OpenAI・Codexの「28日間アップデート」を毎日調査して発信しています。Day 8以降の新機能やリセット情報を見逃したくない方は、ぜひフォローしてください。
2026年10月11日(米国時間)、OpenAIの「28日間、改善またはリセット」企画の Day 7 が発表されました。
今回の主役は、新しいモデルでも一斉リセットでもなく、GPT-6.1 Solが一度に扱えるコンテキストのデフォルト値の拡張です。
CodexとChatGPT Workで、GPT-6.1 Solの標準コンテキスト長が272Kから500Kトークンに増えました。 さらに従来どおり、最大1Mまでカスタマイズ可能です。OpenAI責任者のTibo Sottiaux氏は、サブスクリプション枠から利用する場合、今回の変更による長文コンテキスト追加料金を課さないことも説明しています。
公式発表:
日本時間では10月12日の発表です。
ただし、**「500Kまで必ず正確に覚えられる」「Codexの利用上限が増えた」「APIでも追加料金がなくなった」**という意味ではありません。
この記事では、コンテキスト長とCompactionの仕組み、1Mへの設定方法、サブスクとAPIの料金の違い、大規模リポジトリでの活用方法、注意点まで整理します。
調査基準:2026年10月12日(日本時間)。 公式のDay 7投稿、28日間トラッカー、Codex設定リファレンス、OpenAI APIのGPT-6.1 Sol仕様と料金表を参照しています。プラン・モデル・クライアントの提供状況は変更される可能性があります。
Day 7で何が変わった?
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| GPT-6.1 Solのデフォルトコンテキスト長(Codex / Work) | 272,000トークン | 500,000トークン |
| デフォルト値の増加 | — | 約1.84倍(約84%増) |
| 個別に設定できる最大コンテキスト | 約1M | 約1M(変更なし) |
| サブスク経由の長文追加料金 | 別途条件を確認する必要があった | 今回のGPT-6.1 Solでは請求しないとの発表 |
| OpenAI APIの長文料金 | 長文料金あり | 今回のDay 7では変更なし |
| Day 7の新たなフルリセット | — | 公式追跡情報では確認なし |
「1Mまで設定できる」ことは以前から可能であり、今回の新機能は何もしなくても適用されるデフォルトが500Kになった点です。
Tibo氏は500Kを、大多数のユーザーに適した新たな「sweet spot(バランスのよい設定)」と説明しています。さらに大きな値への拡張も将来検討する方針ですが、具体的な次の日付は示していません。
そもそもコンテキスト長(Context Window)とは?
コンテキストウィンドウとは、AIモデルが1回の処理でまとめて参照できる情報量の上限です。
コンテキストには、ユーザーが最後に入力したメッセージだけでなく、次のような情報が入ります。
- 開発者・システム側の指示
- 会話履歴と、過去のAI応答
- 読み込んだソースコードや設計文書
- ターミナルの実行結果、テストログ
- ツール呼び出しの結果
- 次の回答を生成するために必要な領域
**トークン(token)**とは、モデルが文字列やコードを処理する単位です。日本語の1文字が必ず1トークンになるわけではなく、英単語・記号・コードによって分割方法が異なります。
そのため「500K=日本語50万文字」とは換算できません。
Codexではなぜ重要?
例えばバグ調査をCodexに任せると、次のような情報が積み上がります。
ユーザーの依頼
↓
リポジトリ構造の調査
↓
コードの読み取り
↓
テスト実行ログの収集
↓
原因を推測して変更
↓
別のテスト結果を読み取り
↓
PRのレビューコメントを確認
↓
修正 → 再テスト → 再レビュー
1回の仕事が長くなるほど、過去に読んだコードやログ、ユーザーからの制約条件などが増えます。
272Kの標準ウィンドウでもかなり多くの情報を保持できますが、長時間タスクで限界に近づくと過去の情報を圧縮する処理が必要になります。
500Kへ拡張されることで、その処理が必要になるまでに保持できる情報が増えます。
重要:Compaction(コンパクション)が減る
Tibo氏はDay 7の狙いとして、Compactionの発生回数を減らし、長い期間にわたって細かな文脈やニュアンスを残しやすくすることを挙げています。
Compactionとは?
Compactionは、会話やツール実行の履歴が大きくなったとき、重要な情報をまとめ直し、次の処理に必要なコンテキストを小さくする仕組みです。
会話・作業ログ
↓
許容コンテキストに近づく
↓
Compaction(要約・圧縮)
↓
要点を残して作業を継続
大きな会話履歴を扱う際に役立ちますが、要約では細かな情報が抜け落ちる可能性があります。
例えば、
- 「この関数だけ変更してほしい」という条件
- 調査済みの原因候補を除外した理由
- テストが落ちた時刻や実行環境
- 過去のレビューで指摘された例外ケース
といった情報です。
今回の500K化によって、Compactionまでの余裕を増やし、長い作業の途中で重要な情報が失われるリスクを減らす狙いがあります。
ただし、Compactionが完全になくなるわけではありません。 またコンテキストが長いほど必ず回答精度が上がると保証されているわけでもありません。
272K → 500Kで開発作業はどう変わる?
