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openEHR Template入門

Last updated at Posted at 2021-02-27
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はじめに

今回はopenEHRのTemplate/archetypeを設計して利用するところを解説します。

以下の内容は下記の資料をある程度理解しているものとして進めます。
openEHR/ISO13606 入門


Archetype, templateとは

Archetype, templateは臨床で使われる論理データモデルです。Templateは臨床で使われる電子カルテの画面や帳票を表すためものです。問診票,経過記録,検査レポートなどを表現します。Archetypeはそうした臨床データで繰り返し出現する、臨床所見や検査、病名、処方薬剤や治療を表すデータモデルを概念ごとにまとめたものです。

  • Template: 画面、帳票など。臨床で使われる用途に応じて設計可能。
  • Archetype: 画面や帳票に繰り返し出てくる情報単位。血圧、脈拍、病歴、体温。

よく使われるarchetype

ArchetypeはopenEHR Clinical Knowledge Managerで国際的に開発が進められています。必要なarchetypeをダウンロードして、組み合わせて使いましょう。一括ダウンロードも可能です。左上のArchetypeメニューからBulk exportを選択してください。

次によく使われるArchetypeを紹介します。

Clinical Knowledge Manager.png


Composition型

Composition型のarchetypeは、他のarchetypeを収容する入れ物として機能します。下記のようなarchetypeがよく使われます。


Section型

Section型のarchetypeは「見出し」として使われます。


Observation型

Observation型は診察所見や検査結果など、患者から直接得られた情報を記録するために使われます。病歴も含みます


Evaluation型

Evaluation型はその時点までの経過に対する評価です。経過のまとめが多い。


Instruction型

Instruction型は指示の記録です。

Action型

Action型は実施された医療行為の記録です。

Administration Entry型

Administration Entry型は患者管理で使われます。


Cluster型

さまざまなarchetypeと組み合わせて使われます。Cluster型のarchetypeは色んな場面で重宝します。

  • 解剖学的部位(身体の場所を示すのに使います)Anatomical location
  • 診察所見(診察部位に特化した所見記載もあるので必要に応じて利用してください。) Examination findings
  • 医療機器 Medical device
  • 薬剤(Medication order, Medication Managementと組み合わせて用います) Medication
  • 用法(Medication orderとともに複雑な用法指示を記録します) Dosage
  • 服用タイミング Timing - daily
  • 症状・徴候(Story/Historyに組み込まれて使われることが多いです) Symptom/Sign

Better tool

Archetype, templateの設計・編集にはOcean archetype editor, Template designerがWindows環境で動作するツールとしてよく使われていました。その他,LinkEHRもさまざまな参照モデルに対応しています。

現在はBetter社により開発されたWeb上で動作するArchetype DesignerがopenEHR公式にも採用され,人気を集めています。今回はArchetype Designerを利用してTemplateを作成します。

Screenshot_2021-02-26 Archetype Designer.png


準備

以下のような問診票を例にテンプレートの作成を行います。

anamnese.png


マインドマップ(分析)

 問診票などの帳票の項目について分析するためにはマインドマップで整理していくのが一般的です。MS-Excelなどでもできなくはないですが、構造を変更することも多いのでマインドマップを利用しましょう。openEHRコミュニティではX-Mindがよく使われています。

 以下が問診票のマインドマップです。シンプルですね。

マップショット 1.png


マインドマップ(archetype)

 各項目に相当するarchetypeをopenEHR clinical knowledgeでさがして当てはめましょう。この図を元に、テンプレートを作成します。

マップショット 3.png


Archetypeのダウンロード

CKMから赤く囲んだところをクリックして必要となるarchetypeをダウンロードしましょう。
Bulk exportで一括ダウンロードしてもかまいません

必要となるArchtypeは以下のものです。
* 外来診察 Encounter
* 身長 Height/Length
* 体重 Body weight
* 体温 Body temperature
* 病歴 Story/History
* 症状・徴候 Symptom/Sign

Screenshot_2021-02-26 Clinical Knowledge Manager.png


Archetype designer

Archetype designerに登録し、ログインするとリポジトリ選択画面が出てきます。プロジェクトや用途ごとにtemplateやarchetypeをまとめておくことができます。New repositoryをクリックして新しいrepositoryを作りましょう。

Screenshot_2021-02-26 Archetype Designer.png


Repositoryの作成

RepositoryはLocal folder(手元のPCではなくクラウド側)やGoogle Drive, Bitbucket, Dropbox, GitHubなどにも作成できます。ここでは openEHR lesson というRepository nameをつけてcreateボタンを押します。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer.png


Repositoryの選択

先ほど作成したRepositoryを選択します。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(1).png


ArchetypeのImport(1)

先ほどダウンロードしておいたarchetypeをimportします。画面左上の Import ボタンを押しましょう。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(2).png


ArchetypeのImport(2)

先ほどダウンロードしたarchetypeファイルを画面の上の方のDrop hereと書かれたところにドラッグアンドドロップしてください。下のQueueにアップロードするファイルが出てきます。一通り準備が整ったら、左下の赤いupload allを押しましょう。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(3).png


Templateの作成(1)

左下に登録したarchetypeが見えていると思います。ここで +New ボタンを押しましょう。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(4).png


Templateの作成(2)

Archetype DesignerはさまざまなArchetypeを作成できます。ここではTemplateを選択します。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(5).png


Compositionの選択

TemplateはCompositionをベースに作ります。ここではEncounterを選択します。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(7).png


Template Id

Template Idにはそのテンプレート固有の名称をつけます。日本語でもできなくはないですが、英数字のみのほうが無難です。バージョン番号(v.a.b.c)もつけておくことをおすすめします。Createボタンを押して先に進みます。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(9).png


Archetypeの組み込み

CompositionにTemplateを組み込んで構成していきます。Compositionのcontentをクリックして、右側のarchetypeをダブルクリックしてください。問診票のとおりにBody Height, Body weight, Body temperature, Request for Encounter, Story/historyを組み込んでみましょう。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(10).png


Clusterの組み込み

ClusterはCompositionには直接組み込めません。Observation/Evaluation/Instruction/Actionの一部として組み込みます。Symptom/Sign clusterをStory/Historyに組み込みます。左側の+ボタンをおして項目を展開してください。Structured detailをクリックすると右側にSymptom/sign clusterが出てきますのでクリックして組み込みます。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(11).png


Cardinalityの設定

Archetypeは汎用性を重視して、最大限のデータセットが組み込まれています。使わない項目は使わないように設定しましょう。黄色の[0..0]をクリックするとテンプレートでは扱われないデータとなります。一通り終了したら、左上のSaveボタンを押してください。これでTemplateの完成です。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(12).png


Templateの利用

TemplateはopenEHRを採用しているプラットフォームでは共通して使うことができます。Exportからさまざまな形式のファイルが出力されるので解説します。

  • Native: Archetype Designerの専用形式です。
  • OET: Ocean Template Designerで使われる形式です。Archtypeそのものの定義は省略されています。
  • OPT: Ocean Template Designerで使われる形式です。Archetypeを組み込んでいますので、外部プログラミング用途で使われます。
  • xmind: XmindというMindmapツールで使います。
  • Fileset: 組み込まれたarchetypeのファイルがすべてダウンロードできます。
  • Excel: 項目などがExcel形式の表になって出てきます。
  • Web template: Web形式のインターフェースを作るテンプレートが出力されます。

Screenshot_2021-02-27 Archetype Designer(13).png

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