はじめに
2025年9月17日のアップデートで、Amazon Q Developer (CLI / IDE) がリモート MCP サーバーに対応しました。
私は主に VS Code で Amazon Q Developer を利用しているため、本記事では IDE = VS Code として説明します。
今回のアップデートにより、従来の STDIO に加えて HTTP 接続もサポートされました。これにより、IDE 上で MCP 追加から権限付与までシンプルに完結できます。
Amazon Q Developer 概要
Amazon Q Developer は Amazon Bedrock 上に構築された会話型 AI アシスタントで、アプリケーションの理解・構築・拡張・運用を支援してくれます。
IDE 上ではコーディングアシスタントとして動作し、コードの生成や改善を支援するために以下の機能を提供します。
- コードに関するチャット機能
- インラインでのコード補完
- 新規コード生成
- セキュリティ脆弱性スキャン
- 言語バージョンの更新対応
- デバッグ支援
- パフォーマンス最適化
詳細については以下をご確認ください。
今回は Amazon Q Developer からの接続先として、AWS Knowledge MCP Server を利用します。
AWS Knowledge MCP Server 概要
AWS Knowledge MCP Server は最新の AWS ドキュメント・API リファレンス・アーキテクチャガイド等にリアルタイムでアクセスできるフルマネージド型のリモート MCP サーバーです。
現在はプレビュー版ですが、類似の AWS Documentation MCP Server と比較すると、What's New や Builder Center の記事なども索引化しているため、より多くのナレッジを参照することができます。
これまで Amazon Q Developer (CLI / IDE) では HTTP 接続が使えず、AWS Knowledge MCP Server を利用する際は mcp-remote や mcp-proxy を経由して STDIO 接続する必要がありました。しかし今回のアップデートで、HTTP 接続が可能になり、こうした設定は不要になりました。
AWS Knowledge MCP Server の利用に認証は不要ですがレート制限があります。
また、パブリックインターネットにアクセスする必要があるため、入力情報の取扱いには注意が必要です。
詳細については以下をご確認ください。
IDE 上の Amazon Q Developer に AWS Knowledge MCP Server を接続することで、開発の速度と品質を同時に高めることができます。
Amazon Q Developer × AWS Knowledge MCP Server
それでは実際に、IDE 上の Amazon Q Developer から AWS Knowledge MCP Server へ HTTP 接続してみます。
本記事では、拡張機能のダウンロード方法や Amazon Q Developer へのログイン方法には触れません。ただし、IDE および拡張機能のバージョンが最新であることを事前に確認してください。
記事執筆時点 (2025年9月30日) では、Amazon Q のバージョンは 1.96.0 でした。
接続方法
- IDE を起動したら、Amazon Q のチャット画面右上にある工具アイコン「Configure MCP servers」をクリックします
- 「MCP Servers」画面が開くので、右上の+アイコン「Add new MCP server」をクリックします
- 「Add MCP Server」で以下の画像を参考に入力し、Save をクリックします
Scope:Global (全ワークスペース)
Name:aws-knowledge(任意)
Transport:http
URL:https://knowledge-mcp.global.api.aws
Headers:AWS Knowledge MCP Server は認証不要であるため記載の必要なし
Timeout:60(デフォルト)
- Save をクリックすると、AWS Knowledge MCP Server が提供する 3 つの Tools の説明が表示され、あわせて各 Tool の権限設定を行うことができます
read_documentation: AWSドキュメントページを取得し、Markdown形式に変換する
recommend: AWSドキュメントページ向けのコンテンツ推奨を取得する
search_documentation: すべてのAWSドキュメントを検索する
Ask:ツールを使用するたびに確認を求めます
Always allow:毎回の確認なしにツールを実行します
Deny:このツールの使用を許可しません
今回は、すべての Tool をデフォルト設定の Ask にしておきます。
- MCP Servers 画面に戻ると、「aws-knowledge」が追加され、有効になっていることを確認できます
ドキュメントを確認しながら進めましたが、接続設定にかかった時間はおよそ3分でした。
シーケンス図
Amazon Q Developer に、今回の AWS Knowledge MCP Server への接続手順をシーケンス図として生成してもらいました。
GUI を使用して IDE の Amazon Q Developer に MCP サーバーを追加すると、構成は次の 2 つのファイルのいずれかに保存されます。
- Global:~/.aws/amazonq/default.json
- This workspace:.amazonq/default.json
動作確認
まずは、Amazon Q Developer で AWS Knowledge MCP Server が正しく認識されているかを確認します。
入力:
利用可能な MCP サーバーを列挙し、aws-knowledge のツールだけ一覧を出して
回答:
利用可能なMCPサーバーを確認し、aws-knowledgeのツールを一覧表示します。
現在利用可能なMCPサーバーとツール:
aws-knowledge サーバーのツール一覧
awsread_documentation - AWS ドキュメントページを取得してマークダウン形式に変換
awsrecommend - AWS ドキュメントページの関連コンテンツ推奨を取得
awssearch_documentation - 公式 AWS ドキュメント検索 API を使用した検索その他の利用可能なサーバー
awslabsaws-diagram-mcp-server - AWS アーキテクチャ図の生成
