こんにちは。
こちらのマニュアルはPower PlatformハッカソンのメンターのコツやTipsを集めたものです。
「絶対にやらないといけないこと」ではありません。
社内でハッカソンを行うときに、どう進めたらいいのかわからないときの1つの指標にしてください。
素敵なメンターとは
ハッカソンでメンターをするときに、どんな事を心掛けていますか?
- テクニカルな面で予想できる実現できることのアドバイス
- 運用時(フェーズ)体制のアドバイス
→ハッカソン後に自走運用するのか、システム部門にサポートを求めるか - 進め方のアドバイス
→いつまでにどこまで進めるか - 完成するアプリのインパクトへのアドバイス
→時間やコストだけじゃなくて、定性的な効果も大事。誰のためのアプリか意識する、等 - プレゼンのアドバイス
→発表会に向けたデモやプレゼンの改善点を指摘
準備編
0. ハッカソンの目的を把握する
なんで今回のハッカソンを行うのか主催者側の目的や参加者の意図を把握する
→どのように機能の実装を進めていくべきかの指標ができます。
目的や重視するポイントによって進め方も変わる
- 特定の技術について勉強することを重視?
- ビジネスインパクト作ることを重要視?
- 実用的なアプリを作ることを重要視?
1.使える範囲・環境を確認
ハッカソン期間中に開発で使えるライセンス(有償・無償の範囲なのか、Power Apps以外に他のサービスを使ってもいいのかなど)を把握しておきましょう
(「0.ハッカソンの目的を理解」した上で、「1.現状使える範囲を理解する」と、どのように機能の実装を進めていくべきかの指標がより具体的にできます。)
また、実際に開発をする環境がどこにあるのか確認しておきましょう
(トライアル環境なのかお客様環境なのかによっても支援方法変わってきます)
2. 事前に質問をもらっておく
長期ハッカソン(1か月~数か月)のメンターになると定期的(1週間に1回、2回くらい)で技術相談会(Office Hourと呼んだりもする)を会議で行うことが多くなります。
この技術相談会でメンターに聞きたいことを、できれば、毎回の相談会の前にまとめてExcelなどで共有してもらうとよいです。(当日の時間の使い方がわかり、事前に準備しておくことができるという目的)
3. デモアプリや説明資料の準備
ハッカソンでは、Power AppsやPower Automateなど、ハッカソンで使うサービスを初めて触る方が多いです。
そのため、参加者の方はどんなものができるのか、どんな使われ方をほかでしているのかイメージできてないこともあります。
そんな時には、参加者のイメージするアプリに近いものや事例があったらご紹介できるように自分の画面を用意しておくとよいです。
時間が余ったりしたときにも、必要に応じて見せられるようにすると、開発するアプリに幅が生まれやすくなります。
4. よくある質問をおさらい
初心者がよくつまづくところをおさらいしておくと便利です。
私がよくハッカソンのメンターで使う記事リンクをこちらに載せておきます。
(このリンク集をおてもとに🥢)
Power Apps、Power Automate 初学者向け記事まとめ
Power Appsキャンバスアプリ系
SharePoint Listの扱い方
PowerAppsとSharePoint Listのタイムゾーンが異なるときの挙動
Dataverseの扱い方
ソリューションを使った環境移行について
モデル駆動アプリ
技術相談会(Office Hour)の進め方
技術相談会(Office Hour)の進め方について、以下の内容で説明していきます。
- 基本的な進め方
- ハッカソンの流れ
- キックオフ・顔合わせ
- 企画検討期間(企画発表会まで)
- 開発期間(最終発表会まで)
- 姿勢・心構え編
基本的な進め方①リード
技術相談会ではメンターと、チームのリーダー(参加者)でリードするとよいです。
例えば、大枠はメンター側で進め、現状を理解しているチームリーダーがチームメンバーに話を振ったり、
進捗確認をしたりすると、進みやすいです。
基本的な進め方②アジェンダ
技術相談会は基本的には以下のような内容で進めます
- 前回からの進捗の確認
- 疑問点・質問解消
- 次の技術相談会までに進めるタスクをまとめる
ハッカソンの流れ
ハッカソンはチェックポイントでキックオフ(顔合わせ)、企画発表会と最終発表会があることが多いです。
それぞれまでの期間として企画検討期間、開発期間と分かれます。
次に、それぞれの期間での指標をまとめていきます。
キックオフ・顔合わせ
チームの皆さんと最初のコミュニケーションの場で、ここでのリードも大事です。
ハッカソン期間中の最終的にアウトプットが必要な成果物を最初に確認
「これから用意しないといけないことは企画発表会資料・最終発表会資料・アプリケーションです」
基本的には以下の流れで進められると理想的です。(業務フローやシステム概要、開発計画は時間があれば)
- 自己紹介
- 第一回技術相談会の日程確定
- 参加者が改善したい業務やアプリ案をメンターに説明
- (業務フローBefore・After
業務フローの作成時にペルソナを具体的に決めて、何が嬉しいのかを掘り下げる
