はじめに
Pythonの勉強を始めたり、研究でプログラミングが必要になったりしたとき、多くの人が最初に悩むのが「どのエディタを使えばいいの?」という問題です。
エディタはプログラミングをしていく上での「相棒」とも言える重要なツール。自分に合ったものを選べば、学習効率や開発効率が格段にアップします。
この記事では、Python開発で特に人気の高い2大エディタ、JetBrains PyCharmと**Visual Studio Code (VSCode)**を中心に、それぞれの特徴と選び方を徹底比較します。
特に、学生の皆さんにとっては非常にお得な情報も紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください!
結論:あなたの目的はどっち?
先に結論から。どちらを選ぶかは、あなたの目的や好みによって決まります。
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「最初から全部入りで楽したい!本格的なPython開発に集中したい!」
- → PyCharm が断然おすすめ。特に学生なら最強のProfessional版が無料で使えます!
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「軽快さが大事!色々カスタマイズしたい!Python以外の言語もたくさん触りたい!」
- → VSCode がおすすめ。無料で始められ、拡張機能で自分だけの最強環境を作れます。
では、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1. 最強の全部入り「統合開発環境(IDE)」: JetBrains PyCharm
PyCharmは、JetBrains社が開発するPython専門の**統合開発環境(IDE)**です。
PyCharmのすごいところ
PyCharmは「至れり尽くせり」な機能が満載で、プロの開発現場でも広く使われています。
- 超強力なコード補完とエラーチェック: タイプミスや簡単な文法ミスを先回りして教えてくれるので、初心者がつまずきがちな「なぜか動かない…」を大幅に減らせます。
- 最強のデバッグ機能: プログラムを途中で止めながら、変数の値がどう変化しているかを視覚的に追跡できます。バグの原因特定が非常に楽になります。
- 簡単なリファクタリング: 変数名を一度に全部変更したり、コードを関数として切り出したりといった、コードを綺麗に整理する作業が安全かつ簡単に行えます。
- データベースやWebフレームワークとの連携: DjangoやFlaskといったWebフレームワークや、データベースを扱うための専用ツールが統合されており、本格的なアプリケーション開発がスムーズに進みます。
【学生必見!】無料でProfessional版を使う方法
PyCharmには無料のCommunity版と、全ての機能が使える有料のProfessional版があります。 Web開発や科学計算向けの機能はProfessional版にしかありません。
「有料か…」とがっかりする必要はありません。学生なら、このProfessional版を完全に無料で利用できます!
方法は主に2つあります。
- 学校のメールアドレス (
ac.jpなど) を使って申請する - GitHub Student Developer Packを利用する
GitHub Student Developer Packは、学生であることを証明すれば、PyCharmだけでなく様々な開発ツールやサービスを無料で利用できる素晴らしいプログラムです。まだ登録していない学生は、この機会にぜひ登録することをおすすめします。
この特典を使わない手はありません。学生であるうちに、プロが使うツールに触れておくのは非常に良い経験になります。
2. 軽快で高機能な優等生: Visual Studio Code (VSCode)
Visual Studio Code (VSCode)は、Microsoftが開発する無料のテキストエディタです。
最大の特徴は、軽量でありながら、豊富な拡張機能によって自分好みの開発環境を作り上げられる点にあります。
VSCodeのすごいところ
- 圧倒的な軽快さ: 起動や動作が非常に速く、ちょっとしたコードの修正や閲覧にもストレスなく使えます。
- 豊富な拡張機能: Pythonはもちろん、C++, Java, Rust, Go, HTML/CSS, Dockerなど、ありとあらゆる言語やツールに対応した拡張機能が公開されています。VSCode一つあれば、どんなプログラミングにも対応できると言っても過言ではありません。
- Gitとのシームレスな統合: バージョン管理ツールであるGitの機能が標準で組み込まれており、変更履歴の確認やコミットといった操作が直感的に行えます。
- 高いカスタマイズ性: 見た目のテーマからキーボードショートカットまで、あらゆる部分を自分好みに設定できます。
Python開発のための必須拡張機能
VSCodeをPython開発に使うには、いくつか拡張機能を入れる必要があります。これらをインストールすることで、VSCodeはPyCharmに匹敵する強力な開発ツールに変身します。
- Python: Microsoft公式の拡張機能。これを入れないと始まりません。コードの実行、デバッグ、Jupyter Notebookのサポートなど、基本的な機能を提供します。
- Pylance: Microsoftが提供する言語サーバー。強力なコード補完や型チェック機能を提供し、開発効率を大きく向上させます。
- Black Formatter: Pythonのコードを業界標準のスタイルに自動で整形してくれるツール。コードを保存するたびに自動で綺麗にしてくれる設定が人気です。
PyCharm vs VSCode どっちを選ぶべき?
どちらも素晴らしいツールですが、改めて選び方の指針をまとめます。
| 項目 | PyCharm Professional | Visual Studio Code |
|---|---|---|
| 起動速度 | やや遅い | 速い |
| 機能性 | 最初から全部入り | 拡張機能で追加が必要 |
| 学習コスト | やや高い(機能が多いため) | 低い(シンプル) |
| カスタマイズ性 | ある程度可能 | 非常に高い |
| 価格 | 有料 (ただし学生は無料) | 無料 |
| 得意なこと | 大規模プロジェクト、Web開発、科学計算 | 小規模なスクリプト、多言語開発、カスタマイズ |
こんな人にはPyCharmがおすすめ
- 環境構築で悩みたくない、すぐに開発を始めたい人
- Pythonを使ってWebアプリ開発やデータ分析など、本格的なことをしたい人
- 学生であるという特権を最大限に活かしたい人
- 手厚いサポート機能に頼りながら、効率よくプログラミングを学びたい初心者
こんな人にはVSCodeがおすすめ
- PCのスペックにあまり自信がなく、軽快な動作を重視する人
- Pythonだけでなく、将来的に様々なプログラミング言語に挑戦したい人
- 自分でツールを調べて、環境を一つずつ構築していく過程を楽しめる人
- ちょっとしたスクリプトをサッと書きたいことが多い人
その他の選択肢
Pythonの世界には、特定の用途で非常に便利なツールもあります。
- Jupyter Notebook / JupyterLab: データ分析や機械学習の分野では、こちらが標準的なツールです。コードをセル単位で実行し、結果をすぐに確認できる対話的な環境が特徴です。グラフの描画や実験結果の記録に非常に便利です。
- Sublime Text: VSCodeが登場する前に人気を博した軽量エディタ。今でも根強いファンがいます。
- Vim / Neovim: キーボードだけで全ての操作を完結させる、超ベテラン向けのCUIエディタ。学習コストは非常に高いですが、使いこなせれば最速のコーディングが可能です。
まとめ
Pythonのエディタ選びは、プログラミング学習の第一歩です。
- PyCharmは、プロの現場で使われる機能が詰まった、まさに「プロ仕様」のIDEです。学生なら無料で使えるので、一度試してみる価値は絶対にあります。
- VSCodeは、軽快さと拡張性でどんなニーズにも応えてくれる万能エディタです。自分で環境を作り上げる楽しさも味わえます。
どちらが良い・悪いということはありません。最終的にはあなたの好みや目的次第です。
幸い、VSCodeはいつでも無料ですし、PyCharmも学生なら無料です。両方インストールして実際に触ってみて、自分にしっくりくる「相棒」を見つけるのが一番のおすすめです。
Happy Coding!