2025年8月2日〜3日に開催された 【全国学生対抗】Qiita × FastDOCTOR Health Tech Hackathon の参加レポートです。
📣 ハッカソン概要
本ハッカソンは、Qiita株式会社とファストドクター株式会社の共催で開催された、生成AI×医療 をテーマとした学生向けのハッカソンです。
- 開催日時:2025年8月2日(土)〜8月3日(日)
- 開催形式:恵比寿の会場 + オンライン(Zoom)によるハイブリッド開催
- 参加対象:大学・大学院・専門学校・高専などに在学中の学生(全国対象)
- チーム構成:2〜5名(個人参加者は当日マッチング)
- テーマ:
「生成AIを活かしたウェブサービス、モバイルアプリの開発」
オンライン診療に関するサービスのプロトタイプを、生成AI技術を用いて開発します。
- 特徴的なポイント:
- 医療従事者が常駐し、直接質問・相談が可能
- 各チームにオンライン診療運営の専門メンバー(元医療現場出身)が1名加わり、実務視点のサポートあり
- 医療課題にリアルに向き合いながら、生成AI技術を社会実装に近づける体験ができる
💡 参加したきっかけ
昨年度から月に一度ほどのペースでハッカソンに参加するようになり、その流れで本イベントの開催を知りました。今回は同じ研究室のメンバーを誘い、2人でチーム「dogseal」としてオンラインで参加しました。お互いにハッカソンの参加経験はあったものの、同じチームとして取り組むのは今回が初めてでした。
多くのハッカソンは東京など、大学から距離のある場所で開催されることが多いため、オンラインで参加できる形式はとてもありがたく、参加へのハードルが下がったことも嬉しかったポイントです。
⌚ 開発したプロダクト
課題とアイデア
慢性疾患の一つである糖尿病患者において、「受診中断」 が大きな社会的・医療的課題となっています。
厚労省の調査によれば、同一医療機関での治療が継続されないケースが多く、オンライン診療では特に「診療の必要性への理解不足」が中断要因として挙げられています。
そこで私たちは、生成AIとスマートウォッチを組み合わせることで「患者の理解と行動変容を支援」し、継続的な診療体験の実現を目指すプロダクトを企画・開発しました。
プロダクト概要:WatchHealth
WatchHealthは、以下の2つを軸に設計された医療支援サービスです。
- 🩺 スマートウォッチ連携によるデータ取得
- 心拍・活動量・睡眠などのヘルスデータを自動取得
- 医療者との継続的な情報共有を可能に
- 🧠 生成AIによるレポート作成と保健指導
- AIが生活ログを分析し、患者の性格や傾向に応じた保健指導文を生成
- 診療ごとに変わる医師にも、一貫性のあるフィードバックと指導を提供
この仕組みによって、 治療のモチベーション維持 と 医師間での正確な情報共有 が可能となり、患者の受診継続を支えるインフラとなることを目指しています。
使用技術
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フロントエンド
- React Router
- tRPC
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バックエンド
- Hono
- Cloudflare D1
- Drizzle ORM
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実装しきれなかったもの
- 生成AI(テキスト生成):Ollama(ローカルLLM)
- レポート作成や保健指導文の自動生成に活用
- ヘルスデータ連携:Fitbit API
- 心拍、活動量、睡眠などのデータを取得し、診療の補助指標として活用
- 生成AI(テキスト生成):Ollama(ローカルLLM)
工夫した点・苦労した点
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【工夫した点】 ファストドクターCTOの宮田さんとの対話を通じて、現場ニーズの具体化を行いました。
特に「患者のモチベーションを下げないフィードバックの設計」や「診療時における情報共有の煩雑さ」など、医師視点でのリアルな課題を深掘りできたことは大きな収穫でした。 -
【工夫した点】 発表資料の準備に力を入れ、アニメーションを効果的に活用しながら、限られた枚数でも伝わるよう何度も見直しと調整を重ねました。
- 【苦労した点】 開発にはAIコーディング支援ツール「Cursor」を積極的に活用しましたが、要件があいまいなまま進めてしまい、出力されたコードがかえって混乱を招く場面もありました。事前の要件定義や設計の重要性を改めて実感しました。
✍️ おわりに
今回のハッカソンでは、「テクノロジーによって医療の質・体験・生産性を変革する」という大きなテーマに対して、現場に根ざした課題をどのように生成AIで解決に導けるか、という視点から取り組むことができました。
限られた時間の中ではありましたが、医療従事者からのフィードバックやチームでの議論を重ねる中で、社会課題をプロダクトへとどう具体化するか、真剣に向き合えたと思います。
また、他チームの発表も非常に刺激的で、チーム間で類似したアプローチがほとんどなかった点が印象的でした。
技術面では、Cloudflareなど初めて扱う技術にもチャレンジしました。ただ、時間が足りずモック実装が多く残ってしまったため、今後はさらに経験を積み、実際に動作するプロダクトとして形にできるよう精進していきたいと考えています。
