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ROI算出によるIT施策計画、そのシステム構築への適用

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はじめに

ここ数年来、システムのモダナイゼーション戦略、クラウド活用戦略の策定や、実際のシステム構築を行なっていて、今更ながら感じるところがありましたので、自分の整理も含めて残しておこうと思います。

施策と投資対効果

一部の公益インフラを除き、本来であれば、企業のIT投資というものは、ビジネスにおける収益力向上を目的としていることは当然の背景としていることかと思います。企業の経営者にとって、何をやるのか、何をやらないかの判断は非常に重要なことですが、その際の判断基準として投資対効果は非常に大きなものとなります。

IBM社の提唱しているHybrid by Designでは、ビジネス価値を最大化するための施策立案や、ロードマップの策定のために必要なケイパビリティやバリューモデルを通じて必要かつ投資効果の高いものを優先して施策を実施していくアプローチを推奨しています。
これまでのクラウド活用にて投資対効果を軽視し、単なる技術の採用を行うことで、企業にとって最悪のケースでは投資が効果を上回ってしまっていたという分析結果がベースとなっており、この流れはいずれお客様を中心として、業界全体に広がっていくのだろうと思います。
この適正化はお客様の視点、ITデベロッパーの視点の双方から有益なことだと思います。また、それに加え、もう一つ広がっていってほしいことがあります。

システム要件と投資対効果

それはシステム開発プロセスにおける投資対効果の組み込みです。

要件定義局面において、さまざまな機能要件、非機能要件をお客様とともに検討し、定義していくなかで、「その要件は本当に必要なのか」という検討の必要性を重要と考えておられる方は数多いと思います。
「その要件を実現することにはメリットがある」ということは言えても、「ビジネス収益が増加するのか」「構築工数に見合った収益向上が見込めるのか」という基準をクリアできるのか微妙な要求を受けた経験を持つ方が大部分ではないかと思います。「それを実現すれば便利だが、収益につながるのか」という点を明確にすることは簡単ではありません。収益の見積もりロジックを立てることができても、その精度を高めることが難しく、また、そのための投資見積りの正確性にも限度があります。本来であれば各要件に対して投資対効果ベースの投資判断が求められるところと思いますが、実際のプロジェクトにおいてそれは現状実現性がない様に思います。

企業における投資判断の決定プロセスにおいて、それをどの粒度まで実施するのかは企業それぞれが考えるべきであり、企業によって異なるものがあるのでしょう。
一つ明確と思っているのは、これが投資判断のガバナンスである以上、透明性を持ち検証可能であるプロセスや体制の構築により管理されていくべきであるということです。つまりシステム開発プロセスにおける各種レビューに加えて、要件定義局面での投資レビューという考え方が必要となります。残念ながら私は要件定義における投資レビューを明示的に組み込んだ開発プロセスを存じていません。ITシステムに特化した投資と効果の見積り算出式を蓄積していくと、いずれ見積りが定型化され、容易になっていくのでしょうか。残りのIT人生にて整理していこうと思います。

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