はじめに
ターミナルで動くコーディングCLIとして、Claude Code と Devin CLI(Devin for Terminal)を並べて語る記事は、以前にも書きました。ただ、この半年で両者ともかなり動きました。特にDevin CLIは、対応モデルが大きく広がり、既定のモデル戦略も変わっています。
そこで本記事では、2026年9月時点の仕様に合わせて「違い」を整理し直します。機能を1つずつ全部並べるより、触ってみて実際に選択を分けるポイントに絞ります。結論を先に言うと、土台はよく似ていて、効いてくるのは3つの違いです。
先に3行でまとめると
- ターミナルCLIとしての土台(Skills / Subagents / Hooks / MCP / Plan・Permission)は両者ともよく似ている
- 効くのは3つ。モデルの選択肢(Claude中心 対 マルチベンダー+Fusion)、実行の逃し先(ローカル完結 対 クラウドhandoff)、設定資産の扱い(Devin CLIは
.claudeを取り込める) - ただしDevinの旨味である Knowledge / Playbooks / Secrets は、CLIでは現状まだ非対応。CLIだけでDevinを評価するのは早い
この記事に出てくる用語の位置づけ
| 用語 | どこの言葉 | ざっくりの意味 |
|---|---|---|
| Claude Code | Anthropic | ターミナルで動くClaude製のコーディングCLI |
| Devin CLI(Devin for Terminal) | Cognition | ターミナルで動くローカルのコーディングCLI |
| Fusion | Cognition | フロンティアモデルと低コストの相棒を組み合わせるモード |
| handoff | Devin独自 | ローカルの作業をDevin Cloudへ引き継ぐ機能 |
| read_config_from | Devin独自 | 他ツールの設定(.claudeなど)を取り込む設定 |
| Knowledge / Playbooks / Secrets | Devin独自 | クラウドDevinの資産。CLIでは現状未対応 |
土台は似ている。効くのは3つの違い
まず全体像です。両者はターミナルで動くローカルCLIという点で、機能セットが驚くほど重なります。Skills(指示書)、Subagents(サブエージェント)、Hooks(ライフサイクルフック)、MCP、Plan/Permissionモード。このあたりは、どちらを触っても同じ感覚です。だからこそ、残る差が選択を分けます。
違い1: モデルの選択肢
いちばん差が開いたのがここです。Claude Code は Claude モデル(Opus / Sonnet / Haiku 系)を使う世界観です。一方 Devin CLI は、Anthropic・OpenAI・Google・Cognition に加えてオープンウェイト(DeepSeek / Kimi / GLM など)まで、複数ベンダーのモデルを1つのCLIで切り替えられます。
さらにDevin CLIは、単に選べるだけでなく Fusion(フロンティアの主力モデルと、低コストの相棒モデルを組み合わせる)を推奨の標準に据えています。opus sonnet swe codex gemini といった短縮名は常に各系列の最新版に解決され、/model や devin --model opus で切り替えます。「難しい設計は Opus、速く回したい編集は swe」のような使い分けを、ツールを変えずにできるわけです。
違い2: 実行の「逃し先」
Claude Code はローカルで完結します。手元のマシンで動き、閉じれば止まります。Devin CLI には、ローカルのセッションを /handoff でクラウド(Devin Cloud)へ引き継ぐ経路があります。重い処理だけクラウドに逃して、ノートPCを閉じても継続させられる。これは Claude Code にはない、Devin CLI 最大の独自性です。
違い3: 設定資産の扱い
Devin CLI は、Claude Code の設定資産を取り込めます。詳しくは移行の観点で別記事にしますが、read_config_from の claude オプション(既定で有効)により、.claude/ のスキル・フック・サブエージェント・ルール(CLAUDE.md)を検出してそのままロードします。つまり、乗り換えでも併用でも、既存資産を書き直さずに使えます。逆方向(Devinの設定をClaude Codeが読む)はありません。
機能を横に並べると
土台の似ている部分も含め、主要機能を並べるとこうなります。
| 機能 | Claude Code | Devin CLI |
|---|---|---|
| 起動 | claude |
devin |
| インストール | 公式手順 |
curl ... cli.devin.ai/install.sh / brew install --cask devin-cli
|
| モデル | Claude系(Opus/Sonnet/Haiku) | マルチベンダー+Fusion(opus/swe/codex/gemini…) |
| Skills | ✅ | ✅ |
| Subagents | ✅ .claude/agents/
|
✅ .devin/agents/(.claude も取り込み可) |
| Hooks | ✅ | ✅(Claude Code互換、.claudeから読込可) |
| MCP | ✅ | ✅(Streamable HTTP、OAuth対応) |
| Plan / Ask | ✅ | ✅ /plan /ask
|
| Permissionモード | default / acceptEdits / plan / bypass 系 | Normal / Accept-Edits / Bypass / Autonomous(--sandbox) |
| 非対話モード | claude -p |
devin -p |
| クラウドへ引き継ぎ | なし | ✅ /handoff
|
| Knowledge / Playbooks / Secrets | 該当なし | CLI未対応(クラウドDevinのみ) |
どちらを選ぶか
違いを踏まえると、選び方はシンプルに整理できます。
大づかみに言うと、クラウドへの逃し先か、マルチモデルが欲しいなら Devin CLI。Knowledge や Playbook が主軸なら、CLIではなくクラウドDevin。それ以外は、いま持っている資産(.claude/)に寄せて選べば無駄がありません。Devin CLI は .claude を取り込めるので、Claude Code 資産があってもそのまま動きます。
注意:CLIだけでDevinを測らない
正直に書いておくと、CLIだけで Devin の価値を判断するのは早いです。Devin の従来の強みだった Knowledge(社内知識)・Playbooks(定型手順)・Secrets は、Devin CLI では現状まだ非対応です。これらを使いたいなら、クラウドのDevinが必要になります。CLIは「ローカルの相棒+クラウドへの入口」であって、Devinの全機能の窓口ではない、という理解が正確です。
おわりに
半年ぶりに並べ直して感じたのは、ターミナルCLIとしての基礎体力は両者ほぼ横並びになった、ということでした。差がついているのは、モデルの幅、クラウドへの逃し先、そして設定資産の相互運用性。どれも「機能の有無」というより「どういう働き方を選ぶか」に関わる違いです。
次は、この記事で触れた「Claude Code資産をそのまま活かす」話を、移行の実践ガイドとして掘り下げます。すでにClaude Codeを使い込んでいる人ほど、Devin CLIへの入り口は低い、というのが今回の結論です。
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参考リンク
- Devin CLI(公式ドキュメント)(インストール・起動・クラウド連携・CLI未対応機能)
- Devin CLI - Models(公式ドキュメント)(Fusion・短縮名・対応ベンダー)
-
Devin CLI - Configuration Import(read_config_from)(
.claude取り込み) - Claude Code(公式ドキュメント)
