株式会社ZOZO 執行役員 兼 CTO の @sonots です。
この記事は「ZOZO Advent Calendar 2025」カレンダー1の最終回(25日目)です。
2025年は、新規プロダクトのリリース、海外企業のM&A、そして開発AIエージェントの本格的な台頭など、ZOZOにとっても、エンジニアの働き方にとっても大きな転換点となる年でした。
本記事では、2025年を通じてZOZOの開発組織が取り組んできた主なプロジェクトや挑戦を振り返ります。
新規プロダクトへの挑戦:ZOZOマッチ
2025年6月、ZOZOはマッチングアプリ「ZOZOマッチ」をリリースしました。ファッションジャンル診断やコーディネート選択をもとに、ZOZO独自のAIが「好みの雰囲気」の相手を紹介するマッチングアプリです。
ZOZOからマッチングアプリ、という意外性に驚かれた方も多かったと思いますが、私たちは既存の枠にとらわれず、新しいチャレンジを続けていきます。
開発組織としては、新規プロダクトをゼロから立ち上げるための組織づくりが最も大変でした。技術スタックとしてもZOZO社では初となるFlutterを採用し、チームの組成や意思決定のスピードも含めて、多くの学びがあったプロジェクトです。
海外M&A:LYST社の買収
2025年4月、ZOZOは英国ロンドン発のファッションショッピングプラットフォーム「Lyst」を運営するLYST社を完全子会社化しました。
私自身、買収前の技術デューデリジェンスの一環としてロンドンのオフィスを訪問し、LYSTのCTOをはじめとするエンジニアと直接議論する機会がありました。技術的にしっかりしているだけではなく、プロダクトへの向き合い方や会社の雰囲気に「ZOZOらしさ」を感じられたことが、個人的にも非常に印象に残っています。
ZOZOTOWN / WEAR:既存事業を支える挑戦
2025年も、ZOZOTOWN・WEAR事業の成長を支える数多くの開発を行いました。
ここでは、特に事業インパクトの大きかった取り組みを紹介します。
BLACK FRIDAY の安定運用
BLACK FRIDAY は、いまやZOZOにとって新春セールに匹敵するトラフィックを記録する一大イベントです。事前のZOZOTOWN全体での負荷試験と入念な準備により、無事故で乗り切ることができました。開発・SREチームの積み重ねが実を結んだ結果だと思います。
K-FASHION(MUSINSA)対応
韓国ファッション専門ゾーン「K-FASHION」の立ち上げでは、ZOZOBASE(倉庫)を通さない発注・海外配送という、これまでにない仕組みを構築しました。一見、1つのショップが出店しただけのように見えるかもしれませんが、システム的には大きなチャレンジがありました。
ZOZOTOWN Yahoo!店「買い替え割」
USED事業、Yahoo!店、ZOZOTOWN本体の3開発組織が密に連携する必要があり、必然的に大規模かつ複雑なプロジェクトになりました。PMを中心に、本当によくまとめ切ってくれた案件です。お疲れ様でした。
WEAR 新機能「着回し提案」
WEARに蓄積された1,400万件以上のコーディネート画像と、似合うラボで培った知見を活用し、AIによるパーソナライズされた着回し提案を実現しました。
生成AIの活用に加え、リアル店舗で得た知見をデータ化し、オンライン体験に還元できた点が大きな成果です。「生成AIを使ったからできた」のではなく、「これまでの取り組みがあったからAIで表現できた」機能だと感じています。
開発組織の強化
AIエージェント時代の開発組織へ
2025年は、開発AIエージェントが本格的に実務に入り始めた年でした。ZOZOでは、全エンジニアへの開発AIエージェント導入や、全社員向けの ChatGPT Enterprise 導入を通じて、AI活用を当たり前とした開発スタイルへの移行を進めています。
開発AIエージェントの登場により、エンジニアは設計、品質、企画といった本来人が向き合うべき領域に、より多くの時間を使えるようになりつつあります。
一方で、AIを前提とした開発はツールを導入しただけでは定着しません。ZOZOでは試行錯誤を続け、AIを「一部の人のもの」ではなく、全員の共通基盤として育てていくことを目指しています。
開発組織の横のつながり: Engineer All Hands
2025年4月、開発組織全体を対象とした Engineer All Hands 2025 を開催しました。
2021年10月のZOZOとZOZOテクノロジーズの合併以降、BizDevOps を軸にビジネス部門と開発部門の連携強化に取り組んできました。その過程で、あえて「開発部門だけで完結する取り組み」は控えめにし、事業との一体感を優先してきた側面もあります。そうした取り組みを3年以上続ける中で、開発部門内の横のつながりが少しずつ弱まってきているのではないかという課題意識を持つようになりました。
Engineer All Hands では、CTOからの全体方針の共有に加え、各開発本部長から2024年度の振り返りと2025年度の計画を共有しました。開発組織全体の状況を俯瞰し、「自分たちが全体の中でどこを担っているのか」を改めて認識できる場になったと感じています。また、チームや個人単位の成果を発表し合う「開発部門 成果発表会」なども含め、意図的に“場”を作ることで、開発組織内のつながりを改めて強める取り組みを行いました。
番外編
Girls Meet STEM
去年に引き続き、ZOZOでは、女子学生を対象に科学・技術・工学・数学(STEM)分野への興味を促進するためのイベント「Girls Meet STEM」に参画しました。ZOZOはこれまでもさまざまな女性活躍推進のための活動に取り組んできており、今後もこうした機会を提供していきたいと考えています。
HHKB × ZOZOTOWN コラボ
2024年の GitHub コラボに続き、2025年は HHKB とのコラボを実施しました。
Meetupイベントもやりまして盛況でした。私の身近なエンジニア界隈でも話題になりまして、皆さんに楽しんでいただけているのを肌で感じることができました。ご購入ありがとうございました!
おわりに
2025年は、新しい挑戦と、これまで積み重ねてきた取り組みの両方が形になった一年でした。この記事で紹介した内容は、そのほんの一部にすぎませんが、いずれも現場のメンバー一人ひとりの積み重ねによる成果です。改めて、チームの皆さんに感謝したいと思います。
Advent Calendar の最終日として一言添えるなら、2025年は「一区切り」ではなく、「次の挑戦への入口」に立った年でした。まだ書けないこと、これから形にしていく構想も多くありますが、それらは2026年以降に少しずつお伝えできるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。来年の ZOZO Advent Calendar も、ぜひお楽しみに。