1. 大きなリポジトリを広範囲に調査しやすくなる
複数モジュールにまたがるJavaバックエンドの変更を考えます。
backend/
├── api/
├── domain/
├── application/
├── infrastructure/
├── batch/
└── test/
不具合原因がAPI層だけでなく、業務ロジック、DB操作、バッチ処理、テストデータにまたがるケースでは、複数ファイルを照らし合わせる必要があります。
コンテキストの余裕があると、読み込んだ仕様や関数間の関係を次の修正・レビューまで引き継ぎやすいという利点があります。
ただし、巨大なリポジトリを最初から全ファイル読み込むより、まず関連箇所を検索して必要な範囲に絞る方が、無関係な情報による混乱や余計なコストを避けやすくなります。
2. 長時間のバグ修正とテストを継続しやすい
Issue調査
→ 修正
→ CI失敗
→ ログ調査
→ 再修正
→ 再テスト
→ PRレビュー
→ マージ
のように、何十回もツールを使うタスクで恩恵があります。
500K化によって、途中で調べた事情を残したまま次の判断へ進みやすくなります。
ただし、長いコンテキストはテスト実行やCIの待ち時間を直接短くする機能ではありません。
3. 大量の設計資料や長い仕様を参照しやすい
複数のAPI仕様書、SQL定義、移行手順、エラーログを同時に参照するタスクにも効果が期待できます。
ChatGPT Workではコードに限らず、調査・資料作成・ファイル分析などの長い作業でメリットがあります。
デフォルト500Kと、最大1Mの違い
重要なのは次の2つを区別することです。
500K
= Codex / WorkでGPT-6.1 Solを使うときの新しい標準設定
1M
= ユーザーが用途に応じて選べる上限
500Kは新しい最大値ではありません。
一方、OpenAIのGPT-6.1 Sol APIモデルページには1,050,000トークンのコンテキストウィンドウが記載されています。これはAPIモデルの仕様上の値です。
Day 7の発表でいう**Codex / Workの設定上限「1M」**と、APIページの「1,050,000」という表記を混ぜて「Codexで必ず1,050,000まで設定できる」と解釈しないよう注意が必要です。
なぜ全ユーザーを最初から1Mにしないの?
Tibo氏は500Kを、慎重にテストしたうえで多数のユーザーに適したバランスと説明しています。
コンテキストを大きくすれば必ず使い勝手がよくなるわけではありません。
- 長い履歴の一部を参照し間違える可能性
- 無関係なログや過去の作業が推論を妨げる可能性
- 処理・キャッシュ・トークン消費の増加
- セッションを小さく分割した方が理解しやすいケース
も考えられます。
したがって、まずは500Kの標準設定で使い、実際に不足する仕事に限って大きくする方が合理的です。
Codex CLIで500Kが適用されたか確認するには
利用できるモデルや設定はプラン・クライアント・ワークスペースの設定によって異なります。まずデスクトップアプリやCLIを最新にして、新しいセッションで試してください。
Step 1:GPT-6.1 Solを選択
Codex CLIを使っている場合の実行例です。
codex -m gpt-6.1-sol
-
codex:Codex CLIを起動 -
-m:使用するAIモデルを指定 -
gpt-6.1-sol:今回のDay 7アップデート対象のモデル
モデルの利用権限がなければ、指定しても利用できない場合があります。
Step 2:現在の状態を確認
Codex CLIが起動したら、入力欄で次を実行します。
/status
/statusはCodex内のコマンドで、使用モデルやコンテキスト使用状況などの確認に使います。
実際に表示されているモデルと有効コンテキスト長を確認してください。以前のセッションから継続している場合、表示や適用状態が異なることがあります。
もし500Kに更新されていなければ、Codexのバージョンとモデル選択を確認したうえで新規セッションでも試します。
Codex CLIのコンテキストを1Mへ変更する例
Codexの公式設定リファレンスには、model_context_windowという項目が用意されています。
一時的な起動設定
