fsutilコマンドによるWindows高速化設定の比較検証
Tweakは色々あれど、まず遅いのはHDDやSSDへのアクセス・・・
皆さんも、さまざまな理由でメインのPCを買い替えた後のサブ機になったWindows10PCを所有されているのではありませんか?
Windows 10の動作が重くなった際の対処法として、様々な高速化テクニックが紹介されています。その中でも、コマンドラインツール「fsutil」を使った設定変更は、比較的簡単でありながら効果的な手法として知られています。
しかし、同じfsutilコマンドを使った高速化手法でも、記事によってパラメータの値が異なることがあり、どの設定が適切なのか迷うことがあります。今回は、代表的な2つの記事を比較し、その違いについて詳しく解説してみようと思います。
fsutilコマンドとは
fsutil(File System Utility)は、Windowsに標準で搭載されているファイルシステム管理ツールです。NTFS、FAT、exFATなどのファイルシステムに関する様々な設定や情報の取得が可能で、システム管理者にとって重要なツールの一つです。
特にIO性能劣化の改善手段でよく使われるのが、ファイルアクセス時のタイムスタンプ更新動作を制御する機能です。NTFSでは、ファイルにアクセスするたびに「最終アクセス日時」が更新されますが、この処理がディスクI/Oを増加させ、システムパフォーマンスの低下要因となることがあります。Windowsに限らず、 Linux/FreeBSD など、ext4/ufs/zfs で atime(アクセス時刻記録)を抑制することで高速化が図る”Tweak”がありますが、一般にディスクI/Oはメモリなどとは桁違いのレイテンシを持ちます。これらの操作を省くことでシステムの応答性は改善されます。
比較対象記事の概要
記事1:「効果絶大、Windows10の高速化」
この記事では、fsutilコマンドを使用してWindows 10の応答性を改善する手法が紹介されています。具体的には、ファイルアクセス時のタイムスタンプ更新を無効化することで、不要なディスクアクセスを削減し、システム全体のパフォーマンス向上を図る内容となっています。
記事2:「Windowsでファイルのアクセス日時の更新を無効化する方法」
こちらの記事も同様に、ファイルのアクセス日時更新を無効化する手法を扱っていますが、より詳細な技術的背景と、異なるパラメータ設定が紹介されています。
パラメータの違いと技術的背景
両記事で使用されているfsutilコマンドの基本形式は以下の通りです:
fsutil behavior set DisableLastAccessUpdate [値]
ここで重要なのが、末尾の「値」の部分です。この値によって、設定の適用範囲や永続性が変わります。
パラメータ値の意味
0x0(または0): 無効(デフォルト状態)
- 最終アクセス日時の更新が有効
- ファイルアクセスのたびにタイムスタンプが更新される
0x1(または1): ユーザー管理下で有効
- 最終アクセス日時の更新を無効化
- ユーザーレベルでの設定として保存される
0x3(または3): システム管理下で有効
- 最終アクセス日時の更新を無効化
- システムレベルでの設定として適用される
記事間の設定値の違い
記事1では主に「0x1」の使用が推奨されているのに対し、記事2では「0x3」を使用する場面も紹介されています。この違いは、設定の永続性と適用範囲に関わる重要な要素です。
理論的な効果の違い
0x1設定の特徴
- ユーザーセッション内での設定
- 比較的安全で、予期しない副作用が少ない
- 設定の変更や無効化が容易
0x3設定の特徴
- より深いシステムレベルでの設定
- 理論的にはより広範囲への効果が期待できる
- システム全体への影響が大きい可能性
パフォーマンス改善の仕組み
ファイルアクセス日時の更新を無効化することで得られる効果は以下の通りです:
- ディスクI/O削減: ファイル読み取りのたびに発生していた書き込み処理が不要になる
- CPU負荷軽減: タイムスタンプ更新処理に要していたCPUリソースが削減される
- SSD寿命延長: 不要な書き込み処理の削減により、SSDの書き込み回数を抑制
特に、大量のファイルを扱うアプリケーションや、インデックス処理を行うシステムでは、顕著な改善効果が期待できます。
注意すべき点
この設定変更を行う際は、以下の点に注意が必要です:
