とすることで、指定された IP アドレス以外を防ぎます

image-20220225222256457.png

Next

image-20220225222323717.png

Next

image-20220225222335482.png

Create を押します

image-20220225222348524.png

WAF の Web ACL が作成されました

image-20220225225617750.png

アクセス確認

WAF でブロックしている IP アドレスから、署名付き URL にアクセスしてみると、想定通りアクセスができません。WAF としてのエラーとなっており、カスタムポリシーとは異なったエラーが表示されます。

image-20220225222932946.png

検証を通じてわかったこと

  • カスタムポリシーでは、アクセス元の IP アドレスを指定可能
    • ただし、カスタムポリシー上では 1 個のみ指定可能
    • IP アドレスを複数利用して制限したい場合は、WAF を利用した IP アドレス制限が検討可能

付録 : ワイルドカードで複数のファイルを配信

参考URL

AWS Document : 署名付き URL の使用
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonCloudFront/latest/DeveloperGuide/private-content-signed-urls.html

Python のサンプルコード
https://github.com/boto/boto3/blob/develop/boto3/examples/cloudfront.rst

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