codex -m gpt-6.1-sol -c model_context_window=1000000
-
-m gpt-6.1-sol:GPT-6.1 Solを指定 -
-c:設定値を今回の起動に限って上書き -
model_context_window=1000000:コンテキストウィンドウを100万トークンに指定
これはローカルクライアント側の設定を上書きする指定です。バックエンドの権限制限やモデルが許可していない上限まで強制的に拡張できる魔法の設定ではありません。
実際の値は/statusなどで確認してください。
継続的な設定
設定ファイルを編集するなら、macOSのターミナルなどから次のコマンドを実行できます。
nano ~/.codex/config.toml
-
nano:ターミナルでテキストファイルを編集するエディタ -
~:現在のユーザーのホームディレクトリ -
.codex/config.toml:Codex CLIの設定ファイル
設定例:
model = "gpt-6.1-sol"
model_context_window = 1000000
nanoで保存するにはControl + O、Enterで確定し、Control + Xで終了します。その後、新しいCodexセッションで設定の反映を確認します。
注意:過去には、Codexのデスクトップ版やCLIで、カスタムコンテキスト長を指定しても反映されない、あるいは自動圧縮と組み合わせた際に不安定になるというGitHub Issueが報告されています。報告のバージョンや条件は現在のものとは限りませんが、設定ファイルに書いただけで利用できるようになったと判断しないことが重要です。
不安定ならmodel_context_windowを削除して新しいデフォルト値へ戻し、必要に応じてバージョンとログを確認してください。
料金に注意:サブスクとAPIは違う
今回、最も誤解しやすいのが料金です。
Tibo氏は、ChatGPTのサブスクリプション経由でGPT-6.1 Solを使う場合、長文コンテキスト追加料金を課さないと説明しました。
一方、OpenAI APIの従量課金は別の仕組みです。
サブスクリプション経由
- CodexやWorkへChatGPTアカウントでサインインして使う場合が対象
- GPT-6.1 Solの今回の500K設定に関して、長文コンテキスト専用の追加料金なし
- ただし、通常のWork / Codex利用量は消費する
- 長文のログや資料を多く読み込めば、通常の利用枠・クレジット消費量に影響する可能性がある
- 利用枠が無制限になるわけではない
「追加の長文料金なし」は「いくら長く使っても利用量ゼロ」ではありません。
APIキー経由
GPT-6.1 Solの公式モデルページでは、入力が272Kトークンを超えたリクエストに長文料金を適用すると明記されています。
Standardモード・100万トークンあたりの目安は次の通りです。
| GPT-6.1 Sol APIの料金 | 272K以下の入力 | 272K超の入力 |
|---|---|---|
| 入力 | $2.00 | $4.00 |
| キャッシュ済み入力 | $0.10 | $0.20 |
| キャッシュ書き込み | $2.50 | $5.00 |
| 出力 | $10.00 | $15.00 |
重要なのは、272Kを超えた分だけ高くなるのではなく、そのリクエスト全体に長文料金が適用されることです。
これはStandardの料金例であり、Fast、Ultrafast、Batch、Flex、データレジデンシーなど別の料金条件との組み合わせでは変わります。
公式資料:
例:300K入力の場合
通常のテキスト入力300Kトークン、出力20Kトークンの1リクエストを仮定します(キャッシュ・ツール料金なし)。
入力: 300,000 ÷ 1,000,000 × $4 = $1.20
出力: 20,000 ÷ 1,000,000 × $15 = $0.30
合計: $1.50
もし短文単価で計算すると$0.80になりますが、入力が272Kを超えるためAPIでは長文単価が適用されるという例です。
※モデルの考えるための出力トークンも課金対象に含まれる場合があり、実際の請求額は利用状況により変化します。これは概念を説明する試算です。
500Kに設定しているだけならAPIの長文料金になる?
