はじめに
最近、スライド作成はほとんど生成AIを使うようになりました。
構成案を壁打ちして、内容をレビューして、それを元にスライドまで作ってもらう。
以前なら何時間もかかっていた作業が、かなり短時間で形になるようになりました。
それでも、なぜか最後の修正には毎回時間がかかっていました。
スライド生成後に「なんか分かりにくい」と感じ、結局構成から修正することが何度もありました。
最初は「構成の作り方が悪い」と思っていましたが、
何度も同じことを繰り返すうちに、原因は別のところにあることに気づきました。
この記事では、その気づきと、そこから変えた生成AIとの壁打ち方法について書きます。
同じ悩みを感じている方の参考になれば幸いです。
忙しい人向け:先に結論
「どういう構成にするか」から考え始めない。
その前に、
「この資料を見た相手に、最後どうなってほしいのか」
を考える。
具体的には、先に以下を整理する。
- 誰に説明するのか
- 説明後に相手に何を判断してほしいのか
- 相手は途中でどんな疑問を持つのか
ここまで整理してから、初めて構成を作る。
実際に起きたこと:スライドを作った後に構成を直していた
生成AIを使う前は、資料作成というと、
「何を書けばいいか考える」
ところから始めていました。
生成AIを使うようになってからは、その部分をかなり任せられるようになりました。
私の場合は、以下の流れで作っています。
- 生成AIと壁打ちして構成を作る
- MarkdownやWordに出力して内容を確認する
- 修正した構成をもとにスライドを生成する
この方法に変えてから、資料作成のスピードは明らかに上がりました。
白紙のPowerPointを開いて悩む時間は減りました。
ただ、問題はその後でした。
スライドを確認すると、違和感が出ることがあります。
例えば、
「この説明は先にした方が分かりやすい」
「この情報がないと、相手は判断できない」
「技術的には正しいけど、このページの意味が伝わらない」
と感じます。
そして、結局、
- ページの順番を変える
- 説明を追加する
- 構成を見直す
という作業をしています。
せっかくAIで早く作れるようになったのに、最後の調整で時間を使っていました。
原因は「構成」ではなく、その前にあった
最初は、単純に「作った構成の質が低いんだろう」と考えていました。
そのため、AIへの依頼文を変えたり、条件を細かく追加したりしました。
しかし、なかなか改善しません。
それが、ある資料作成をきっかけに、原因に気づきました。
それは、私はいきなり「構成」を作ろうとしていた、ということです。
作成していたのは、あるシステム導入方針を説明する資料でした。
説明相手は技術者ではなく、管理職です。
最初に考えた構成は、以下のようなものでした。
最初の構成
- 現状の課題
- 検証環境のシステム構成
- 本番環境のシステム構成
- セキュリティ対策
- 運用方法
- まとめ
これを見た時点では、特に問題を感じませんでした。
必要な情報は入っています。
技術説明としても自然です。
しかし、実際に「この資料を使って相手に説明する」と考えた瞬間、違和感が出ました。
相手が知りたいことは、おそらく違います。
- なぜ、この仕組みが必要なのか
- 何ができるようになるのか
- なぜこの構成を選んだのか
- リスクは何か
- 自分たちは何を判断すればよいのか
まず知りたいのは、技術構成ではなく「判断するための情報」でした。
「説明したいこと」 と 「相手が知りたいこと」は違った
そこで構成を変更しました。
変更後の構成
- 導入するものの役割と全体像
- 構成検討における判断ポイント
- 検証環境
- 本番化に向けた検討フロー
- 本番環境
- セキュリティやデータ管理
- 利用イメージ
- 今後の進め方
技術的な内容を大きく変えたわけではありません。
変えたのは、情報の並び順です。
最初の構成は、「自分たちが説明したい順番」でした。
変更後は、「相手が理解して判断する順番」になりました。
ここで初めて、
「構成が悪かった」のではなく、
「構成を作る前に、資料の目的を定義していなかった」
ことに気づきました。
足りなかったのは、聞き手シミュレーションだった
振り返ると、私はずっと資料作成者の視点で考えていました。
「この技術を説明したい」
「この情報は必要だから入れたい」
「構成としてきれいに整理したい」
という視点です。
もちろん、これも必要です。
でも、説明相手から見ると重要なのは違います。
「この資料を見たあと、自分は何を判断できればいいのか」
です。
私は、聞き手の視点になるタイミングが遅すぎました。
スライドを作った後に、「相手だったらどう感じるか」を考えていました。
本当は、構成を作る前に考えるべきでした。
壁打ちの始め方を変えた
今は、いきなりAIに、
〇〇について説明する資料を作りたい。対象は課長クラス。構成を考えてください。
とは依頼しません。
まず、資料のゴールを決めます。
例えば、
この資料を見た相手が、
- 導入目的を理解できる
- リスクを把握できる
- 次のアクションを判断できる
状態にしたい
というようにします。
その上で、AIには構成ではなく、まず相手の疑問を出してもらいます。
例えば、こう依頼します。
この聞き手が説明中に抱く疑問を、
理解する流れに沿って整理してください。
すると、
- そもそも何をするのか
- なぜ必要なのか
- なぜこの方法なのか
- リスクは何か
- 業務にどう役立つのか
- 次に何を決めるのか
というように、相手が理解する流れが見えてきます。
その流れをもとに構成を作ります。
この変更で変わったこと
作成時間が半分になった、というような劇的な変化ではありません。
ただ、後戻りが減りました。
以前は、
構成作成
↓
スライド生成
↓
違和感に気づく
↓
構成修正
でした。
今は、
資料の目的確認
↓
聞き手の疑問整理
↓
構成作成
↓
スライド生成
という順番です。
前に少し考える時間を取ることで、後から大きく戻ることが減りました。
まとめ
生成AIを使うことで、スライド作成そのものは間違いなく速くなりました。
ただ、AIにうまく作ってもらうことだけを考えていると、最後のところで詰まります。
私の場合、問題だったのはプロンプトでもAIの能力でもありませんでした。
構成を作る前に、
「この資料を見た相手に、どうなってほしいのか」
を考えていなかったことでした。
今では、資料作成の壁打ちを始める前に、まず聞き手の立場で考えるようにしています。
生成AIで資料作成をしていて、最後の修正に時間がかかっている方は、一度「構成の前」に目を向けてみると、改善のヒントになるかもしれません。