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ErlangとGolangを比較してみる

Last updated at Posted at 2014-12-04

ErlangとGolangを比較してみる

よくこの2つの言語を比較する人がいるように感じる。
両方ともサーバープログラム用途で用いられる言語なので、分からなくもないのだが、この2つの言語は似て非なる物だ。

プロセス周りに重点を置いて違いについて自分なりに纏めてみた。

両方とも触れてから1年と経っていないので、間違いがあれば指摘をもらえると嬉しい。

主な違い

Erlang Golang
言語の分類 関数型 手続き型
動的型付け
(dialyzerによる型チェックあり)
静的型付け
変数 immutable mutable
例外に関する思想 Let it crash Defensive Programming
並行処理モデル Message Passing
(Actor Model)
Message Passing
(CSP/π caluculus)

それぞれのプロセスの違い

Erlang Golang
ワーカースレッド数 デフォルトでCPUのコア数 デフォルトで1
(基本的にはCPUのコア数で指定)

Go 1.5からデフォルトでCPUのコア数になりました
初期スタック 309 words
(1words≒64bit)
8k bytes
プロセス間メモリ共有 なし あり (global変数)
プロセス数の上限 デフォルト 32768
最大 268435456
数10万可能
プロセスの実行 ワーカースレッドとバインドしない
(固定することも可能)
ワーカースレッドとバインドしない

※ プロセス = Erlang Process / goroutine

並行処理モデルの違い

この部分を書くのに、arildさんのスライドを参考にさせてもらった。
図が非常に分かりやすいので、こちらも参照して欲しい。

Erlang: Actor model

  • Process (Actor) が Mailboxを1つ持つ
    • 通信はどのProcessに送るかが明確
  • ブロック
    • 受信側:Mailboxが空の場合ブロック
    • 送信側:ブロックしない

Golang: CSP (Communication Sequential Processes)

  • Channelを共有し、通信を行う
    • ChannelとProcessは多vs多の関係 (どのプロセスが受け取るか分からない)
  • ブロック
    • 送信側と受信側が揃わないといけない

※ GolangはChannelサイズが指定できる為、サイズ>0の場合はChannelが空/満タンの場合にのみブロックする

スケジューラー

大量にProcessを立てた場合、どのように実行されるかに違いがある。

  • Erlang
    • 全てのProcessを均等に実行しようとする
  • Golang
    • 一定時間までは1つ (コア数分) のProcessを実行し続ける
      (ver1.2まではProcessがsleep/終了するまで実行し続けていた)

プロセスの管理方法

Erlang

  • プロセスツリーを構成する

Golang

  • 管理しない
  • 結果を待つことでデーモン化を防ぐ

例外処理

Erlang

  • 基本的な例外の扱い方
    1. 例外をcatchせずプロセス自体をクラッシュさせる
    2. スーパーバイザ(管理プロセス)がプロセスの異常終了を検知
    3. 再起動戦略に従ってプロセスを立ち上げ直す
-module(ch_sup).
-behavior(supervisor).

-export([start_link/0]).
-export([init/1]).

start_link() ->
    supervisor:start_link(ch_sup, []).

init(_Args) ->
    {ok, {{one_for_one, 1, 60},
          [{ch3, {ch3, start_link, []}, 
            permanent, brutal_kill, worker, [ch3]}]}}.

公式の例より引用

再起動戦略

概要
one_for_one 落ちたプロセスだけを再起動する
one_for_all 全ての子プロセスを再起動する
rest_for_one 子プロセスに依存関係がある場合に使用する
simple_one_for_one 子プロセスを動的に起動したい場合に使用する

この辺りはlearn you some Erlangが詳しい

Golang

  • 関数の返り値としてerrorかどうかを返す
  • エラーの処理を書かせるようになっている
    • 全ての変数はunusedでコンパイル時にエラーが出る
      (ブランク変数/再代入を行うと処理忘れしてもエラーが出ないが……)
file, err := os.Open("hoge.txt")
if err != nil {
    log.Fatal(err)
    return
}
  • 最悪の手段としてpanic (≒throw) / recover (≒catch) が提供されているが使用するべきではない
defer func() {
    if r := recover(); r != nil {
        fmt.Println(r)
    }
}()
panic("panic")

補足1: panic/recoverの用途
recoverを標準ライブラリ内で使用している箇所について、ruiuさんがこちらの記事に書かれている

  • 深いネストからトップレベル関数へ一気に戻る
  • ランタイムエラーをcatchし、関数の返り値として返す
  • プロセス全体が落ちないようにする為

要約すると上記3つの用途で使われているとのこと。

補足2: goroutine内でのpanic

  • panicが発生すると全てのプロセスが終了する
  • goroutine内のpanicは他のprocessでは処理できない
go func() {
    defer func() {
        if r := recover(); r != nil {
            fmt.Println(r)
        }
    }()
    // 処理
}()

まとめ

Erlang/Golangをどんな時に選ぶとよいかについて個人的な考えをまとめる。

  • Erlang
    • Processが独立している場合 (Read/Writeが同じI/Fにできない場合など)
    • 分散プログラムになる場合 (今回は触れていないが……)
    • Processを大量に同時に立てる場合 (echo Server)
    • Processを落としたくない場合
  • Golang
    • 複数のProcessが1つのQueueを共有したい場合
    • 文字列処理/計算を扱う場合
    • Processが落ちた場合でもそのProcessを再起動する必要がない場合

あくまでも個人的な意見だが、少しでも参考になれば幸いだ。

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