はじめに
2026年10月2日に、AWS Certified AI Business Strategist(AIB-C01)のベータ試験を受けてきました。宇宙最速は厳しかったので、地元富山での最速を目指しました(真偽は不明)。
結果は716点で、無事合格でした。合格ラインが700点なので、とてもギリギリです。
正直もっと取れていると思っていたので、点数を見たときはちょっと残念でした。
私は普段、開発の仕事をしています。手を動かしてシステムを作るのが中心で、AI投資の判断やビジネスケースづくりのような話にはまったく関わっていません。AIBは「AIで何をするかを決める側」のための試験なので、私とは真逆の立場です。そんなビジネスに縁のない開発者が受けてみてどうだったのか、感想を書いていきます。
試験の数字や条件は、2026年10月時点のベータ試験のものです。正式版では試験時間などが変わるので、受験前に公式ページを確認してください。
AIB-C01とは
2026年9月1日に発表された、AWS認定で初めての「Business」カテゴリの資格です。これまでのFoundational / Associate / Professional / Specialtyとは別の区分になっています。
ざっくり言うと、AIのプロジェクトで「それ、本当にやる価値ある?」「どう進める?」「何かあったら誰が責任を持つ?」を判断する人のための試験です。AWS公式のブログでも「AWS のサービスは実践的な文脈として登場しますが、それ自体が試験の対象ではありません」と書かれていて、コーディング経験やAWSでの実装経験は求められていません。
試験ガイドが対象者として挙げているのは、プロダクトマネージャー、営業、事業部門のリーダー、コンサルタント、ビジネスアナリストなど、技術チームと一緒に働くけれど自分ではAIを作らない職種です。
試験概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験コード | AIB-C01 |
| カテゴリ | Business(新設) |
| 問題数 | 85問(ベータ) |
| 試験時間 | 170分(ベータ)。正式版は130分 |
| 出題形式 | 択一選択・複数選択 |
| 合格ライン | 700点(100〜1,000のスケールスコア) |
| 受験料 | 50ドル。正式版は100ドル |
| 言語 | 英語・日本語 |
| 受験方法 | Pearson VUEのテストセンター、またはオンライン監督試験 |
ベータ試験は2026年9月29日から始まっています。採点対象外の問題が混ざっているぶん、正式版より試験時間が長めです。
出題ドメイン
| ドメイン | 配点 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1. AIの基礎とリテラシー | 24% | AI/ML/生成AIの概念、RAGやファインチューニングによるモデル適応、AIエージェントの特徴、AIが向いている課題の見極め |
| 2. AI戦略とビジネス価値の創造 | 28% | ユースケースの優先順位付け、ROI・KPI・ベースラインの設計、Build/Buy/Partnerの判断、コスト管理 |
| 3. AIガバナンスと責任あるAIリーダーシップ | 24% | リスク分類、公平性・説明可能性・透明性、ガードレール、人による監督(ヒューマンオーバーサイト)、規制対応 |
| 4. ビジネス準備状況、リーダーシップ、AIトランスフォーメーション | 24% | 組織の成熟度評価、変更管理、人材育成、パイロットから全社展開へのスケール |
ドメインごとの足切りはなく、総合点だけで合否が決まります。
モデル開発やデータエンジニアリング、パイプライン構築、AWSサービスの設定・運用は出題範囲外です。AWSサービスについては、Amazon Bedrock・SageMaker AI・Amazon Quickが「どういう位置づけのサービスか」を高いレベルで理解しておくことが求められています。ほかにも、AWS Pricing CalculatorやAWS Marketplaceのような、費用の見積もりやBuild/Buy/Partnerの判断に使うツールが試験ガイドに挙がっています。
ほかのAI系認定との違い
私は以前、開発者向けのAWS Certified Generative AI Developer - Professional(AIP-C01)に合格しています。AI Practitioner(AIF-C01)も含めて比べると、位置づけはこんな感じです。
