様々なELBの特徴解説
Amazon Web Services(AWS)は、負荷分散を実現するためのElastic Load Balancing(ELB)サービスを提供しています。ELBは、入ってくるトラフィックを複数のターゲット(例えば、EC2インスタンス、コンテナ、IPアドレス)に分散することで、アプリケーションの可用性と耐障害性を高めます。ELBには、主にApplication Load Balancer(ALB)、Network Load Balancer(NLB)、そしてClassic Load Balancer(CLB)の三種類があり、それぞれ異なる特徴と用途を持っています。この記事では、これらのELBタイプの特徴と使い分けについて解説します。
ELBの基本
負荷分散サービス
ELBは、AWSのスケーラブルな負荷分散サービスで、アプリケーションのトラフィックを効率的に処理します。このサービスを利用することで、高トラフィックの状況でもアプリケーションのパフォーマンスを維持し、システムのダウンタイムを減らすことができます。
Application Load Balancer(ALB)
アプリケーションレベルでの負荷分散
ALBは、特にHTTP/HTTPSトラフィックの負荷分散に適しており、リクエストの内容に基づいてトラフィックをルーティングできます。
特徴
- コンテンツベースのルーティング: URLパスやヘッダー情報に基づいてトラフィックを異なるターゲットに転送します。
- WebSocketsとHTTP/2サポート: モダンなアプリケーションプロトコルに対応しています。
- 高度なリクエスト処理: セッションスティッキネスやSSL終端などの機能を提供します。
Network Load Balancer(NLB)
ネットワークレベルでの高性能負荷分散
NLBは、TCPトラフィックやUDPトラフィックの負荷分散に特化しており、低レイテンシで高いスループットを実現します。
特徴
- 高いスループットと低遅延: インスタンスへの直接的な接続により、高速なトラフィック処理が可能です。
- 静的IPアドレスの割り当て: 固定のIPアドレスを使用して負荷分散を行います。
- 長期接続に適している: TCP接続やWebSocketの長時間接続に最適です。
Classic Load Balancer(CLB)
従来型の負荷分散
CLBは、ALBやNLBが登場する以前から利用されているELBの初期形態で、基本的な負荷分散機能を提供します。
特徴
- シンプルな設定: 一般的な負荷分散のニーズに対して簡単に設定できます。
- HTTP/HTTPSとTCPトラフィックのサポート: 基本的なプロトコルに対応しています。
- 徐々に非推奨に: AWSではALBやNLBの利用を推奨
しており、CLBは徐々に古い技術と見なされています。
まとめ
AWSのELBは、アプリケーションのトラフィックを効率的に処理し、可用性とパフォーマンスを向上させるための重要なツールです。ALBはアプリケーションレベルでの高度なルーティング機能を提供し、NLBはネットワークレベルでの高性能なトラフィック処理に適しています。CLBは基本的な負荷分散機能を提供しますが、より高度な機能が必要な場合はALBやNLBの利用が推奨されます。これらのサービスを理解し、適切に選択することで、AWS環境下でのアプリケーションの信頼性と効率性を大幅に向上させることが可能です。