標準ツール - ファイル操作、コードレビュー、ディレクトリ操作などaws-knowledge サーバーは AWS の公式ドキュメントの検索、読み取り、推奨機能を提供しています。
この結果から、AWS Knowledge MCP Server が Amazon Q Developer に利用可能な MCP サーバーとして認識されていることが確認できます。
続いて、各 Tool が実際に使用できるかを確認します。ここでは例として、read_documentation を試してみます。
入力:
このURLをaws-knowledgeで読み込み、重要ポイントを箇条書きで出力して:
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/09/aws-neuron-2-26-announce/
すると、以下のように read_documentation Tool の使用許可を求められました。あわせて、Tool を利用する理由も表示されていることがわかります。
「Run」をクリックすると以下のような出力が得られました。
回答:
AWS Neuron SDK 2.26.0 の重要ポイント
• 新フレームワークサポート: PyTorch 2.8 と JAX 0.6.2 に対応
• Trainium2 (Trn2) 推論機能強化: Trn2インスタンスでの推論性能が向上
• 新モデル対応:
FLUX.1-dev 画像生成モデル
Llama 4 Scout および Maverick バリアント(ベータ版)
• エキスパート並列処理: 混合エキスパート(MoE)モデルを複数NeuronCoreに効率分散(ベータ版)
• 新しいNeuron Kernel Interface (NKI) API: 追加機能を提供
• Neuron Profiler改良: 分散ワークロードのシステムプロファイルグループ化など強化機能
• 全リージョン対応: Inferentia・Trainiumインスタンス対応の全AWSリージョンで利用可能
• パフォーマンス向上: 機械学習ワークロード向けモニタリング機能の改善
read_documentation Tool を用いて、要約を出力することに成功しました。
もちろん、search_documentation Tool と Amazon Q Developer のコーディング機能を組み合わせることで、AWS ドキュメントに準拠した実装を行うことも可能です。
入力:
aws-knowledgeを使用してAWS公式ドキュメントを読み込み、60 秒だけ有効なダウンロード用の署名付き URL を返す API を実装して
今回は、search_documentation Tool と read_documentation Tool が使用されているようです。
実際に出力されたコードは以下になります。
const { getSignedUrl } = require("@aws-sdk/s3-request-presigner");
const { S3Client, GetObjectCommand } = require("@aws-sdk/client-s3");
const express = require('express');
const s3 = new S3Client({ region: process.env.AWS_REGION || "us-east-1" });
const app = express();
app.use(express.json());
app.post('/download-url', async (req, res) => {
try {
const { bucket, key } = req.body;
const command = new GetObjectCommand({ Bucket: bucket, Key: key });
const url = await getSignedUrl(s3, command, { expiresIn: 60 });
res.json({ url });
} catch (error) {
res.status(500).json({ error: error.message });
}
});
app.listen(3000, () => console.log('署名付きURL API running on port 3000'));
{
"name": "presigned-url-api",
"version": "1.0.0",
"main": "presigned-url-api.js",
"scripts": {
"start": "node presigned-url-api.js"
},
"dependencies": {
"@aws-sdk/client-s3": "^3.0.0",
"@aws-sdk/s3-request-presigner": "^3.0.0",
"express": "^4.18.0"
}
}
また、回答には実行方法も出力されていました。
回答(一部抜粋):
Amazon Qフォルダ配下に60秒有効な署名付きURL生成APIを実装しました。
実行方法:
cd "Amazon Q" npm install npm startAPIテスト:
$body = @{ bucket = "your-bucket" key = "your-file.pdf" } | ConvertTo-Json Invoke-RestMethod -Uri "http://localhost:3000/download-url" -Method POST -ContentType >"application/json" -Body $bodyAWS公式ドキュメントに基づき、getSignedUrlとexpiresIn: 60で正確に60秒後に無効化される署名付きURLを生成します。
実際にバケット名とファイル名を書き換えることで、ファイルをダウンロードすることができました。
まとめ
Amazon Q Developer (CLI / IDE) がリモート MCP サーバーに対応したことで、これまで必要だった mcp-remote や mcp-proxy の設定が不要になり、わずか 3 分で AWS Knowledge MCP Server と接続できるようになりました。
特に AWS Knowledge MCP Server は公式ドキュメントや What's New を横断的に検索・取得できるため、「根拠のある素早い意思決定」や「公式ドキュメント準拠のコード実装」に大きな効果を発揮します。
IDE から公式ドキュメントを直接参照しながら実装できる仕組みは、開発効率と品質を同時に高める強力な手段となります。ぜひ試してみてください。
参考文献