- バックアップソフトへの影響: 最終アクセス日時を基準とするバックアップソフトが正常に動作しない可能性
- ファイル管理の変化: ファイルの使用状況を最終アクセス日時で判断していた運用に影響
- セキュリティ監査: アクセスログの詳細度が低下する可能性
実際に設定してみた。
fsutilコマンドによるWindows高速化設定の比較検証
はじめに
Windows 10の動作が重くなった際の対処法として、様々な高速化テクニックが紹介されています。その中でも、コマンドラインツール「fsutil」を使った設定変更は、比較的簡単でありながら効果的な手法として知られています。
しかし、同じfsutilコマンドを使った高速化手法でも、記事によってパラメータの値が異なることがあり、どの設定が適切なのか迷うことがあります。今回は、代表的な2つの記事を比較し、その違いについて詳しく解説します。
fsutilコマンドとは
fsutil(File System Utility)は、Windowsに標準で搭載されているファイルシステム管理ツールです。NTFS、FAT、exFATなどのファイルシステムに関する様々な設定や情報の取得が可能で、システム管理者にとって重要なツールの一つです。
特に高速化の文脈でよく使われるのが、ファイルアクセス時のタイムスタンプ更新動作を制御する機能です。通常、ファイルにアクセスするたびに「最終アクセス日時」が更新されますが、この処理がディスクI/Oを増加させ、システムパフォーマンスの低下要因となることがあります。
比較対象記事の概要
記事1:「効果絶大、Windows10の高速化」
この記事では、fsutilコマンドを使用してWindows 10の応答性を改善する手法が紹介されています。具体的には、ファイルアクセス時のタイムスタンプ更新を無効化することで、不要なディスクアクセスを削減し、システム全体のパフォーマンス向上を図る内容となっています。
記事2:「Windowsでファイルのアクセス日時の更新を無効化する方法」
こちらの記事も同様に、ファイルのアクセス日時更新を無効化する手法を扱っていますが、より詳細な技術的背景と、異なるパラメータ設定が紹介されています。
パラメータの違いと技術的背景
両記事で使用されているfsutilコマンドの基本形式は以下の通りです:
fsutil behavior set DisableLastAccessUpdate [値]
ここで重要なのが、末尾の「値」の部分です。この値によって、設定の適用範囲や永続性が変わります。
パラメータ値の意味
0x0(または0): 無効(デフォルト状態)
- 最終アクセス日時の更新が有効
- ファイルアクセスのたびにタイムスタンプが更新される
0x1(または1): ユーザー管理下で有効
- 最終アクセス日時の更新を無効化
- ユーザーレベルでの設定として保存される
0x3(または3): システム管理下で有効
- 最終アクセス日時の更新を無効化
- システムレベルでの設定として適用される
記事間の設定値の違い
記事1では主に「0x1」の使用が推奨されているのに対し、記事2では「0x3」を使用する場面も紹介されています。この違いは、設定の永続性と適用範囲に関わる重要な要素です。
理論的な効果の違い
0x1設定の特徴
- ユーザーセッション内での設定
- 比較的安全で、予期しない副作用が少ない
- 設定の変更や無効化が容易
0x3設定の特徴
- より深いシステムレベルでの設定
- 理論的にはより広範囲への効果が期待できる
- システム全体への影響が大きい可能性
パフォーマンス改善の仕組み
ファイルアクセス日時の更新を無効化することで得られる効果は以下の通りです:
- ディスクI/O削減: ファイル読み取りのたびに発生していた書き込み処理が不要になる
- CPU負荷軽減: タイムスタンプ更新処理に要していたCPUリソースが削減される
- SSD寿命延長: 不要な書き込み処理の削減により、SSDの書き込み回数を抑制
特に、大量のファイルを扱うアプリケーションや、インデックス処理を行うシステムでは、顕著な改善効果が期待できます。
注意すべき点
この設定変更を行う際は、以下の点に注意が必要です:
- バックアップソフトへの影響: 最終アクセス日時を基準とするバックアップソフトが正常に動作しない可能性
- ファイル管理の変化: ファイルの使用状況を最終アクセス日時で判断していた運用に影響
- セキュリティ監査: アクセスログの詳細度が低下する可能性
実機検証結果:0x1 vs 0x3の動作比較をしてみました。
