By Sergiu Gatlan, Bleeping Computer, 2025/11/21
アメリカのサイバーセキュリティ企業 CrowdStrike は、内部関係者が社内システムのスクリーンショットを外部のハッカーに提供していたことを確認した。これらの画像は、脅威グループ Scattered Lapsus$ Hunters によって Telegram 上に公開されていた。
ただし同社は、今回の件によって システムへの侵害は発生しておらず、顧客データも漏えいしていない と強調している。
CrowdStrike の広報担当者は BleepingComputer に対し次のように述べた。
「先月、社内調査の結果、コンピュータ画面の写真を外部に提供していた疑わしい内部関係者を特定し、解雇しました。当社のシステムが侵害された事実はなく、顧客は常に保護されていました。この件は関係当局へ引き渡しました。」
同社は、どの脅威グループが関わったか、また内部関係者の動機については明らかにしていない。
しかしこのコメントは、最近 Telegram 上に投稿された CrowdStrike のシステム画面のスクリーンショットについて BleepingComputer が質問した際に寄せられたものだ。投稿者は ShinyHunters、Scattered Spider、Lapsus$ といった複数の脅威グループのメンバーだった。
ShinyHunters は BleepingComputer に対し、内部者が彼らに CrowdStrike のネットワークへのアクセスを 25,000ドルで売ることに同意した と主張した。
脅威グループによれば、内部者から SSO 認証クッキー を受け取ったが、その時点ではすでに CrowdStrike が内部者を検出しており、ネットワークアクセスを遮断していたという。
さらに彼らは、ShinyHunters に関する CrowdStrike のレポート、Scattered Spider に関するレポートを購入しようとしたが、結局手に入らなかったとしている。
BleepingComputer はこの主張の真偽を確認するため、CrowdStrike に再度問い合わせている。
“Scattered Lapsus$ Hunters” とは何者か?
これら複数の脅威グループは、現在 Scattered Lapsus$ Hunters と名乗り、巨大な Salesforce 侵害事件で被害を受けた企業を恐喝するため、データ流出サイトを立ち上げている。
彼らは今年初めから Salesforce を利用する企業を対象に ボイスフィッシング(vishing、電話を使って個人情報を盗み取る詐欺)攻撃 を行っており、以下の大企業が侵害された。
- Cisco
- Allianz Life
- Farmers Insurance
- Qantas
- Adidas
- Workday
- LVMH 傘下(Dior、Louis Vuitton、Tiffany & Co. など)
恐喝を試みた企業のリストはさらに広く、Google、Cisco、Toyota、Instacart、Cartier、Adidas、Saks Fifth Avenue、Air France & KLM、FedEx、Disney/Hulu、Home Depot、Marriott、Gap、McDonald's、Walgreens、TransUnion、HBO Max、UPS、Chanel、IKEAなど、有名ブランドがずらりと並ぶ。
彼らは Jaguar Land Rover(JLR)侵害 も自分たちの仕業と主張しており、機密データを盗み、オペレーションを混乱させた結果、前四半期だけで 1億9600万ポンド(約2億2000万ドル)以上の損害 を与えたとされる。
今週、BleepingComputer が報じたところによると、ShinyHunters と Scattered Spider は新しい ランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)『ShinySp1d3r』 に移行している。
以前は ALPHV/BlackCat、RansomHub、Qilin、DragonForce など他のランサムウェアの暗号化ツールを利用していたが、新しい独自プラットフォームへ切り替えた形だ。
木曜日、ShinyHunters は Salesforce インスタンスを対象とした 新たなデータ窃取攻撃 を行ったと主張した。Telegram 上では、被害企業として次のような大手企業名が挙げられている。
- GitLab
- Atlassian
- Thomson Reuters
- Verizon
- F5
- SonicWall
- DocuSign
- Malwarebytes
彼らは BleepingComputer に対し、これらの Salesforce インスタンスは Salesloft の drift breach(情報流出)で盗まれたシークレットを利用し、Gainsight を侵害した後に突破した と説明している。