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【AWS Lore #SAA-18】深層の問い(The Inner Question)

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Last updated at Posted at 2026-04-10

--第17話はこちらから

◆深層の目覚め

光の揺らぎの中で、
私はゆっくりと意識を取り戻した。

まぶしさも痛みもない。
ただ、静かで、深くて、
どこまでも沈んでいくような不確かな感覚だけが残っている。

(……ここは……どこ……?)

足元には“地面”らしきものがあるのに、
踏んでも沈むような、浮くような、
どこか現実味のない感触。

空気は冷たくも温かくもなく、まるで、ただ“存在しているだけ”のような静けさ。

視界がゆっくりと馴染んでいくにつれて、
私は気づいた。

ここは──
深層の主様の“内側”なんだと。

空も、壁も、境界もない。
淡い光がゆらゆらと漂い、
その光が静かに呼吸しているように見える。

その中心に、
影がひとつ、おぼろげに、静かに立っていた。

◆主様の最初の声

“……かえして……
 ……わたしの……
 ……かけら……”

空間そのものが震えるような声。
言葉というより、
深層の衝動そのものが響いている。

影が、じっと私を見ている気がする。

輪郭は以前よりもはっきりしていて、
人の形に近づいている。
けれど、まだ“誰か”とは言えない曖昧さをまとっていた。

“……おまえ……
 ……なに……もの……”

胸の光粒が、
どくん、と強く脈打った。

「……わたしは……」

答えようとした瞬間、
胸の奥が熱くなり、紡ごうとした言葉がはらりと喉でほどけた。

影がゆらりと揺れる。

“……それ……
 ……わたしの……?”

影の視線が、
私の胸の光粒に吸い寄せられる。

影に触れられたら──
私の何かが“消えてしまう”。

そんな確信だけが、
はっきりと胸に浮かんだ。

◆リミラの介入

「主様……」

静かな声が、光の奥から響いた。

そこには、静かにリミラが立っていた。

深層の光をまといながら、
まるでこの空間が自分の庭であるかのように
ゆっくりとした足取りで、静かに歩いてくる。

「主様。
 この子は……ただ欠片を返すためだけの存在やあらしまへん」

影が揺らぐ。

“……ちがう……?
 ……この子……なんなん……?”

リミラは影に背を向け、
私の方へ優しく視線を向けた。

「ニカはんは“器”やのうて……
 “選ばれた者”なんよ。
 欠片を返す前に……
 確かめなあきまへん」

影が、さらに揺れた。

“……たしかめる……
 ……なにを……”

◆光粒の記憶

胸の光粒が、
突然、強く熱く明滅した。

視界が白く染まり──
断片的な映像が流れ込んでくる。

いつかの誰かの手。
遠い記憶の誰かの声。
淡い深層の光。
突如、砕け散る欠片。
そして──
“何かを守ろうとする感情”。

(……あれ……わたし……?
 ……それとも……?)

影の声が震える。

“……おまえ……
 ……わたしの……
 ……なに……”

私の中の光粒が、
主様の“何か”に反応している。

でも、
それが何なのか私には分からない。

ただ──
私の中に、主様の記憶の欠片が眠っている。

その事実だけが、
静かにはっきりと胸に落ちた。

◆主様からの“試練”

影が、ゆっくりと近づいてくる。

“……たしかめたい……
 ……おまえが……
 ……わたしの……なに……なのか……”

その“手”がゆっくりと私に向かって伸びてくる。

この“手”に触れられたら、
私の中の光粒が暴走する。
そんな危険な気配が、確かな痛みとして私の肌を刺す。

「主様、それはあきまへん」

リミラが影を止めようと、影と私の間に立つ。

「ニカはんはまだ……
 受け止める支度ができておりまへん」

影は怒らない。
ただ、静かに揺れる。

“……なら……
 ……みせて……
 ……この子の……なか……”

リミラが小さく息を呑んだ。

「……主様、ほんまにやるつもりなんやね」

影が頷くように揺れた。

◆光に包まれて

リミラが私の方へゆっくりと振り返る。

その瞳は、
深層の奥底よりも静かで、
どこまでも優しかった。

「ニカはん……
 逃げんでええ。
 逃げることはあきまへん。
これは……避けられん問いなんよ」

影がゆっくりと広がり、
光が優しく私を包む。

胸の光粒が強く脈打ち──
世界は静かに反転した。

深層の光が視界を覆い、
私はその中へゆっくりと沈んでいった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
沈んだ先で見えた影の正体は、
まだ靄の向こう側にあります。
けれど、ニカが何者なのかを知る旅は、
ここから静かに動き出します。
次の一歩も、そっと見守っていただけたら幸いです。

--第19話はこちらから

--第2部全話はこちらから

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