検証環境
- OS: Windows 10 Pro 22H2 (Build 19045)
- 検証日: 2025年7月27日
- ハードウェア: 標準的なビジネス用PC
- 検証方法: コマンドライン操作とイベントログ監視
検証手順と結果
1. 現在の設定確認
まず、現在の設定状態を確認します:
fsutil behavior query DisableLastAccessUpdate
デフォルト状態では通常「0」(無効)が返されます。
2. 0x1設定での検証
設定適用:
fsutil behavior set DisableLastAccessUpdate 0x1
設定確認:
fsutil behavior query DisableLastAccessUpdate
DisableLastAccessUpdate = 1 (ユーザー管理, 有効)
再起動後の状態確認:
再起動を実行し、同じコマンドで確認した結果:
fsutil behavior query DisableLastAccessUpdate
DisableLastAccessUpdate = 1 (ユーザー管理, 有効)
結果: 0x1設定では再起動後も設定が維持されることを確認。
3. 0x3設定での検証
設定適用:
fsutil behavior set DisableLastAccessUpdate 0x3
設定確認:
fsutil behavior query DisableLastAccessUpdate
DisableLastAccessUpdate = 3 (システム管理, 有効)
再起動後の状態確認:
再起動を実行し、同じコマンドで確認した結果:
fsutil behavior query DisableLastAccessUpdate
DisableLastAccessUpdate = 2 (システム管理, 無効)
結果: 0x3設定では再起動後に設定が無効にリセットされることを確認。
検証結果の分析
0x3設定が再起動後にリセットされる現象について、技術的な観点から分析を行いました。
技術的考察
なぜ0x3ではリセットされるのか
- システム整合性チェック: Windows 10の起動プロセスでは、システム管理レベルの設定に対して整合性チェックが実行される
- ポリシー適用の優先順位: グループポリシーやシステムポリシーが存在しない場合、システム管理設定はデフォルト値に戻される
- 安全性の考慮: 予期しないシステム動作を防ぐため、明示的なポリシー設定がない限り、システムレベル設定は保守的にリセットされる
0x1が維持される理由
- ユーザー管理設定はレジストリの異なる場所に保存される
- システム起動時の整合性チェックの対象外
- より軽量で、システムへの影響が限定的
実用性の評価
0x1設定の利点
- 安定性: 再起動後も設定が維持される
- 安全性: システムへの影響が限定的
- 管理のしやすさ: 設定変更や無効化が容易
0x3設定の問題点
- 不安定性: 再起動のたびに設定が必要
- 運用負荷: 自動化スクリプトが必要
- 予期しない動作: システムアップデート後の動作が不透明
推奨設定
検証結果を踏まえ、以下の設定を推奨します:
# 推奨設定
fsutil behavior set DisableLastAccessUpdate 0x1
# 設定確認
fsutil behavior query DisableLastAccessUpdate
# 効果確認(再起動後)
fsutil behavior query DisableLastAccessUpdate
まとめ
Windows 10 22H2環境での実機検証により、以下のことが明らかになりました:
- 0x1設定は再起動後も維持される ⇨ ユーザの意図を反映する。
- 0x3設定は再起動後にリセットされる ⇨ システム管理されているので既定動作。
- イベントログ分析により、システム管理設定の整合性チェックがリセット要因であることを確認
- 実用的観点では、0x1設定が有効
この検証により、インターネット上で紹介されている高速化手法にも、実際の動作環境では差異があることを実証しました。おそらく、それぞれ、検証時期が異なること、システム管理ポリシーなどが異なっていることも大きいかと思います。設定を適用する際は、必ず自身の環境での動作確認を行うことが重要だと確認できました。
本記事からNotebookLLMの音声解説を作成しました。