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【Python開発が変わる】Jupyter, Poetry, Black/Ruff は三種の神器!入れておくべき神ツールを紹介

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はじめに

前回のエディタ比較記事で、開発の「相棒」となるエディタは見つかりましたか?
実は、モダンなPython開発には、エディタ以外にも開発効率を劇的に向上させてくれる素晴らしいツールがたくさん存在します。

「Pythonでデータ分析といえば、なんかブラウザで動くやつがいいらしいけど…?」
「チームで開発するとき、みんなのコードの書き方がバラバラで読みにくい…」
「ライブラリのバージョンが違って、他の人のPCで自分のコードが動かない!」

この記事では、そんな悩みを解決してくれる、現代Python開発の**「三種の神器」**とも言える3つのツール、Jupyter・Black/Ruff・Poetryを中心に、その役割と導入方法を解説していきます。
これらのツールを使いこなせば、あなたのPython開発はより快適で、プロフェッショナルなものになるはずです。

1. 対話的実行環境の王者: JupyterLab

Python、特にデータ分析や機械学習の世界で「使ったことがない人はいない」と言われるほど、圧倒的な標準ツールがJupyterです。

Jupyterって何がすごいの?

Jupyterは、Webブラウザ上で動作する対話的なプログラミング環境です。
最大の特徴は、「セル」 という単位でコードを記述し、そのセルごとに実行結果をすぐに確認できる点にあります。

  • コードと結果がセットで見やすい: print()を使わなくても、セルの最終行にある変数やデータフレームの中身が自動で表示されます。
  • 試行錯誤がしやすい: データの前処理やモデルのパラメータ調整など、「ちょっと試して結果を見る」というサイクルを高速に回せます。
  • グラフのインライン表示: MatplotlibやSeabornで描画したグラフが、コードのすぐ下に美しく表示されます。
  • ドキュメント作成能力: Markdownセルを使えば、コードの間に説明文や数式、画像を自由に記述できます。分析の過程を一つの「ノートブック」として、分かりやすく残すことが可能です。

JupyterLabを使おう!

Jupyterには、古くからあるJupyter Notebookと、その進化版であるJupyterLabがあります。特別な理由がなければ、これから始める人はJupyterLabを選びましょう。

JupyterLabは、タブ機能や画面分割、ターミナルの統合など、よりIDEライクな機能を備えたモダンな環境です。

インストールと起動方法

インストールはpipで簡単に行えます。

# JupyterLabをインストール
$ pip install jupyterlab

# 起動
$ jupyter lab

実行すると、自動的にブラウザが立ち上がり、JupyterLabの画面が表示されます。

2. コードの品質と見た目を守る: Black & Ruff

複数人で書いたコードが読みにくくなる原因は、「書き方のスタイルが人によって違う」ことや「潜在的なバグを見逃す」ことです。この問題を解決するのが、フォーマッタ (Formatter)リンター (Linter) です。

  • フォーマッタ (Black): コードの**「見た目」**を自動で統一する。
  • リンター (Ruff): コードの**「品質」**をチェックし、問題点を指摘する。

この2つはセットで導入するのが現代の常識です。

Black: 妥協しないコードフォーマッタ

Blackは、コードのスタイル(インデント、改行、クォーテーションなど)を、問答無用で業界標準のスタイルに統一してくれます。設定項目がほとんどないため、「どんなスタイルにするか」という不毛な議論を完全に終わらせてくれるのが最大のメリットです。

Ruff: 超高速なリンター兼フォーマッタ

Ruffは、ここ数年で圧倒的な支持を集めているリンターです。

  • とにかく速い: Rustで書かれており、従来のリンターより数十倍〜数百倍高速に動作します。
  • オールインワン: 多くのリントツールやimport文の並び替え機能などを内包しています。

インストールと使い方

# BlackとRuffをインストール
$ pip install black ruff

# 1. Blackで見た目を整形
$ black .

# 2. Ruffで品質をチェック(--fixで可能なものは自動修正)
$ ruff check . --fix

エディタと連携させれば、ファイルを保存するたびにこれらが自動で実行されるように設定でき、常に綺麗で品質の高いコードを維持できます。

3. 依存関係地獄からの解放: Poetry

チーム開発や未来の自分のために、**「環境の再現性」**を担保することは非常に重要です。

  • 「自分のPCでは動いたのに、他の人のPCではライブラリが足りなくて動かない…」
  • 「ライブラリのバージョンが違って、挙動が変わってしまった…」

この問題を解決するのが、パッケージ管理ツールのPoetryです。

Poetryのここがすごい!

Poetryは、伝統的なpiprequirements.txtを使った管理方法の問題点を解決します。

  • pyproject.tomlファイル: プロジェクトの設定や依存ライブラリをこのファイル一つで宣言的に管理します。
  • 厳密な依存関係解決: ライブラリ同士のバージョンの組み合わせを賢く計算し、矛盾のないセットを見つけ出します。
  • poetry.lockファイル: インストールされたライブラリの全バージョンを記録したロックファイル。このファイルがあれば、誰がいつどこで実行しても、全く同じ環境を100%再現できます。
  • 仮想環境の自動管理: プロジェクトごとに仮想環境を自動で作成・管理してくれるため、venvを手動で操作する必要がほとんどありません。

チーム開発や、将来的に公開するようなアプリケーションを作るなら、もはや必須のツールと言えるでしょう。

Additional: さらに開発を加速させるツールたち

上記の「三種の神器」に加えて、知っておくと便利なツールをいくつか紹介します。

pre-commit: コミット前の自動チェックツール

pre-commitは、Gitでコミットする直前に、自動でBlackやRuffを走らせてくれるツールです。これにより、汚いコードや問題のあるコードがリポジトリに混入するのを防げます。「フォーマットし忘れ」がなくなるため、チーム開発では絶大な効果を発揮します。

pipx: CLIツールの専用インストーラ

PoetryやBlack、RuffのようなPython製のコマンドラインツールをインストールする際、pipxを使うと非常に便利です。pipxは、ツールごとに独立した環境を作成してインストールしてくれるため、プロジェクトの仮想環境やシステムのPython環境を汚染することがありません。「ツールはpipxで、プロジェクトのライブラリはPoetryで」と使い分けるのがモダンなスタイルです。

まとめ

今回紹介したツールを導入することで、あなたのPython開発は格段にレベルアップします。

ツール 役割 こんな人におすすめ
JupyterLab 対話的実行・分析 データ分析、機械学習、学習用途でPythonを使うすべての人
Black & Ruff フォーマット&リント Pythonを書くすべての人(特にチーム開発では必須級)
Poetry パッケージ・仮想環境管理 チーム開発、アプリ開発をする人、環境再現性を重視する人

いきなり全てを導入するのは大変かもしれません。まずは、

  1. JupyterLabでPythonのコードを動かす楽しさを知る。
  2. 開発に慣れてきたらBlackRuffを導入して、綺麗なコードを書く習慣をつける。
  3. 本格的なアプリ開発やチーム開発に挑戦する際にPoetryを導入する。

というステップで進めていくのがおすすめです。
これらのモダンなツールを使いこなし、快適で効率的なPythonライフを送りましょう!

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