(参照)https://designalpha.jp/knowledge/ux/cjm/?Tag=pumping%20tasks) - (システム概要)
- (開発計画(どこまで期間中に作るか、いつまでにだれがどこまで開発するか))
- 次の第一回技術相談会までにしないといけないことの確認
企画検討期間(企画発表会まで)
まずは確認
初回は勉強・自走・検索の仕方、質問の仕方を確認するとよいです。
(質問の対応は技術相談会、メールやチャットツールなどでどのように行うのかの説明)
勉強コンテンツリンク集をご案内
自走して学習できる、勉強コンテンツリンク集をご案内しましょう。
ブロードウェビナー:Power Platform 概要
Microsoft Learn
マイクロソフトによるPower Platform学習コンテンツ
Power Platformハッカソンでの参加者の心構え・ポイント
また、チームの参加者は「何がわからないかわからない状態」であることが多いため、「困ったことはないですか?」ではなく、
進んで「こういうところに困ってませんか?」「これはどうするかわかりますか?」と先を見据えて提案するとよいです。
ヒアリング
チームが改善したい業務・解決したい課題をヒアリングしましょう。
(できれば事前に現状の業務について説明した資料やフロー図を作ってもらう)
企画発表会の準備
- 企画発表会で発表する内容をもとにアプリ名、業務課題のAs-is・To-beのフロー図、ビジネスインパクト、アーキテクチャ図などを作る
- できれば開発計画を立てる(どこまで期間中に作るか、どのペースで作るか、だれが作るか)
メンバーのスキルに合わせて、機能を簡略化したり(リレーションをなしにする等)、重要な機能に絞り込みをして計画を立てる - 企画発表の内容・資料の確認
開発期間 (最終発表会まで)
- 基本は全体感(いつまでにどこまでできているといいか)のスケジュールをメンターも把握しながら進める
- 質問が来て、うまく説明ができなかったり実際の画面を見せられない場合はネットで参考になりそうな情報を検索して、URLを共有。後日調べなおしてTeamsやコミュニケーションツールで共有したり、次の技術相談会で画面を用意して説明したりする
- アプリ開発はデータベース作成(Dataverse、SPOリストなど)を早めに!
→そのあと、アプリの画面作成→基本機能作成→詳細機能作成の流れで開発する。(並行してPower Automateのフロー作成) - 質問が来たら、質問に回答するだけでなく、自分の実際の画面で映しながら、開発の流れを見せる(実際に作るところを見せてトライアンドエラーの様子を見てもらう)
- 最終週は発表会資料・発表内容の確認もできればする
- 発表の仕方・デモの仕方(動画を撮ってデモを見せるのか、リアルタイムデモでやるのかなど)のコツをお伝えする
最後の技術相談会で確認したほうがいいことリスト
-
発表内容や資料の確認
→できたアプリで何が嬉しいのか。時間やコストだけじゃなくて、定性的な効果も大事。誰のためのアプリか意識する、等 -
デモのアドバイス
→リアルタイムデモ・動画どちらのが適しているか、アプリの魅力が伝わるようにデモの内容をアドバイス -
ワークショップ終わったあとの運用時の体制について一緒に考える
→ハッカソン後に自走運用するのか、システム部門にサポートを求めるか、どう利用を広めていくのか、展開計画まで立てられたら理想
姿勢・心構え編
より理想的なメンターになるための姿勢・心構えについて箇条書きしていきます!
- 技術相談会だけがメンターの時間ではない。コミュニケーションツールを使った日々のコミュニケーションや質疑応答も重要!
- 必要があれば資料などを作って図を使って能動的に説明する
- 自分がアプリを作るイメージで、どういう業務を改善したいのか理解する、ヒアリングする
- できればチームが作りたいアプリの完成形を先に作って動きを見せる
- チームの方々にアプリの具体的なイメージを持ってもらう
- メンター側は作ったところに関してだいたいのことがわかる・イメージできるようになる
- 言われたことをやるだけでなくプラスアルファの情報を提供する
「Power Platformってこういう機能あって、これつけるとより効果高くなりますよ」
「こういう風に改善していくのはどうですか」 - できるだけ言葉で説明するだけでなく、画面を見せる
初心者の方は言葉の説明だけではイメージできないことが多い
技術相談会はせっかくのリアルタイムの対応のため言葉で説明するだけではなく、以下のような工夫をするとよい
- 画面を投影して、イメージを見せてあげたり実演をしてあげたりする
- すぐに出てこない・見せられない時にはブラウザで検索して、参照の情報URLをご案内する
- うまく説明できなかったら後日調べなおしてチャネルで共有したり、次の技術相談会で画面を用意したりする
さいごに
どうでしたでしょうか。
完璧にこなすのは難しいことですが、こころもちとして、理想の状態を実現しようと頑張った方が自分も勉強になり成長できますし、ハッカソンをよりいい時間にすることができます。
その為のノウハウをここにまとめてみたので、迷ったとき、不安なときに見返してみてください。