必ずしもそうではありません。
API側で判断されるのは、実際にリクエストで使う入力トークン量などの条件です。クライアント側の最大ウィンドウ設定を500Kにしていても、毎回500Kの文章を送るわけではありません。
「上限」と「使用した量」は分けて考えるのが重要です。
コンテキスト長と利用量リセットは別
Day 7は、前日の Day 6のグローバルリセット と異なります。
Day 6
→ Work / Codexの対象利用枠の一斉リセット
Day 7
→ GPT-6.1 Solの標準コンテキスト長を拡張
コンテキスト長が増えても、Codexの週間利用枠や残量をリセットする仕組みではありません。
また、Day 3で配布された banked reset(保存可能なリセットチケット) の追加配布をDay 7で実施したという公式発表も、確認した範囲では見つかっていません。
Day 7の公式28日間トラッカーには、GPT-6.1 Solのコンテキスト拡張が記載されています。
コンテキストが大きくなっても気を付けたいこと
1. 長い情報を入れれば必ず精度が上がるわけではない
大量の関連の薄いログや、古い仕様をまとめて入力すると、現在のタスクに必要な情報を見失うリスクがあります。
必要な範囲を絞り、ファイルの出典、調査済み事項、残課題を明確にする方法は今後も有効です。
2. 永久記憶ではない
コンテキストウィンドウは「その時点の処理で参照できる範囲」であり、別スレッドや別のセッションでも永久に覚えている記憶領域ではありません。
長く使うプロジェクトでは、README.md、AGENTS.md、Issue、設計文書など、外部に残る正本を併用しましょう。
3. 機密情報の入れすぎに注意
長いコンテキストが使えるからといって、秘密鍵、顧客データ、非公開の認証情報を必要以上に読み込ませるべきではありません。
AIのコンテキスト容量と、プロジェクトのアクセス制御・情報管理は別問題です。
4. 自動圧縮やクライアント設定の限界は残る
デフォルト値が500Kでも、クライアント・モデル・設定によってCompactionの閾値は異なる場合があります。
毎回の/statusや実際の挙動を見ながら、特に1Mのカスタム設定では段階的に試すのが安全です。
Day 1〜Day 7を振り返る
| Day | 主要なアップデート |
|---|---|
| 1 | GPT-6 Astra / GPT-6.1 Solの標準速度を約50%高速化 |
| 2 | Auto-review無料化、API Tier簡略化、Meetings、Decisions API、さらに一斉リセット |
| 3 | GPT-6+Intelligent UI、Codex / Work利用者4,000万人、保存可能リセット |
| 4 | GPT-6.1 Sol Ultrafast、Near-instant steering |
| 5 | Dotsのモバイル・Codex連携強化、Composer predictions |
| 6 | Global Reset(一斉リセット) |
| 7 | GPT-6.1 Solの標準コンテキストを272K→500K |
ここまでで、速度・モデル・操作性・利用量・コンテキストなど、異なる方向から改善が進んでいます。
よくある質問
Q. Codexを起動したら自動で500Kになる?
対応するGPT-6.1 Solのデフォルト設定は500Kへ変更されたと発表されています。まず新しいセッションを作り、現在のモデルとコンテキスト表示を確認してください。
Q. 1Mも無料で使える?
サブスクリプション経由のGPT-6.1 Solでは、長文コンテキストの追加料金を課さないと説明されています。ただし、利用可能なモデル、実際に消費するWork / Codexの利用量、プラン上限、クライアント側の対応は別の条件です。「1Mなら完全無料・無制限」ではありません。
Q. ChatGPTの普通のチャットも500Kになる?
Day 7の対象はCodexとChatGPT WorkのGPT-6.1 Solです。 通常のChatタブで利用するすべてのモデルの上限が500Kに変わったという告知ではありません。
Q. 1Mに設定すればCompactionは起きない?
起きます。 Compactionのタイミングが遅くなることはありますが、上限へ近づけば再び圧縮が必要になります。
Q. APIでも追加の長文料金がゼロ?
いいえ。 現在のGPT-6.1 Sol APIモデルページでは、入力272K超のリクエストに長文料金が適用されます。
まとめ
Day 7で重要なのは次の点です。
- Codex / WorkのGPT-6.1 Solで、デフォルトが272K→500Kへ
- 増加幅は約1.84倍。最大1Mのカスタム設定は引き続き可能
- Compactionの頻度を減らし、長い作業の細かな文脈を保持しやすくするのが目的
- サブスクリプション経由では長文コンテキストの追加料金を課さないとの発表
- ただし通常の利用枠・クレジット消費は継続。無制限化ではない
- APIは別料金で、272K超の入力にはリクエスト全体へ長文料金が適用される
- CLIでは
model_context_windowによる変更が可能。ただし実際の反映確認が重要 - Day 7の追加フルリセットは公式追跡情報では確認できない
大規模リポジトリや長時間タスクでは、単なるモデル性能だけでなく、「途中までの調査内容を引き継げるか」が作業品質を左右します。
今回の500K化は、CodexやWorkを途中で止めずに複雑なタスクへ取り組みやすくする実用的な改善といえます。
参考・一次情報
- OpenAI責任者Tibo Sottiaux氏:Day 7の500K拡張発表
- OpenAI Developer Community:28 days of Shipping at OpenAI
- OpenAI Help Center:ChatGPT Work and Codex
- OpenAI公式:GPT-6.1 SolのAPIモデル仕様
- OpenAI公式:API料金表
- OpenAI公式:Codex設定リファレンス
- OpenAI公式:Compactionの解説
- GitHub openai/codex:コンテキスト長カスタム設定とCompactionに関する過去のIssue
これからもOpenAI・Codexの28日間アップデートを毎日追い、追加発表やリセットまで確認して発信します。Day 8以降も見逃したくない方は、ぜひフォローしてください。