はじめに
前回はプロジェクトマネジメント面に特化した記事を書きましたが、今回は改めて「データ分析全体を俯瞰して理解しておきたい」と思い、読書感想文のパート2としてまとめました。
対象読者
- データ分析全体を俯瞰したいが、どんな本を読めばいいか悩んでいる人
- 経験浅めな新任リードデータサイエンティスト
読書リストと感想文
今回読んで参考になった本とその感想です。
データ分析の教科書 最前線のコンサルタントがマクロミルで培った知識と実践方法
全体を俯瞰する意味合いで、個人的には一番参考になった。
5つのステップ(①解くべき問いを明確化する、②問いを分解し分析ストーリーを描く、③データ収集・前処理を行う、④データの比較を通じて解釈する、⑤分析結果&結論をわかりやすく伝える)で分かりやすくまとめられている。
また、意思決定支援(PPDAC)・モデル構築・業務自動化(CRISP-DM)で人材を分けて定義すべきという視点や、以下の「データ分析の4つのタイプ」も非常に参考になった。
| 分析タイプ | 概要 |
|---|---|
| ①記述的分析(過去・現在x事実) | 過去もしくは現在の事実を記述する。あるべき姿と現在のギャップから問題や課題を見出す。 |
| ②診断的分析(過去・現在x解釈・考察) | 過去もしくは現在の事実が生じた背景・要因を推測する。データ分析者の解釈・考察を含める。 |
| ③予測的分析(未来x事実) | 過去もしくは現在の事実から将来を予測する。診断的分析にを踏まえて、将来の洞察を考える。 |
| ④処方的分析(未来x解釈・考察) | 将来に向けたアクションを検討する。あるべき姿を意識してデータ分析以外の要素も踏まえて検討。 |
データ活用型プロジェクトのマネジメント
日本の「データ活用に関連する法令」についてしっかり解説されている点が良かった。タイトル通りプロマネ寄りではあるが、データ分析プロジェクトの全体を俯瞰できる内容。
データ分析プロジェクトの手引
データモデリングやシステムの開発、さらにプライバシーと匿名化技術まで記述があり、カバーしている範囲が非常に広く良かった。広範囲な分、各項目が若干薄く感じる部分もあるが、全体像を掴む目的には適している。具体的なケーススタディもあり理解が深まった。
データ分析のリアル まるごとQ&A
「データ分析をする側」だけでなく、「させる側(依頼側)」からのプロジェクト攻略法というユニークな位置づけの本。1問1答形式でよくある質問がまとまっており、現場のリアルな課題と対策がサクサク読める。
データサイエンスエキスパート演習
他の本とはやや毛色が違うが、分析タイプに応じた代表的な手法が整理されていた。
| 分類区分 | 概要 | 代表的な手法 |
|---|---|---|
| 記述的分析 | データの傾向を把握し、要約する | ヒストグラム、箱ひげ図、平均・中央値・標準偏差など |
| 推論的分析 | サンプルデータから母集団の特性を推定する | t検定、カイ二乗検定、信頼区間の推定など |
| 予測的分析 | 未知の結果を予測する | 線形回帰、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、ディープラーニングなど |
| 最適化・処方的分析 | 意思決定や行動の最適解を導く | 連続最適化、離散最適化 |
実践 データ分析の教科書
Pythonのコード例が大半を占める実践本だが、一部に全体像の記載も含まれている。MLOpsについての言及がある点も良かった。
データ解析の実務プロセス入門
具体的なケーススタディを通して実務のプロセスを学べる実践的な構成で、参考になった。
おわりに
今回は、データ分析プロジェクト全体を俯瞰するための7冊をご紹介しました。
手法やコードといったミクロな視点も重要ですが、今回挙げたような書籍を通じて「分析プロセス全体」や「ビジネス上の問いとの繋がり」といったマクロな視点を持っておくことで、プロジェクトの成功率は大きく上がるはずです。
これからリードデータサイエンティストを担う方や、データ分析プロジェクトの全体像を改めて整理したい方の参考になれば幸いです。