| AI Practitioner(AIF) | AI Business Strategist(AIB) | Generative AI Developer(AIP) | |
|---|---|---|---|
| 問われる力 | AI/ML/生成AIの基礎知識とAWSのAIサービス | AI投資・ガバナンス・組織変革のビジネス判断 | 生成AIアプリの設計・実装 |
| AWSサービス | 出題の中心 | ほとんど出ない | 深く問われる |
| 向いている人 | AIの仕組みを理解したい人 | AI導入を評価・推進する人 | AIアプリを作る人 |
勉強方法
勉強したのは3日間、1日2時間ほどです。合計6時間くらいしかやっていません。
Skill Builderの公式練習問題
AWS Skill Builderにある公式の練習問題(20問)を2周しました。本番に一番近い形式の問題が無料で解けるので、まずはここから始めるのがおすすめです。
試験ガイドと公式ドキュメント
次に、試験ガイドと関連するドキュメントをざっと読みました。
試験ガイドはドメインごとのページまで目を通しました。各ドメインのページには「何ができればいいか」がスキル単位で細かく書かれているので、何を勉強すればいいかがはっきりします。「試験に出題される可能性のあるテクノロジーと概念」のページには試験に出そうなテーマが箇条書きで並んでいて、自分がよく知らない分野を見つけるのに便利でした。
試験ガイドの推奨知識に挙がっている、AWS Cloud Adoption Framework(CAF。クラウドやAIを組織に導入するときの考え方をまとめたAWSのフレームワーク)と、AWS Well-Architected FrameworkのResponsible AI Lens(責任あるAIレンズ)も読みました。
AIに85問作ってもらったけど
ドキュメントを読んだだけでは不安だったので、AIに本番と同じ85問の模擬問題を作ってもらって解きました。
ところが、これがあまり役に立ちませんでした。AIが作った問題は、正解の選択肢だけ文章が長いことが多かったんです。中身を考えなくても「一番長いのが正解」で当たってしまうので、練習になりません。たぶん私の頼み方が悪かったのだと思います。
AIに問題を作ってもらうなら、「選択肢の長さをそろえて」「正解の位置をばらけさせて」のように、選択肢の作り方まで指定しておくとよさそうです。
試験当日
時間配分
試験の取り組み方はほかの試験のときと同じく、迷ったらフラグを付けて先に進み、2周目で戻る方針でいきました。
1周目は2時間ほどかかりました。私はドパガキ集中力を保つのが苦手な人間なので、途中で集中力が切れて、問題文の文字をただ眺めているだけの時間がありました。集中力が続く人なら、1周目はもっと早く終わると思います。
1周目で付けたフラグは25個くらいです。2周目でフラグの付いた問題だけを見直し、終わった時点で残り時間は40分ほどありました。そのあと全体を軽く見直して、30分ほど残して終了しました。
170分は長いので、時間が足りなくなる心配はあまりいらないと思います。気をつけたいのは時間よりも集中力のほうです。
出題の印象
問題の詳細は書けませんが、ビジネス分野の試験らしく、AWSサービスについての細かい知識は問われませんでした。出てくるのはAIの導入に関する問題ばかりです。AIPのように「このサービスのこの機能」を覚えていく勉強とは、まったく別物だと思っておいたほうがいいです。
一番大事だと感じたのは、実務の感覚との付き合い方です。問題を読んでいると「技術的にはこっちのほうが早いな」「現場ならこう作るな」という開発者の考えがつい浮かんできますが、試験で選ぶのはAWSが考える理想の正解です。「現場のベストじゃなくて、教科書のベスト」ということを頭の片隅に置いて試験に取り組みました。
おわりに
難易度は、なんとも言えません。これまでのAWS認定とは聞かれることが違いすぎて、比べづらいからです。サービスの知識で解ける試験ではないので、問題文と選択肢をちゃんと読むことが大事だと思います。
私のような技術職の人間が受けても、意味はありそうだと思いました。普段の開発では考えることのない、AIを入れるかどうかを決める側の問題ばかりだったからです。
それ以上に、「AWSを触ったことがないから」とAWS認定に縁がなかった管理職や営業の方にこそ、ぜひ取っていただきたい資格だと思いました。AWSの操作や実装の知識はいらない試験なので、身構えずに受けてみてほしいです。
これからAIBを受験する方の参考になれば嬉しいです。
参考リンク
